新着情報

当科助教 加藤真吾の原著論文が、米国心臓血管MR学会(Society for Cardiovascular Magnetic Resonance)の学会誌 Journal of Cardiovascular Magnetic Resonanceに掲載されました

Prognostic value of resting coronary sinus flow determined by phase-contrast cine cardiovascular magnetic resonance in patients with known or suspected coronary artery disease.

Kato S, Fukui K, Kodama S, Azuma M, Nakayama N, Iwasawa T, Kimura K, Tamura K, Utsunomiya D.

J Cardiovasc Magn Reson. 2021 Aug 19;23(1):97. doi: 10.1186/s12968-021-00790-9.

https://jcmr-online.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12968-021-00790-9

心臓カテーテルの領域では、冠動脈内に圧センサワイヤーを挿入し、薬剤負荷を行って虚血を評価するFractional flow reserve (FFR)が広く用いられています。最近では、圧センサワイヤーを用いた安静時虚血指標であるiFRの有用性が提唱され、少しずつ臨床応用されています(Justin E. Davies et al. N Engl J Med 2017; 376:1824-1834)。

しかし、MRIに代表される非侵襲的な画像診断の領域では安静時虚血指標の有用性はほとんど検証されていないのが現状です。

この研究では、冠動脈疾患患者さんの冠静脈洞の血流測定をMRIで計測しました。冠動脈疾患の患者さんでは冠静脈洞の血流が上昇している傾向があり、血流が異常に高い患者さんでは心血管イベントリスクの発症が多いことがわかりました。

心筋血流が上がっているというと一見“良いこと”のようですが、行き過ぎた上昇は、背景にある心筋虚血や心筋線維化などの病的変化による酸素需要の増大に対する代償的反応を反映している可能性もあり、“注意すべき”状況にある心臓である可能性が示唆されました。

2021.09.01