実践力と研究力を備えた法医学者育成事業 文部科学省「基礎研究医養成活性化プログラム」採択事業

ごあいさつgreeting

ご挨拶 本事業責任者 井濱容子(大学院医学研究科法医学)

法医学とは、裁判などで争点となる医学的事項に関して判断や助言をすることによって、法律の公正な運用を助けることを使命とする医学の一分野です。法医学は社会医学に分類され、特に「法医実務」を通しての社会貢献が求められます。法医実務の主軸は解剖鑑定であり、解剖によって死因や死に至る経緯を明らかにすることは、故人や遺族の権利を守るだけでなく、地域社会の安全、公共の福祉に寄与します。さらに、法医実務には児童虐待やDV被害者に対して行われる「生体鑑定」も含まれます。警察や児童相談所などからの依頼を受けて、被害者に認められる損傷の受傷機序や経緯を解明する手助けをしています。法医学が社会において果たす役割は大きく、それらは我々法医学者にとっての重要な責務であると自負しています。
一方、本邦における実働法医学者数は150人余(日本法医学会調べ)とされており、国策である死因究明制度の推進のためにも即戦力となる法医学者の育成が喫緊の課題となっています。本プログラムでは、法医学者に求められる法医実務能力を身につけるために、多大学、多機関、多領域との連携を通して各種実践的なトレーニングを行うことを目的としています。本プログラムによってひとりでも多くの優れた法医学者を育成し、未来に羽ばたく法医学者となることを祈っています。