教授挨拶
形成外科医としての歩み
横浜市立大学形成外科は、1968年に日本の大学病院では5番目、公立大学病院では初めて開設された50年以上の長い歴史を有する形成外科学教室になります。
この度、2022年10月に7代目の科長、そして第2代主任教授として赴任致しました。
まずは、私の形成外科医としての歩みを紹介させて頂きます。大学卒業後に、体表面の問題を抱える方々への手助けが出来ればとの想いや皮膚外科手術への興味などから、皮膚科にて初期研修医を過ごした後に、外科専門医として歩みを進めるため、形成外科を専攻しました。
形成外科入局後には、口唇口蓋裂や多合趾症といった先天性疾患や難治性潰瘍の治療に携わる機会を得ました。その後、大学院へと進学し、末梢神経再生の基礎研究に勤しみました。実験を通して学んだマイクロサージャリーの素晴らしさと大きな可能性に魅了され、頭頸部・四肢を中心とした多くの再建手術を担当し、再建外科医としての歩みを始めました。大学院卒業後に出向した三次救急の基幹附属病院では、切断指再接着や広範囲熱傷をはじめとした重度外傷例の再建を数多く担当し、その後留学した米国ワシントン大学セントルイスではリサーチフェローとしてラボの中で様々な役割を担い、末梢神経再生の基礎研究を大きく発展させました。帰国後には、複数診療科にまたがる高度な再建手術を任され、頭頸部や四肢への再建のみならず肝移植、乳房再建なども行ってきました。また、皮膚軟部良悪性腫瘍に対する腫瘍外科医としても、総合的な治療を数多く実践してきました。 形成外科には、外傷、腫瘍、先天性疾患、再建外科と大きく4つの領域が存在しますが、全ての領域において幅広い経験を積んでました。そうした自身の経験を余すこと無く伝承し、各領域に対応しうる専門医の育成に尽力すると伴に、横浜の地域医療の充実に貢献したいと思います。また、専門領域として行ってきた顔面神経麻痺再建や皮膚軟部悪性腫瘍、血管腫・血管奇形などについては、柱となる領域として国内外にむけた様々な発信を行ない、新たな試みにも挑戦しながら学術的な発展に貢献していけたらと考えています。
横浜市立大学形成外科における研修
形成外科は、外科的手段によって患者さんの精神的・心理的な苦痛・痛みを軽減し、患者さんの社会復帰や生活の質の向上を促す身体ー精神ー外科学とも言われます。身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対応するため、多岐にわたる領域が存在します。
横浜市立大学形成外科は、2つの附属病院に加え、神奈川県立こども医療センターをはじめとした10以上の関連施設を有し、他診療科との高度再建手術や先天性疾患、救急医療など施設毎の特徴を活かした幅広い研修並びに勤務が可能です。とりわけ、リンパ浮腫診療や口唇口蓋裂に代表される先天性疾患、乳房再建、眼形成治療、救急診療の領域では、従来から数多くの発信がなされており、自身の行ってきた顔面神経麻痺再建や皮膚軟部悪性腫瘍、血管腫・血管奇形診療といった領域が加わることで、専門性の高い診療を学ぶ機会もより豊富になるものと思われます。
関連施設の充実により偏りの少ない専門医の育成を目指すと伴に、興味を持って生涯取り組める専門領域やテーマを持つことで、医師人生をより豊かなものにして貰えたらと考えています。
また、得られた良質な診療手段を横浜並びに神奈川県の地域医療に還元し、より良い明日に繋がる医療を提供して貰える様、精一杯尽力していきたいと考えています。
横浜から世界へ
横浜市は国際性に富み、外国人人口の最も多い都市の一つとされます。また、形成外科は、世界との垣根が低く、コロナ禍を通したWEB会議の発展で、その傾向がより一層増しています。
末梢神経再生の基礎研究をライフワークとして行ってきましたが、大学院への進学や海外留学を推奨し、研究活動を充実させることで、生涯取り組めるテーマを持てる様、サポート出来たらと考えています。
探求し学ぶ喜びを享受し、「リサーチマインドを持った臨床医」そして「Surgeon scientist」の育成を行なうと伴に、国際的な発信を促し“場”を提供することで、自身が体感してきている世界と繋がる素晴らしさ、そして世界に発信出来る喜びを幅広く共有出来ればと考えています。
各々の個性や多様性を生かし、主体性を尊重しながら息の長い活躍が出来る様に、そして横浜に根ざした国際性、進取性に富む学風を体現するグローバルな活躍が出来る様に、これから全身全霊を捧げていきたいと思います。
皆様からのご指導・ご鞭撻を賜れますと幸いです。
今後とも、何卒宜しく御願い申し上げます。
2023年1月20日
主任教授 林 礼人 (Ayato Hayashi)
履 歴
学歴及び職歴
- 1995年
- 3月
- 順天堂大学医学部卒業
- 1995年
- 5月
- 順天堂大学医学部附属順天堂医院 皮膚科 臨床研修医
- 1997年
- 4月
- 順天堂大学医学部形成外科学講座 専攻生
- 1998年
- 4月
- 順天堂大学医学部形成外科学講座 助手
- 1999年
- 4月
- 順天堂大学 医学部 大学院 入学
- 2003年
- 3月
- 順天堂大学 医学部 大学院 卒業
- 2003年
- 4月
- 順天堂大学付属順天堂静岡病院 形成外科医長
- 2005年
- 4月
- 米国 ワシントン大学セントルイス 留学(ポスドク)
- 2007年
- 7月
- 順天堂大学医学部形成外科学講座 助教
- 2007年
- 10月
- 順天堂大学医学部形成外科学講座 准教授
- 2011年
- 11月
- 順天堂大学医学部形成外科学講座 先任准教授
- 2012年
- 2月
- 東京医科大学 皮膚科学講座 兼任准教授
- 2017年
- 4月
- 順天堂大学 医学部 形成外科学講座 教授
- 2017年
- 5月
- 順天堂大学附属浦安病院 形成外科・再建外科 教授
- 2022年
- 10月
- 横浜市立大学医学部形成外科学講座 主任教授
賞 罰
- 2003年
- 日本形成外科学会 学術奨励賞 基礎部門
- 2007年
- ワシントン大学 形成外科 James Barrett Brown Resident Research Day Best Basic Science resentation
- 2013年
- 日本形成外科学会 学術奨励賞 臨床部門
- 2016年
- 日本形成外科学会 学術奨励賞 臨床部門
専門医
日本形成外科学会専門医、日本形成外科学会領域指導医、がん治療認定医、皮膚腫瘍外科指導専門医、創傷外科学会専門医、日本頭蓋顎顔面外科学会専門医、小児形成外科分野指導医、再建・マイクロサージャリー分野指導医、日本レーザー医学会レーザー専門医、日本臨床皮膚外科学会認定医、レーザー分野指導医、顔面神経麻痺相談医
所属学会等
日本形成外科学会評議員(将来計画委員、レーザー分野指導医委員、皮膚腫瘍外科指導専門医委員、CST委員)
日本末梢神経学会理事(機関誌 “末梢神経” 編集委員)
日本レーザー医学会理事
日本顔面神経学会幹事(顔面神経麻痺認定医委員)
日本頭蓋顎顔面外科学会評議員(専門医委員会、将来計画委員会)
日本創傷外科学会評議員(学会誌”創傷”編集委員、英文機関誌 “International Journal of Surgical Wound Care”編集委員、専門医認定委員会)
日本皮膚悪性腫瘍学会評議員
日本マイクロサージャリー学会評議員(国際委員会委員)
日本皮膚外科学会評議員(国際関係・学術委員会)
日本血管腫血管奇形学会評議員
日本サルコーマ学会評議員
日本レーザー治療学会評議員
日本手の外科学会、日本皮膚科学会、日本熱傷学会、日本褥瘡学会、日本臨床皮膚科医会、日本臨床皮膚外科学会、日本頭蓋底学会、整容脳神経外科学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
Active member of American Society for Peripheral Nerve International member of American society of plastic surgeons
専攻領域
再建外科、マイクロサージャリー、顔面神経麻痺再建、血管腫・血管奇形、皮膚軟部良悪性腫瘍、頭頸部再建、四肢軟部組織再建、小児先天奇形、難治性潰瘍
外来担当表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
形 成 外 科 | 受付時間 |
| |||||
初診・再診 | 三木 亭人 飯塚 光輝 | 林 礼人 | 奥山 智輝 飴井 千佳乃 | 川俣 友佳(隔週) 馬場 英理子(隔週) | 北山 晋也 松本 優衣 | ||
専門外来 | 午前 | ・顎顔面外来 ・小耳症外来(夏季) 担当医 | ・顔面神経麻痺再建外来 ・皮膚軟部腫瘍/血管奇形外来 ・リンパ浮腫外来 担当医 | ・乳房再建外来 担当医 | ・難治性潰瘍外来 担当医 | ||
午後 | ・リンパ浮腫外来 ・眼形成外来 ・再建外来(第1週) 担当医 | ・リンパ浮腫外来(第4週) ・先天性疾患外来 ・レーザー外来 担当医 |