理事長挨拶
ご挨拶
日本ベーチェット病学会理事長
横浜市大眼科 水木信久
日本では、1972年(昭和47年)に、ベーチェット病が旧厚生省の難病に初めて指定されました。当時、難病指定された8疾患の第1号でした。同年に厚生省の難治性疾患克服研究事業としてベーチェット病調査研究班が発足し、2014年より私が第8期の班長を仰せつかり現在に至っております。本難病研究班は発足以来、多くの先生方のご尽力の下、今日に至るまで、ベーチェット病の病因や病態の解明、ベーチェット病の新規バイオマーカーや新規治療の開発など、基礎医学、臨床医学に皆で精力的に取り組んで参りました。その成果は国内外にも高く評価され、世界的にも大きな期待が寄せられています。
ベーチェット病は、ご存知のように、口腔内アフタ、皮膚症状、眼症状、陰部潰瘍を4主症状とし、特殊型として腸管ベーチェット、神経ベーチェット、血管ベーチェットが存在します。診療、研究に関与する先生方も、皮膚科、眼科、リウマチ内科(膠原病内科)、消化器内科、神経内科、小児科および免疫学、分子生物学、遺伝学と多岐にわたり、各先生の主な所属学会も様々です。したがって、ベーチェット病の診療や研究の学会発表を各自が所属する学会で別々に行っていますと、本病に関する最新の情報収集や病態・本質の横断的な理解が困難となります。
そこで、これら多岐にわたる先生方が、ベーチェット病の診療や病態の研究発表をする場として、以前より本邦では、前述の厚労省ベーチェット病調査研究班が機能しておりました。様々な診療科の先生方や基礎系の先生方が多数参加されて、大変有意義な会議となっておりました。しかしながら、研究班に求められる役割も、時の流れと共に変遷し、現在は診療ガイドラインの作成が主題となり、病態や発症機序に関わる研究や新規治療の開発に関わる研究などは困難となりました。
このような現状下で、ベーチェット病の診療や研究に関する横断的かつ最新の情報交換を行う場が必要と考え、ベーチェット病研究班のメンバーが中心となって、この度、日本ベーチェット病学会を発足する運びとなりました。診療科の垣根を越え、多くの先生方が一堂に会し、基礎から臨床に渡る研究を討論し、貴重な症例や診療情報などを共有し議論することができましたら、ベーチェット病の病態の解明や明日からの診療に直結する大変有意義なものとなると考えます。事務局は現班長の私が所属する横浜市大眼科に置かせて頂きました。まだまだ小さな学会ですが、何卒、先生方皆様のご協力をお願い申し上げます。
発足日:2017年12月1日