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安田尚史助教のMRIの合成ECVの論文がJournal of Cardiovascular Magnetic Resonanceに掲載されました。

論文情報
タイトル:Synthetic Extracellular Volume Fraction As an Imaging Biomarker of the Myocardial Interstitium without Blood Sampling: A Systematic Review and Meta-analysis
著者: Naofumi Yasuda, Shingo Kato, Nobuyuki Horita, Ryusuke Sekii, Shungo Sawamura, Hiroaki Nagase, Daisuke Utsunomiya
掲載雑誌: J Cardiovasc Magn Reson. 2025 Mar 24:101889. doi: 10.1016/j.jocmr.2025.101889.

MRIのT1マッピングは心筋の組織性状評価や心筋症の鑑別に有用であり、細胞外液分画(Extracellular volume fraction: ECV)の計算が可能です。しかし、ECVの計算には血液検査でのヘマトクリット値が必要であり、この検査方法の欠点でした。最近、画像の血液の信号値から合成ヘマトクリット値を計算し、ECVを計算する合成ECV(synthetic ECV)が注目されています。この方法は血液検査を行うことなくECVの計算ができる優れた方法ですが、まだ新しい指標のため、正確性に疑問があります。

この研究は、メタ解析を行い、合成ECVと実際のECVとの相関関係、バイアスを評価し、この方法の正確性を評価しました。10件の論文から合計4,492人の患者データを抽出し、評価しました。

結果ですが、合成されたECVと実際のラボで測定されたECVとの間に非常に高い相関があることがわかりました。(1.5T MRIでの相関係数は0.95、3.0Tの相関係数0.91)。

また、合成ECVとラボでのECVのバイアスは、1.5テスラでは平均差で0.61%、3.0テスラでは0.24%でした。これは、どちらの場合も1%未満の非常に小さい差であり、合成ECVが実際のECVと非常に近い値を示していることを意味します。

この結果から、合成ECVは血液検査なしで心筋の細胞外スペースを非侵襲的に評価する有効な方法であることが示されました。この技術は心疾患の診断や治療において重要な意味を持つと考えられます。

2025.03.28