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心サルコイドーシスの遅延造影MRIによるリスク層別化に関する論文がInternational Journal of Cardiovascular Imagingに掲載されました。

論文情報:Prognostic role of late gadolinium-enhanced MRI in confirmed and suspected cardiac sarcoidosis: meta-analysis

著者:Ryusuke Sekii, Shingo Kato, Nobuyuki Horita, Daisuke Utsunomiya

掲載雑誌:Int J Cardiovasc Imaging.2024 Jul 16. doi: 10.1007/s10554-024-03191-y. Online ahead of print.

心臓サルコイドーシスにおける遅延造影MRI(LGE-MRI)の予後予測は、大きな注目を集めています。しかし、一部の研究では、確定症例と疑い症例が区別されていないため、解釈のあいまいさが生じています。このメタアナリシスでは、確定CSと疑いCSの心臓MRI所見の違いと予後の有用性を評価しました。

PubMed、Web of Science、Cochraneの各ライブラリーを用いて文献検索を行い、CSとCS疑いにおける心臓MRI所見とその予後的有用性を比較しました。両群におけるLGE MRIの有病率、オッズ比、心イベントを予測するハザード比を比較するためにメタアナリシスを行いました。24の異なる集団を包含する合計21の研究がメタ解析に含まれました(CS:393例、CS疑い:2151例)。

結果として、CSでは、左室(87.2%対36.4%、p<0.0001)および右室(62.1%対23.8%、p=0.04)のLGE頻度がCS疑いよりも高かった。CSが疑われる患者では、左室LGEの存在が高い全死因死亡率[オッズ比:5.70(95%CI:2.51-12.93)、p<0.0001、I2=8%、異質性のp=0.37]および心室性不整脈[オッズ比:15.51(95%CI:5.65-42.55)、p<0.0001、I2=0、異質性のp=0.94]と関連していました。一方、CSでは、左室LGEの存在ではなく程度が転帰の有意な予測因子でした(LGE%10%増加あたりのハザード比=1.83(95%CI:1.43-2.34、p<0.001、I2=15、異質性のp=0.31))。

左室LGEの有無はサルコイドーシスが疑われる患者の強力な予後因子でした。一方、確定診断された心サルコイドーシス患者においてはLGEの定量的評価が予後予測に有用であることが示唆されました。

(本研究は横浜保土ケ谷中央病院 循環器内科 関井 隆介先生との共同研究です。)

2024.07.17