活動報告

   学術活動    2018.5.29
 

横須賀共済病院の谷口先生がEuro ELSO2018に参加しました。

横須賀共済病院の谷口先生がEuro ELSO2018に参加されました。以下、谷口医師からの学会参加報告です。


 このたびEuro ELSO2018に参加してきましたので報告いたします。
 EuroELSOはヨーロッパにおけるECMOの学会であり、ECMOの学会としては最大規模で、ヨーロッパだけでなく、米国、アジアなどから沢山の参加があります。今回はチェコ・プラハで5/23-26まで開催され、全日程を参加させていただきました。
 日本からは竹内教授をはじめ、6月からECMO研修でお世話になる日本医科大学の市場先生、多摩総合医療センターの清水先生などがinvited facultyとして参加され、Educational corner にて世界を相手にしている先生方の姿が眩しかったです。
 今回のEuro ELSOでは、主催のチェコ・カルレ大学がECPRやVAーECMOを得意としており、その関連のセッションやシミュレーションが多かったです。内容としては、ECPRの適応や、LV  unloadingなど日本でも問題になっていることがトピックでした。VV-ECMOについては、ECMO患者の搬送、肺移植までのブリッジなどについて、カロリンスカ大学や米軍ECMOチームから豊富な症例数をもとに報告がありました。ただ国ごとに事情が異なるためコンセンサスは得られていないのが実情でした。
 様々なセッションを聞き、ECMOに関しては病院前体制、院内体制、コストなど医療経済、そして一つのゴールとなる移植医療体制を整えなければ良い結果につながらないということを強く感じました。今回発表されていた施設はどこもECMOセンターを掲げていましたが、人口370万人をカバーし、行政と密接な繋がりを持っている施設はそうそうになく、今後に横浜市大がECMOセンターを目指すことの意義を強く感じ、胸が高鳴る思いでした。
 またECMO患者のモニタリングに関するセッションがあり、自分が日頃から関わっている肺エコーならびにrSO2が取り上げられておりました。肺エコーは紹介レベルの内容でしたが、rSO2については、ECMO患者の脳酸素代謝の指標、下肢虚血モニタリングとして世界のECMOセンターではかなり有用視しているようでした。rSO2についてチェコで自分と似たような研究をされている先生に質問させていただき、両者の研究にとって有意義な話ができました。また自分が興味を持っている分野とECMOが繋がっていることを感じることができ、自分の進むべき道はこれなんだと確信し、ここでも胸が熱くなりました。
 国際学会の参加はまだ2回目ですが、こんなにも学び感じるものが多いとは思いませんでした。ぜひ後輩の先生達にも興味のある分野の国際学会に参加し、横浜市大という環境の良さを実感しつつ、自分の進むべき道を見つけてもらえたらと思います。みんなが国際的に前に進めば、それは教室自体が前に進むことになると思います。
 未来の横浜市大ECMOセンターのために、来年のEuroELSO(スペイン・バルセロナ)には、 ECMO研修での成果を演題として出し、一歩でも前に進みたいと思います。