市民総合医療センター

診療科紹介

横浜市立大学の附属病院である市民総合医療センターは横浜市南区浦舟町にあります。関内駅からも近く、高速道路のインターチェンジ（IC）も近くに3か所（坂東橋、花の木、横浜公園）あり、アクセスしやすい場所にあります。診療分野として、乳房再建、頭頚部再建、手外科、眼形成、顔面神経麻痺、顔面骨骨折、熱傷、先天異常、皮膚悪性腫瘍、肥厚性瘢痕などが挙げられます。

診療体制

現在、形成外科専門医5名を含む常勤医師7名で診療を行っています。治療に関しては、手術が中心となりますが手術以外の選択肢も提供できるように、スタッフは週に1度のカンファレンスでDiscussionする事で治療方針を決めております。

特徴的な診療領域

形成外科が取り扱う疾患は多岐にわたりますが、市民総合医療センターでは特に強い分野があります。

① 乳房再建② 手外科③ 眼形成

① 乳房再建

自家組織(脂肪組織)による再建を中心に、患者さんそれぞれの状況や背景に応じたテーラーメイドの再建を行っております。特に一次再建に関しては、乳腺外科と密な連携をとり、乳癌の治療から再建までトータルで完成度の高い治療を提供しております。二次再建に関しても、それぞれの患者さんの状況や背景を考慮し、希望に沿った再建方法の提供を心掛けております。

自家組織による再建

腹部や大腿部などから、血管付きの脂肪組織を採取し、乳房の形態を作ります。自然で柔らかい乳房を作成することができ、メンテナンスも不要となることがメリットですが、吻合した血管のトラブルや皮弁壊死などの合併症の可能性や、安静度制限、手術侵襲が大きいことがデメリットとなります。

腹部皮弁による一次一期再建

インプラントによる再建

ラウンドタイプ、アナトミカル(しずく)タイプのインプラントを用いて再建を行います。手術侵襲が比較的小さく、乳房以外に傷跡ができないことがメリットですが、感染や露出、破損などの合併症や、下垂した乳房の再現が難しいなどがデメリットです。近年では、頻度は少ないですがBIA-ALCL(インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)という合併症もあり、定期的な診察・画像検査が必須となります。

インプラントによる一次二期再建

② 手外科

同じ敷地内にある高度救命救急センターと連携し、切断指や開放骨折などの外傷に対するマイクロサージャリー（顕微鏡下手術）、指欠損や末梢神経障害に対する足趾移植や腱移行、他には、手根管症候群や肘部管症候群、変形性指関節症、母指多指症などの先天奇形などにも対応しています。

指が切断された場合、切断された指の血行を再開させる再接着手術を早急に行わなければなりません。もし切断してしまった場合は、再接着が可能な場合がありますので必ず持参してください。可能であれば指はまず湿ったガーゼで包んでからビニール袋に入れ、さらにそのビニール袋を外側から氷水で冷やした状態で持参してください。手はガーゼ等で保護・圧迫、挙上してください。再接着が可能な場合は微小血管吻合（顕微鏡を用いて細い血管を繋ぎ直す手術）を行います。切断部の損傷の強い部分を切除し、骨の固定および腱の縫合を行い指の全体的な形態を治します。次に、血管（動脈と静脈）と神経を縫合しますが、直径0.5mm~1mmと極めて細いため、手術用顕微鏡を用いて縫合します。最後に皮膚を縫合します。切断指の状態が悪く、再接着ができない場合でも皮弁という技術を用いて指の再建が可能です。後日、足指を移植して、指を作ることも可能です。見た目と機能に配慮した治療を行います。

指の再接着

受傷時の写真

母指(石川SubzoneⅢ)・示指(SubzoneⅢ)での完全切断

術中写真

術後3年の写真

母指への血管柄付き足趾移植

術前

術中写真

術後

③ 眼形成

一般的に、形成外科医が眼形成というと眼瞼下垂治療が一般的ですが、当院では眼瞼下垂はもちろん、眼瞼内反（Jones法やLTS法）、睫毛内反（Hotz法や埋没法）、眼瞼外反（LTS法やLazy₋T法）、兎眼（耳介軟骨移植や大腿筋膜移植）、顔面神経麻痺（眉毛固定や筋膜移植）、霰粒腫（ケナコルトや切開）、眼瞼悪性腫瘍（摘出および前葉・後葉の再建）、眼瞼けいれん（ボトックス、前頭筋吊り上げ、ADM手術）、流涙、鼻涙管閉鎖（Tube挿入、涙嚢鼻腔吻合術鼻内法、涙嚢鼻腔吻合術鼻外法）、涙小管断裂（顕微鏡下に吻合）、翼状片（結膜回転弁）、結膜弛緩症（凝固法、切除術）、結膜下脂肪ヘルニアなどほとんどの外眼部手術に対応しています。また、眼科と密に連携をとることで整容面だけでなく機能面も重視した治療を行っています。