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横浜市大形成外科の歴史

横浜市立大学形成外科 教室のあゆみ

横浜市立大学形成外科は50年以上の歴史を持ち、長い年月をかけて職位としては医務吏員から教員職へ、組織としては診療科から講座へと、発展を続けてきました。それは個性・才能あふれる何名もの医局代表者と医局員が綿々と紡いできたものの結晶であり、ここでは「教室のあゆみ」と題して、各代表者の時代ごとにその歴史を辿ってみようと思います。

塩谷信幸 科長時代(1968~1972)

初代科長:塩谷信幸
旧浦舟病院

 1968年、横浜市立大学形成外科は日本の大学病院では5番目、公立大学病院では初めての形成外科として開設されました。初代科長は塩谷信幸が務め、神奈川県内唯一の形成外科ということで多くの患者さんが訪れましたが、診療科としての開設であったため人員は塩谷に加え外科や整形外科からのローテーション医師のみと十分ではありませんでした。それでも南区浦舟町の旧浦舟病院に新設された外来診察室と20床の病棟を舞台に奮闘し、やがて安瀬正紀、前田華郎、西條正城らが加わりレジデント制が敷かれるようになり、塩谷の名声を慕って全国各地から形成外科に興味を持った医師が集まるようになりました。人員の増加に伴って神奈川県内外の病院から診療の依頼が集まり、全員でその対応に奔走する活動を通して横浜市立大学形成外科は徐々に周知され、他診療科や地域の患者さんから必要とされる存在となっていきました。

安瀬正紀 科長時代(1972~1989)

安瀬正紀 科長
神奈川4施設症例検討会 集合写真(1989年)
神奈川4施設症例検討会 集合写真(1989年)

北里大学形成外科が開設され塩谷が初代教授に就任すると、安瀬正紀を後任とする新体制となりました。塩谷の異動により一時は人員が減った時期もありましたが、やがて研修医制度が始まると形成外科を志す医師が全国から集まるようになり、安瀬の専門領域である熱傷を中心として形成外科全般の診療を行いました。この時期には県内の主要病院である県立がんセンターや関東労災病院、横須賀共済病院、藤沢市民病院、小田原市立病院。横浜市南部病院、船員保険病院などへ医師を派遣し、地域医療の拡充を行いました。

診療では当時先端技術であったレーザー治療や頭蓋顎顔面先天異常に対するクラニオフェイシャルサージャリー、切断指再接着や遊離皮弁移植などのマイクロサージャリーといった新しい治療を全国に先駆けて導入し、最先端部門の診療を積極的に行いました。研究面でも、西條による人体の皮膚血行動態を解明した研究が日本医学界総会で形成外科部門代表発表に選ばれ、吉田豊一による機能的頭頸部再建に関する論文が推薦論文を受賞するなど、複数の領域において評価されました。新体制発足当時、安瀬は若干37歳での科長就任となりましたが、多くの苦労と奮闘により上記のような数々の業績を上げ、16年の長きに渡って医局を支えました。

西條正城 部長時代(1989~1995)

西條正城 部長
Dr.Munro, Dr. Yu Ray Chenを迎えてCSF症例検討会(1990年)

1989年に安瀬が科長を退き、西條を後任とする新体制へ移行しました。1990年に浦舟病院に熱傷センターが開設されると、形成外科の診療体制をこれまでの形成外科部門と熱傷センター部門の2つに分け、西條が形成外科部長に、安瀬が熱傷センター長にそれぞれ就任し、新体制が本格的に始動しました。

1991年には金沢区福浦に医学部附属病院(現在の横浜市立大学附属病院)が開院し、福浦、浦舟の大学病院2院化に伴い西條、吉田が両病院の診療部長に任命されました。また、これまで講座外診療科医務吏員であった身分が助教授や講師といった病院教員として認められることになりました。

この時代は、海外の著名な講師を招いての講演会開催や、国際学会への参加や海外施設での研修を積極的に行い、海外からの研修生を受け入れるなど世界に目を向けた活動が行われ、また国内では1994年に安瀬を会長として医局として初の全国規模の学会である第20回日本熱傷学会を主催するなど、より国際的・学術的な活動の基盤ができた時期でもありました。

吉田豊一 部長時代(1995~2000)

吉田豊一 部長
吉田豊一 部長就任祝賀会 集合写真(1995年)
吉田豊一 部長就任祝賀会 集合写真(1995年)

1995年、西條の退任に伴い吉田を後任とする新体制が始まりました。

この時代には病院教授職獲得という大きな出来事がありましたが、その道程は平坦なものではありませんでした。1998年の夏、10枠の病院教授職が設置されることが発表されましたが、その10部門の中に形成外科が入っていないことが判明し、急遽の対応を迫られることになります。すでに教授会での決定・発表後でしたが、吉田・前川二郎らが中心となって当時の病院長・教授陣・医局OBなど各方面に働きかけると同時に、病院内での形成外科の必要性・重要性をアピールする活動を繰り返し行いました。初期は厳しかった風向きも徐々に変わり、1999年7月、1年間に渡る活動が実を結び、10番目の病院教授職が形成外科に割り当てられることが決定しました。  

この時代は5年間と短いものでしたが、国際ジャーナルへの論文投稿が徐々に増え始め、口腔外科や耳鼻科など関連科の協力のもと吉田・前川が学位を取得するなど、病院教授職の獲得と併せて、診療科から教室へ発展するための土台が作られた時期でした。

鳥飼勝行 教授時代(2000~2010)

鳥飼勝行 教授
第19回形成外科基礎学会 抄録集表紙

前体制の努力により獲得した病院教授職の公募と選挙が行われ、2000年に初代教授として鳥飼勝行が赴任し、新体制へと移行しました。同年、浦舟病院に変わって横浜市立大学附属市民総合医療センター(センター病院)が開院し、同院では鳥飼を教授として先天性の顎顔面異常を中心とした診療を、福浦の附属病院では吉田を部長として頭頸部再建外科を中心とした診療をそれぞれ行う2本柱の体制となりました。2002年に吉田が退任すると前川が後任となり頭頚部再建に加えてリンパ浮腫の治療を積極的に行い、附属病院の新しい柱となりました。

医局員の数が徐々に増加し始めたのもこの頃でした。それまでは平均して数年に1名の入局者がある状況だったのが、毎年コンスタントに複数名の入局者があるようになり、スタッフの数が増えると同時に年齢構成も変化していきました。今まで非常勤医しか派遣できていなかった市中病院に常勤医師を派遣することが可能となり、スタッフの勤務施設の幅が広がるとともに、より地域に根ざした医療へも貢献できるようになりました。

医局主催の研究会/勉強会として横浜形成外科フォーラムが発足し、2003年に第1回が開催されました。また、2006年に第11回日本手術手技研究会を、2009年に第32回日本美容外科学会総会(併催:日中形成外科学術交流会)を、2010年に第19回日本形成外科基礎学会をそれぞれ開催し、学会活動も活発に行いました。さらに、2010年には附属病院・こども医療センターで大型の厚労省科研費を取得するなど、研究面でも業績を上げました。

上記の様に人員・活動が拡充・活発化し、対外的な認知度も上昇したことで念願の講座化へ向けて基盤が整ったように思われましたが、残念ながらこの時代での講座化は叶わず、次の時代へ持ち越しとなりました。

前川二郎 初代主任教授時代(2010~2022)

前川二郎 主任教授
形成外科創立50周年記念式典 集合写真(2018年)
形成外科創立50周年記念式典 集合写真(2018年)

前川二郎主任教授 ヒストリービデオ

2011年、診療科としての長年の努力が実を結び念願の講座化が実現し、公募・選考を経て前川が主任教授に就任、新体制が始まりました。附属病院では引き続きリンパ浮腫と再建外科を中心とした診療・研究を、センター病院では佐武利彦が准教授として自家組織移植を用いた乳房再建を中心とした診療・研究をそれぞれ行い、新しい2本柱の診療体制となりました。

講座化により基礎研究費や医学部教員ポストを獲得できたことに加え、形成外科学として大学院生を指導し学位申請が可能となるなど、医局の環境は大きく変化しました。2012年には鍵本慎太郎が形成外科学教室初の大学院生となり、臓器再生教室との共同研究などを経て大学院を卒業し学位(甲号)を取得しました。それに続き、2013~2022年にかけて10名以上の医局員が学位を取得し、学位を持つ医局員が徐々に増えていきました。

医局員の数も継続的に増加し、2015年に40名、2017年に50名、2020年には60名を超えました。人員の増加にあわせ、2013年には横浜労災病院および横浜市南部病院が、2016年には横須賀市立市民病院が、2019年には茅ヶ崎市立病院が、それぞれ形成外科の常勤関連施設となり、それぞれ特色ある診療を行っています。

学術活動として、附属病院で経産省臨海特区プロジェクトリーダーの大型の研究費を取得したことに加え、文科省科研費も継続的に取得し研究成果を上げています。また、褥瘡学会神奈川在宅セミナー、日本シミュレーション外科学会、日本リンパ浮腫治療学会、形成外科手術手技学会、日本形成外科基礎学会など複数の学会・研究科を主催し、それぞれ成功裏に会を終えました。

2018年には医局創立50周年を記念して、教室ロゴマークの制作や記念式典などのイベントが盛大に執り行われました。また、2020年には佐武が富山大学医学部形成再建外科・美容外科の初代教授に就任し、教室初の他大学教授となりました。講座化を契機として、上記のように様々な領域で医局の発展が急速に進み、次の時代へと繋がることとなりました。

林礼人 第二代主任教授時代(2022~) 

林礼人 主任教授

2022年に前川が退任し、林礼人が第二代主任教授に就任しました。新体制になってまだ日は浅いものの、赴任後すぐから自身の専門領域である顔面神経麻痺、血管腫血管奇形、皮膚腫瘍外科などに対する診療を中心に精力的に活動し、医局・病棟・外来・手術室など各部署での勉強会開催や国際的なWebinarでの講演など、教室に新しい風を吹き込んでいます。

また、血管奇形に対する血管内治療や医師主導治験、レーザー機器の導入、さらに附属病院も含めたホームページの大幅改訂など、新たな取り組みを赴任直後から次々と行ない、関連病院全体への訪問を率先して敢行するなど、医局全体の発展に向け、積極的に取り組んでいます。

開設から50年以上を経て、横浜市立大学形成外科学教室は医局員・OBあわせて200名近く、県内外の10以上の関連施設に人員を派遣する大きな組織へと成長しています。 今後のさらなる飛躍を目指しています。

外来担当表




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