ぶどう膜炎クリニック

木曜日 午後

前任の大野重昭教授から、現在の水木信久教授ともに「ぶどう膜炎」が専門です。ぶどう膜炎外来は木曜日の午後に開かれています。現在は教授をはじめとする大学病院スタッフと、ぶどう膜炎診療に経験豊富な臨床准教授石原麻美医師、非常勤講師中村聡医師、林清文医師に参加して頂き、診療にあたっています。

「ぶどう膜」とは、解剖学的には「虹彩」「毛様体」「脈絡膜」の部分をさしますが、「ぶどう膜炎」は「内眼炎」とも言われるように、ぶどう膜が接する部分、つまり眼球全体に炎症が及ぶ可能性があり自覚症状や所見は様々です。

ぶどう膜炎の原因には、「3大ぶどう膜炎」と呼ばれる「サルコイドーシス」、「ベーチェット病」、「原田病」の他、自己免疫疾患、悪性リンパ腫、感染症(ヘルペス、サイトメガロ、HIVウイルス、結核、梅毒、トキソプラズマなど)によるものなど、全身疾患に伴うものが様々あります。そのため、ぶどう膜炎の原因検索には、眼の検査と共に全身の精査が重要です。血液検査、胸部X線のほか、疑われる疾患によっては、胸部や頭部CT、MRI、Gaシンチグラフィー、ツベルクリン皮内反応などを行い、上記疾患の検索を行います。

ぶどう膜炎の評価としては蛍光眼底造影検査が有用です。場合によっては、外来で眼内液を採取(前房穿刺)し、病理診断やPCRによるウイルスゲノムの検出、ウイルス抗体価の検索を行います。

治療は、原因疾患によりますが、眼の局所治療と共に、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤の全身投与をすることがあります。ベーチェット病における難治性ぶどう膜炎に対しては、抗TNFα抗体の点滴注射による治療も行っております。内科、外科、小児科などと連携して治療にあたる場合も多くあります。

ぶどう膜炎の炎症が重度であったり、経過が長期に渡ると、併発白内障、続発緑内障、黄斑浮腫などの眼合併症を生じたりすることがあります。黄斑浮腫に対しては外来で副腎皮質ステロイ薬のテノン嚢下注射による治療を行うことがあります。また、炎症がある程度落ち着いた段階で、入院のうえ白内障手術、緑内障手術、硝子体手術など外科的治療を行うこともあります。

研究面においては、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病などの免疫遺伝学的発症機序の解析に、力を注いでいます。

ぶどう膜炎は、急に発症したり、慢性的に繰り返したり、片眼のみであったり、両眼に発症したりと、個人や疾患により様々な病態がみられます。また、いちどの検査では原因確定に至らないことも多い疾患です。聞き慣れない病名や、長引く経過に戸惑う患者様も多くおられます。スタッフ一同、ひとりひとりになるべく丁寧に説明し診療にあたることを心掛けております。

このページのトップへ戻る