2020.10.29

慢性痛啓発サイト「&慢性痛」完成しました


慢性痛の正しい知識と治療について広めるためのサイト「&慢性痛」(あんどまんせいつう)が完成しました。

本サイトは、日本の慢性痛医療を進化させる取組みを進め、慢性痛患者にとどまらず、医療者や広く一般に公開し、意識啓発普及の取組を協働して実施するために、公立大学法人横浜市立大学とあたらす株式会社(神奈川県川崎市)がPfizer Grant(Grant ID :44116117)※注を活用し、協働で製作したものです。

医療先進国であるはずの日本ですが、慢性痛医療に関しては「欧米諸国より20年遅れている」と言われています。なぜなら日本の大学医学部では痛みに関する専門教育はほとんど行われておらず、結果、医師ですら痛みの正しい知識を知らないまま、見当違いの治療を施しているケースが信じられないくらい多いからです。

実際、腰痛、肩こり、ひざ痛など、なんらかの慢性痛で悩んでいる人は全国で約2,315万人*1、日本人のおよそ5人に1人に上ります。しかも、そのうちの66.6%は「痛みがあっても我慢するべき」と考えており、長く続く痛みに対して「痛みが治ることを諦めている」と回答した人は69.1%にものぼっています。*2 また、慢性痛がある人の約8割にあたる77.4%は現在通院しておらず、約4割は病院を未受診で自己対処していることも分かっています。*3

これらの数字からは、痛みは治らないものと諦めている人がとても多いこと、その背景には、複数の病院を受診したけどダメだったという体験があることが分かります。

こうした現状を是正するには、医療者ならびに広く一般に対して慢性痛の正しい知識を広めること、さらに、正しい慢性痛治療の拠点となる「集学的痛みセンター」を全国各地に設けることが不可欠です。

本サイトを訪問してくださった皆様には今後、一人でも多くの方に本サイトをご紹介いただき、慢性痛の正しい知識を日本中に広めるためのご支援を賜りたくお願い申し上げます。

「&慢性痛」運営者

横浜市立大学附属市民総合医療センター ペインクリニック内科

*注

Pfizer Grant(Grant ID :44116117)は、ファイザー株式会社による「〈公募型〉医学教育プロジェクトによる助成」事業です。

「医学教育プロジェクト」は、ファイザーが定める対象疾患領域で特定されたギャップを埋めるためのプロジェクト。横浜市立大学は2018年に公募に申請し、採択されました。

「医学教育プロジェクト」申請者(施設・団体)がそのプロジェクトの企画・立案・実施・管理において、法的・倫理的責任を負うものであり、ファイザーがそのプロジェクトの立案に関与(内容に関するアドバイスを含む)したり、実行に一切関与するものではありません。

*1:「痛みに関する大規模調査」(2010)ムンディファーマ

http://www.care-mane.com/pdf/news/201011/20101101-3.pdf

*2:「47都道府県比較 長く続く痛みに対する意識・実態調査」(2017)ファイザー

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2017/2017_08_23.html

*3:「男女比較 長く続く痛みに関する実態調査2015」(2015)ファイザー

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2015/2015_04_22.html