今の治療に不安・
疑問を感じたら

日本にはまだ、医師でさえも知らない割合が高い、「慢性痛のホント」があります。「どうしていつまで経っても痛いんだろう」「治療が全然効いている気がしない」など、現在受けている治療に不安・疑問を感じたら、集学的痛み治療をしてくれる病院に相談することをお勧めします。このページでは、集学的痛み治療をしてくれる病院を受診し、不安・疑問が解決した症例をご紹介します。

「脊柱管狭窄症」と診断され
日帰り手術を受けた

【症状】

男性は超高齢にしてなお現役で創作活動を続けている芸術家。若いころから腰痛で苦労してきた。近年はさらに悪化し、不眠、食欲減退も相まって起き上がれないほどの状態になり、"神の手"として知られる有名整形外科医のもとを受診した。
診断は「脊柱管狭窄症」。身体への負担が小さく、日帰りで行える内視鏡手術を受け、直後には痛みが「嘘のように消えて、歩けるようになった」。
だが1ヵ月ほどで腰痛再発。次に訪れた、都心にある大学病院の整形外科では「椎間板ヘルニア」の診断。やはり、内視鏡での手術を勧められたが拒否。次に神経ブロック注射を進められたが断ると、大量の薬を処方された。
それから1年、薬を飲むと痛みは緩和されたが、頭がボーっとし、ダルさで動けなくなり、食欲も減退。何より大切にしている創作活動ができなくなってしまう。かといって飲まなければ痛みでトイレにさえ行けない。…困り果てた男性は、集学的治療が行える病院を受診した。

【診断と治療】

腰痛の原因は「手術後のリハビリ不足と栄養失調」と判明。痛みをコントロールしながら、専門的なリハビリテーションと食事療法を組み合わせた治療を受けることになった。

【医師の解説】

術後には年齢や日常生活に見合ったリハビリが必要。男性は一切受けていなかった。手術自体本当に必要だったのか疑問。また処方されていた薬は、アメリカでは承認すらされていない身体に悪影響のある薬。これはもはや「医原病」。不適切な治療が作り出した痛みだ。

有能な40代男性の全身に謎の痛み、
原因は「発達障害」だった

【症状】

40代男性。腰痛を中心とする全身の痛みを訴え、都内のクリニックと民間病院を受診したが「原因不明」で治療してもらえず、集学的治療を行っている病院を紹介されて受診。経緯を次のように説明した。
「腰痛を感じるようになったのは会社で昇進し、部下を持った時期から。自分は、部下に仕事を任せられない。上手く指示ができず、仕事の仕上がりにも満足できないタイプ。アドバイスしただけなのにパワハラと責められることもあって面倒になり、部下の分の仕事も抱え込んで連日深夜帰宅や持ち帰り残業を続けて頑張ったが、部署の業績は伸びず、上からは『期待していたのに残念だ』との評価。
全身の痛みとダルさで起き上がれなくなり、有休を取得。限界を感じているがリタイアはしたくない。自分は決して、仕事ができない人間ではないと思う」

【診断と治療】

全身痛の原因は「発達障害」。いわゆる"コミュニケーション障害"のせいで生きづらさを感じ、オーバーワークと極度のストレスが引き金になって痛みを引き起こした。発達障害自体は治療できないが、コミュニケーション能力をあまり必要としない仕事環境への異動で症状は軽減されるだろうと勧められた。

【医師の解説】

日本の場合、社会でも会社でもジェネラリストが求められる。しかし、ジェネラリストとして周囲に合わせることが極端に苦手な人もいる。アメリカの場合は、給料は上がるけれどもジェネラリストが求められないコースも用意されている。日本もそんなふうに社会が変われば、発達障害で結婚や仕事からドロップアウトする人が減り、慢性痛で苦しむ人も減るだろう。

腰痛・下肢痛で計5回の手術を受け、
車いす生活になった

【症状】

40代男性。腰痛と下肢痛により、3回の脊椎手術と2回の神経剥離術を受けたが術後も痛みは消えず、3年間休職。車いす生活を送っていたが、「なんとか復職したい」と集学的痛み治療を受けられる病院を受診。治療の結果、症状が安定しているときのみ、約10分間の歩行が可能なほど改善。さらなる改善をめざして、入院治療が受けられる病院を紹介され、受診した。
入院時の男性は、右下肢にはアロデニア(痛覚過敏)、両手指にはこわばりがみられた。明らかな筋萎縮、運動障害はないが、症状が安定せず、移動には車いすを使用。熱中しているときは症状が緩和するものの、天候が悪いと症状が悪化する傾向もあった。

【診断と治療】

「身体症状症,神経の障害はないかあっても軽度。依存的な気質だが、協調性は良い。復職への想いは切実」と評価。治療方針は、「復職を目標に入院集学的リハビリテーション」となった。
理学療法士、作業療法士によるリハビリテーションの結果、退院直前には,退院後の復職を半年後にすることを自ら目標に設定し,家族と通勤経路を歩くなどの具体的な方法も自分から提示できるほど回復した。

【医師の解説】

就労などの具体的な目標がある人は、入院して集中的にリハビリテーションを行うことは非常に効果的。なかでも「医療者に注射や薬など治療をしてもらうのではなく、自らが主体となって能動的に治療に取り組まないといけない」という意識が芽生えてきた患者には特に、効果が期待できる。

「線維筋痛症」と誤診され、
薬の副作用で骨粗しょう症になった
20代女性

【症状】

20代女性。保育士をめざして専門学校に入り、保育園での実習を開始したあたりから、首と肩がギブスをはめたように硬くなり、痛みで動けなくなった。整形外科を受診し、鎮痛薬と筋弛緩剤と湿布薬で痛みは軽減。完全には消えなかったが頑張って復帰し、国家試験に合格。保育士として働き始めて数か月が過ぎた頃、今度は腰と首から肩、両腕にも痛みが出現。整形外科とペインクリニックを受診し、神経ブロック注射、不安や筋肉の緊張に効く薬での治療を受けるが効果なし。痛みは全身に広がる。
難病を疑い、ネット検索で「線維筋痛症」という病名を発見。その治療で有名なクリニックを受診すると、必要な検査は一切行われないまま線維筋痛症であると診断され、治療開始。神経障害性疼痛の薬と麻薬にあたる鎮痛剤を処方されるが、身体に合わず、ひどい吐き気と頭痛に襲われたため、3週間で服用停止。次にステロイド剤を処方され、最初は効果を感じたものの、やがて身体に力が入らなくなり、痛みも増し、ありとあらゆる痛みに起き上がることもできなくなり、保育園を仕方なく退職。寝たきりの日々を送っていたが、30代を目前にして奮い立ち、集学的痛み治療をしてくれる病院を受診した。

【診断と治療】

線維筋痛症は誤診。当初の痛みは「筋筋膜性疼痛」であり、現在の痛みは、ステロイドの副作用による骨粗しょう症と筋肉量の極端な減少が原因と診断された。
治療は、ステロイドを徐々に減らし、骨粗しょう症の治療をしながら、運動療法によって筋肉をつけること。食事療法と精神心理療法も受け、2年を要したが、回復にこぎつけた。

【医師の解説】

線維筋痛症は、『鑑別診断』する病気。ほかに痛みを起こしそうな、あるいは悪化させそうな状態を全部鑑別した後で、どれにも当てはまらない場合に線維筋痛症と診断する。鑑別に必要な手順を踏まない、どういう状況のとき痛むかを聞かない、副作用をしっかりと説明しない、運動療法を処方しない、精神心理学を考慮しない医師は信じないでほしい。

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