Certificate 2023.4.24
医学博士学位取得報告
ー令和4年度も教室員が医学博士学位を取得しましたー
当教室は、救急・集中治療診療を点・線・面で捉え日々救急診療を行い、関連施設や周辺施設との強力な協力体制を確立し横浜・横須賀地域の救急医療を支えています。
それ以外にも、公立大学教員として、医療従事者の教育を行うとともに、大学教員としての「研究」を非常に重んじております。
近年、当教室でも大学院に進学し、基礎研究で医学博士を取得する教室員、臨床研究を行い、その成果を発表することで医学博士を取得する研究員が増えてきています。
医学博士を取得することで、後進の指導や今後の留学、他の教室との共同研究等々の気かっけとなり、さらなる医学の発展につながる可能性が広がります。
令和4年度2名の教室員が新たに医学博士の称号を取得しました。
取得された先生から医学博士取得に関して質問形式で報告していただきます。
篠原真史先生
1. 学位を取ろうと思ったきっかけは?
大学の教員としては学位取得が一つの責務だと思っていたこと。
また臨床研究で行ったことを形として残すためには英語論文の発表が必須ですが、乙号であればその中で学士取得の門戸が開かれていることを知ったことがきっかけです。
2. 臨床との両立で大変だったこと、苦労したことはなんですか?
一番はやはり研究にさける時間が限られていることです。臨床業務もあり、また研究を開始した時期が子どもが小さい時期と重なっていたため、ごく短い隙間時間を積み重ねて研究を行う必要があったことです。
また、COVID-19のパンデミックの時期には臨床業務が急増してしまい研究がまったく進まなくなってしまった時もありました。
3. (2に関して)それを乗り越えたもの(考え方やモチベーション)はどのようなものですか?
使える時間は限られていましたが、研究のことを考えたり論文作成をしたりする時間が、臨床業務や日常生活の雑務と離れ、ある面リフレッシュする時間になると気づきました。1日1日で進める距離は短くてもいずれは必ず目標を達成できると信じて行いました。
4. 学位審査の苦労や当日の緊張感などはいかがでしたか?
普段の臨床業務とは違って、別の分野の専門の先生方に分かるように資料を作成するのは、学会発表や論文作成とはまた別の視点が求められるなと感じました。しかし一方で、それを行ったことで自分の行った研究を客観的にみることもできたと思います。
5. 学位取得は後輩達に勧めますか?
医学の進歩にほんの僅かでも貢献するためには知識や経験を自分一人のものにするのではなく論文の形にして公開し共有する必要があると思います。
その延長線上に学位取得があるのかなと思っています。
6. 後輩達や入局を考えてくれている先生方に伝えたいことはありますか?
若い先生方はまずは臨床面で自分を成長させることが目標になるかと思いますが、科学の世界では論文にして発表しなかったことは、なかったことと一緒になってしまいます!
医局のよいところは、自分がその気になれば助けてくれる人がたくさんいるところだと思います。ぜひ頑張ってください。
古郡慎太郎先生
1. 学位を取ろうと思ったきっかけ
英語での論文を執筆するようになったことがきっかけでした。
実臨床で行っていることが正しいのか疑問に思ったことから臨床研究を開始し、英語論文を執筆するようになりました。その過程で自然と乙号での学位取得を考えるようになりました。
2. (1に関して)それは医師何年目でしたか?
医師8年目になった頃から1本目の論文の臨床研究を始めたと記憶しています。
3. 学位取得のテーマをどのようにして決めましたか?
私はIVRを専門としていることから動脈塞栓術に関連したテーマで研究をしたいと考えました。
4. 臨床との両立で大変だったこと、苦労したことはなんですか?
やはりどうしても臨床が忙しくなると研究に割く時間がなくなってしまい研究が停滞してしまうことです。
一度停滞してしまうと再開するのに非常に労力を必要としました。
5. (4に関して)それを乗り越えたもの(考え方やモチベーション)はどのようなものですか?
指導していただいていた先生とディスカッションすることや、論文を執筆している先生方と話をすることで自身のモチベーションを上げるようにしていました。
6. 学位審査の苦労や当日の緊張感などはいかがでしたか?
学位審査員の先生方の中には、私の研究内容と関連の浅い方もいらっしゃるためプレゼンテーションの準備をする際はわかりやすい説明をするように心がけました。
また、発表当日は、コロナ禍でのZoom開催ではなく、対面でのほどよい緊張感の中でプレゼンテーションをすることができました。
7. 学位取得は後輩達に勧めますか?
学位がなくても医師免許があれば診療はできます。
しかし、学位を取るためには医学研究(基礎でも臨床でも)をしなければなりません。
医学研究をするということはわずかであっても医学の進歩に貢献した証になると思うので、ぜひ学位取得を目指してもらいたいと思います。
8. 学位取得した上で今後の自身の目標は?
これまでは自身の専門医取得や研究に比重をおいてきましたが、これからは学位取得にあたりご指導いただいた先生のように若い先生方の研究のお手伝いができればと考えています。
当教室では、教室員全体で医学博士取得に対する体制も整えており、
①大学院に入学し、基礎研究を行うことで医学博士を取得
②臨床で臨床研究を組み、そのデータ解析からの論文発表による医学博士の取得
双方で医学博士を取得することが可能です。
今後、医学博士は自身が働いていく上で必須となる称号と考えており、教室で医学博士取得を推進しています。