学術報告 2023.11.6
Asia-Pasific ELSO2023(Korea)参加報告
・武田医師
11/2-4まで韓国で開かれたAPELSOに谷口先生と歌田先生、武川先生と参加し発表させて頂きましたので報告致します。
発表形式はポスター発表でしたが、会場が設けられており口演と同じような形でありました。
TTMを受けたECPR患者440例を対象に高酸素による影響についての発表をしました。
会場には開催国である韓国の方が多かったですが、他国から多くの人数が参加しておりました。ハンズオンセミナー含め多くのセッションが組まれており、自身において多くの学びが得ることが出来ました。
他の演者のスピーチを聞き内容も素晴らしいものでしたが、それ以上に他国の方と流暢に会話をされており驚きました。
そして自身の英語力のなさを実感しました。
発表に対しての質問に関しては300mmHgを境に2群に分けた理由について問われましたが、過去の文献、研究結果からも300mmHgで高酸素と定義しているものが多くそれらを参考にしたとなんとか回答した次第です。
今後は臨床も含め、英語力をしっかりと身につけていかなければいけないと感じました。
今回の発表、国際学会の参加は非常に有意義なものになったため、次回以降も言語という壁に恐れず積極的に参加していきたいと思いました。
・歌田医師
この度、韓国ソウルで開催されたAP-ELSO2023に参加したため、ご報告いたします。
YACHT設立前後におけるVV-ECMO導入患者の比較検討についてe-posterを作成し、会場に数カ所ある電子掲示板に掲示されるという形での発表でした。
同内容は現在論文執筆中です。
コロナが終息し、様々な制限が緩和されている中で、Post Pandemic, New Standardsと評された会であり、自分自身も久々の学会参加かつ初めての国際学会参加でした。
Asia Pasificということで国際学会でも規模は小さめだと事前に伺っていましたが、参加者はもちろんECMOのコンソールやカニュレーションに携わっている国内外の機器関係のブースも多く会場はかなり賑わっておりました。
また口演だけでなくハンズオンセミナーとしてカニュレーションのシミュレーションなどのブースも広く展開されていました。
初めての国際学会参加であり、準備や登録で普段と勝手が違うこともあり苦慮した点も多々ありましたが、何よりも実際に参加して普段行っている診療における他国との違いや最先端の医療に触れることができたのが、何よりの学びであり自身のモチベーション向上に繋がりました。
外国語がやはり一番のネックになってしまいますが、これ以降も積極的に国際学会に参加していきたいと感じました。
・武川医師
AP ELSO2023 KOREAに参加したのでご報告させていただきます。
自身の発表はなかったのですが初めての海外学会で、他国の医師がいる現場は緊張感があり新鮮なものでした。
11/2-4にかけて各分野のsessionやhands on sessionに加えて、最先端の医療機器紹介を体験しました。
特に貴重な経験となったのは、他施設をはじめとした先生方とお話しできた機会です。
竹内先生、東京女子医科大学 市場先生、済生会宇都宮病院 萩原先生、谷口先生、武田先生、歌田先生とともに海外の医療、日本との相違などの話題があがりました。
恥ずかしながら話についていくだけで精一杯ではありましたが、医療に対し多方面の角度でアプローチをしていて、自身の視野の狭さを実感しました。
海外学会だからこそ、海外と日本という大きな枠組みで考える機会となりました。
武田先生と歌田先生の発表もあり、海外学会という舞台で活躍された先生をみて非常に刺激を受けました。今後の自身の活動を精進してまいります。
・谷口医師
AP-ELSO2023に参加してきました。
今回は、武田、歌田先生の共著者としてであり、自身の発表はありませんでしたが、すでに報告があるように二人にとって非常にいい経験になった思います。
また武川先生もそんな先輩の姿をみて次は自分がと思ってくれたようです。
YACHT としては大成功だったと思います。
さて今回のELSOでは、ECPRとVV-ECMOのRV dysfunctionについて学んできました。
ECPRについては、Prague studyやINCEPTION trial、日本のSAVEーJ2など多くのRCTが発表され、著者たちからのプレゼンがありました。ただどの著者たちも最終的には、地域の救急体制によるとの言葉でまとめておりました。横浜におけるECPRを考えるにおいては、横浜消防とのつながりがある
横浜市大がイニシアチブをとっていく必要があり、外傷センター等でその実績もある横浜はとても
体制を整えていくにはいい環境があると考えます。またECPRは蘇生手段の一つであり、救急医ならば
誰でもが実施できるように教育体制の充実を図るべきで、YACHTとして、ECPRのシミュレーションを
今後提供できるようにしたいと思いました。
VV-ECMOのRV dysfunctionについてですが、昨今は、肺保護に追加し、横隔膜保護が言われれおりますが、今回は右室保護がtopicになっていました。過剰な機動圧、PEEPにより右室は圧排され、その結果右心機能低下に至ります。呼吸と循環の相互関係は重要で、肺が悪くなれば、心臓も悪化し、その逆も然りです。
そして右室保護に対する介入として腹臥位の重要性を強く説いておりました。先日センターでも腹臥位中の褥瘡を議題にしましたが、長期腹臥位ができるようなデバイス、体制などが今後研究テーマになるのかなと感じた次第です。
またECMO導入前の右心機能評価、腹臥位中のエコーでの評価方法なども興味深いと考えております。
そして今回自分が日本医大でお世話になった市場先生が、APーELSOのchairmanに就任されました。2年後には日本でAPーELSOが開催される予定です。ぜひその時までには、ECMOに興味がある教室員がそれぞれの研究テーマを持って横浜から世界に発表してもらえるようになって欲しいと思います。
当教室では今後も国際学会を含めた学術活動にも積極的に参加していきます。