横浜臨床研究ネットワーク 実務者会議開催報告
第16回実務者会議開催報告 / 2026年9月18日(金)
2026年9月18日横浜市立大学 みなとみらいサテライトキャンパスにおいて、「横浜臨床研究ネットワーク第16回実務者会議」を開催しました。実務者会議は横浜臨床研究ネットワークの活性化及び協定病院間の連携強化、また、業界の最新動向に関す情報交換等のため開催されており、今回で16回目の開催となりました(参加者:43名、うち現地40名)。今回はR&D Head Clubを講師に招き、講演に続いて質疑応答とディスカッションが行われました
※「横浜臨床研究ネットワーク」は、2014年に横浜市立大学附属2病院と横浜市内を中心とする13の医療機関によって設置され、有機的に連携し臨床研究や治験等を実施することで、横浜市民並びに神奈川県民のみなさまへ最先端の医療の提供、それぞれの医療機関における医療の進歩に繋げることを目指しています。
横浜臨床研究ネットワークについて
※「R&D Head Club」は、日本の製薬企業の研究開発部門長を中心に構成された任意の団体です。新薬開発・承認に関わる問題点を討議し、適切な対応また必要に応じて新しい方針等の確立に向けて各方面に提案、働きかけを行っています。
R&D Head Clubとは
-
- 【開催概要】
-
日 時: 2026年9月18日(金)15時00分~17時00分
会 場: 横浜市立大学みなとみらいサテライトキャンパス
内 容:
- ■開会のご挨拶 本間 明 医学・病院統括部長
- ■治験をより身近に -横浜臨床研究ネットワークとともに考える症例集積性向上- R&D HeadClub
- ・R&D Headclubの紹介 高橋 英司(アッヴィ合同会社)
- ・治験の現状と症例集積向上の必要性について 栗原 聖弥(アストラゼネカ株式会社)
- ・External Approach WGの活動報告 小見山 達行(第一三共株式会社)
- ・治験啓発WGの活動報告 正木 猛(日本イーライリリー株式会社)
- ・横浜臨床研究ネットワークとY-NEXTに期待すること 山本 一行(アッヴィ合同会社)
- ・質疑応答
- ■治験情報一元化ページ更新について 仁田 学 次世代臨床研究センター戦略相談室/循環器内科
- ■横浜市からのご挨拶 鈴木 宣美 横浜市医療局医療政策部長
- ■閉会のご挨拶 栁田 洋一 臨床試験管理室長
- ■座談会形式セッション(新しいGCPについて) 後藤 洋仁 臨床試験管理室/信頼性保証室係長
- ■ネットワーキング
当日の様子
開催のご挨拶
本間 明(医学・病院統括部長)

大阪でも臨床研究ネットワークの活動が展開されていることに触れ、今回の講演を参考にして、横浜臨床研究ネットワークでも、治験の実施機関が協力し合い、よりスムーズに治験を実施できる仕組みを構築していきたいと挨拶がありました。
治験をより身近に -横浜臨床研究ネットワークとともに考える症例集積性向上- R&D HeadClub
高橋 英司(アッヴィ合同会社 クリニカルサイトマネジメント部)

R&D HeadClubは2005年に設立され、現在では23社が参画し、そのビジョン・ミッションに加え、国内治験パフォーマンス調査、治験環境改善、Japan PPIプラットフォームプロジェクト、症例集積性検討など多様な活動を実施していることを紹介されました。
治験の現状と症例集積向上の必要性について
栗原 聖弥(アストラゼネカ株式会社 研究開発本部 臨床開発統括部)

日本の治験数の傾向(2021年をピークに減少、直近で再度増加)と、医薬品市場の成長率は諸外国との比較で低率に留まっている現状の説明がありました。日本は症例集積性が諸外国と比べ低いことに加えて、治験コストが高く、これらがドラッグラグ・ロスを助長する可能性について示唆がなされました。厚生労働省はこの状況を課題と認識し、指針を出し改善を模索している現状を紹介されました。
External Approach WGの活動報告
小見山 達行(第一三共株式会社 研究開発本部 開発統括部)

症例集積性改善のため横浜臨床研究ネットワーク以外に岡山大学病院に事務局を置く「岡山医療連携推進協議会 (CMA-Okayama)」や大阪大学医学部付属病院に事務局を置く「治験ネットおおさか」とも継続的に意見を交換し、仕組み・対価・運用などについて課題を可視化し、解決策の検討に取り組んでいることが紹介されました。治験において患者紹介が医療者個人の関係性のみに依存せず、持続的かつ適切な患者が適切な治験へアクセスできる仕組みが構築されるよう、治験ネットワークの枠組みのもとで関係者が連携し、患者紹介・症例集積性の活性化を目指す取り組みについてお話しくださいました。
治験啓発WGの活動報告
正木 猛(日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部 臨床開発本部)

治験は、患者や国民だけでなく、医療従事者にとっても深く理解・認識がなされていない現状があるという調査結果が提示されました。治験未経験の医療従事者は、業務の負担感の増などから、患者紹介に至っていないとの調査結果が示され、治験啓発は、症例集積性の向上に対して、直接的・間接的に、影響を与える社会課題であると紹介されました。国民向けの啓発活動の事例として、大阪での、[みんなの治験「縁」日
]の紹介がされました。症例集積性を高めるためには、治験ネットワークとの連携並びにDCTの活用で、「身近な場所から治験に参加できる」状態をつくることとともに、継続的な治験啓発によって、「国民や医療従事者にとって、治験がより身近になる」状態をつくることも重要であるという言葉で締められました。
横浜臨床研究ネットワークとY-NEXTに期待すること
山本 一行(アッヴィ合同会社 クリニカルサイトマネジメント部)

横浜臨床研究ネットワークへの期待として、治験医師による強いエンゲージメントとリーダーシップの発揮、精度の高いフィージビリティ調査、ネットワーク全体の統括機能、症例紹介システムを活用した症例集積の強化、継続的な治験啓発という5項目を挙げられました。国内で成功事例の少ない地域治験ネットワークの波を横浜から全国へ波及させてほしい、という言葉で締められました。
質疑応答
質疑応答の冒頭では現地参加された土屋 貴裕氏(ファイザーR&D合同会社 デベロップメントオペレーション統括部)、小堀 香織氏(アムジェン株式会社 医薬開発本部 グローバル臨床開発オペレーション)、西 隆信氏(グラクソ・スミスクライン株式会社 開発本部 クリニカルオペレーション・プラットフォーム部門)からも横浜臨床研究ネットワークへの期待についてそれぞれの視点からお話しをしていただきました。


治験情報一元化ページ更新について
仁田 学(次世代臨床研究センター戦略相談室/循環器内科)

2024年に横浜臨床研究ネットワーク協定病院の治験実施状況を集約(グラフ)化し、Y-NEXTのホームページへの掲載を開始しました。今回で3回目の更新を無事に終えたことに対する謝意が述べられました。
横浜市からのご挨拶
鈴木 宣美(横浜市医療局医療政策部長)

日頃の地域医療提供に関する謝意が述べられ、横浜臨床研究ネットワークを充実させ日本の医療を発展させるために、横浜市がリードしていくことの意義が語られました。コロナ禍での医療機関同士の協力体制や、Green Expo会場内の診療所への医師派遣への協力など、横浜市における医療機関の協力の厚さを例に挙げながら、今後の発展の期待をお話しくださいました。
閉会の挨拶
栁田 洋一(臨床試験管理室長)

多くの方にご参加いただけたことへの感謝とともに、R&D HeadClubの講演を通じて日本の治験の現状と課題を知り、将来の日本の治験に対する危機感をについて述べられました。横浜臨床研究ネットワークを活性化し、症例集積性、治験の迅速性を高めることが危機感の打破には重要であり、今後も皆様と議論を重ねていきたいとの挨拶で本会が締められました。
座談会形式セッション(新しいGCPについて)
後藤 洋仁(臨床試験管理室/信頼性保証室係長)
GCP改正への対応をテーマに、Single IRBや治験関連文書の電磁化、治験依頼の集中に伴う医療機関の負担などについて意見交換がなされました。特に、次年度から外部IRB(Single IRB)の利用が原則化されることを踏まえ、医療機関としてどのような体制整備を進めるべきか、また依頼者から審査依頼を行うにあたり、依頼者側ではどのような準備が進められているのかについて、何がエコシステム(双方の負担にならない)か本音を交えながら活発な意見交換がなされました。途中で偶然居合わせた本学の松井 達也事務局長がスピーチされる一幕があり、会場をさらに盛り上げました。

ネットワーキング
毎回恒例となった集合写真です。今回は過去最多となる40名が現地参加されました。横浜臨床研究ネットワーク協定病院からの参加者同士は既に顔馴染みですが、今回はR&D Head Clubの方々とのつながりが新たに形作られました。

ynext


