学術報告 2020.12.17
IVR専門医誕生!
IVRは、現在さまざまな医療場面で活躍の場を広げている治療法で、正確には「Interventional Radiology」、日本語では「画像下治療」と訳されます。X線やCT、超音波などの画像診断装置を利用しカテーテルなどを用いて、標的となる病変の治療を行います。特に外傷診療などの緊急止血術としての動脈塞栓術は不可欠な治療となっているのは周知の通りです。
IVRは画像診断と関連が深いため放射線科に依頼することも多い治療ではありますが、私は自分で目の前の患者さんの根本的な治療を行いたいとの思いから専門医取得を目指しました。専門医の取得と手技の実力とは比例しませんが、一定水準の知識、技量を持つことの証明として専門医取得は必要と考えています。また、救急医療を担う全国の救急医のなかにはサブスペシャリティーとしてIVRを修練している医師が多くいます。
これからIVRを研修したいという先生のためにIVR専門医取得に関して少し説明させていただきます。
申請資格は下記のa-eが経験症例、業績とは別の前提として必要となります。
a) 日本国の医師免許を有すること。
b) 継続して5 年以上本学会会員であること。
c) 本学会の認めるIVRに関連する以下学会の専門医に相当する資格を有すること。
①放射線診断専門医,放射線治療専門医
②日本脳神経血管内治療学会
③日本脈管学会
④その他(委員会での検討・認定を要する)→救急科専門医もOK
d) 本学会が認定した修練施設において,2 年以上のIVRの修練を行っていること。
e) 過去5 年間のうち,IVR学会総会に1回以上出席していること。
cの必要な専門医資格は救急医の資格でOKです。修練については私の場合、済生会横浜市東部病院(救命救急センター所属)で2年間勤務が修練期間になりました。
横浜市大の関連病院ではセンター病院が本年より修練施設となったことに加えて横須賀共済病院も修練施設ですのでこれらの施設で修練が可能です。学会への所属期間が5年と比較的長いため興味がある先生は早めに入会しておくことを強くお勧めします。いざ、専門医を目指そうと考えたときに所属期間が短いことを理由に専門医試験受験が遅れてしまいます。
専門医取得に必要な業績および症例については以下が必要となります。
症例:直近5年間に術者または第一助手として施行したIVR 200例。
業績:直近5年間に行ったIVRに関する学術発表と学術論文の業績をいずれか,または合わせて5 編。
私の場合は症例についてはセンター病院および済生会横浜市東部病院での3年間で200症例を経験しました。業績についてはIVR学会総会での発表を数回行いました。
簡単なご報告となりましたがこれからIVRを目指そうとする先生方の参考になれば幸いです。なにか不明な点や聞いてみたいことがある先生はメールでも構いませんので気軽にお声掛けいただければと思います。
当教室では救急専門医、集中治療専門医に加え、個人のサブスペシャリティの取得にも力を入れています、