宇都宮大輔教授から学会の参加報告をいただいたので、掲載します。
2/10土曜日に東京にて第98回心臓血管放射線研究会(通称:心放研)が開催され、参加してきました(当番会長 東京女子医大附属足立医療センター 町田治彦先生)。
特別講演、教育講演、一般演題(症例報告含む)、フィルムリーディングで構成されます。
心放研の特徴のひとつは一般演題が充実している点であり、リサーチマインドも高い研究会です。150名程度の参加で、日本の循環器画像に携わる放射線科医はほぼ参加していると思います。「全国で150名くらいしか循環器放射線を主軸とする放射線科医がいない」とも言えてしまいますが…
いつもながら、ディスカッションが長引き、結局は休憩時間なく朝から夕方まで行われ、それでも終了時間も延びるという「心放研らしい」会となりました。
特別講演(東京女子医大重症心不全制御学 布田教授)から心移植管理の講演があり、30年遅れとされる日本の心移植医療の現状と今後の方向性について学ぶことができました。特に移植後管理における心筋性状を非侵襲的イメージングで評価し、心筋生検の必要性を減らしていくことに意義があると知りました。また、布田教授からは「患者へ寄り添う医療」の話もあり、医療者としての本質と原点を再認識する機会となりました。
また、広島大の粟井教授からはPhoton counting CTについての講演があり、原理、臨床応用、将来展望など大変勉強になりました。僭越ながら熊本大学時代の師匠である粟井先生の講演の座長を担当させてもらいました。Photon counting CTの導入にあたってはデータ量増加を伴うため、ストレージや転送など周辺の整備・管理にも課題がある現状のようです。
教育講演の「B型大動脈解離のステントグラフト治療(奈良県立医大 市橋先生)」、「肥大型心筋症のMRI(榊原記念病院辺先生)」も大変勉強になりました。
本会で最も印象に残ったのは昨年ご逝去された高宮誠先生を偲ぶ特別企画でした。高宮先生は国立循環器病センター部長を長く務められ、動脈管開存症のカテーテル治療(ポルストマン法)を本邦に導入されたことでも有名な先生で、心血管放射線診療の発展に多大なる貢献をされました。慶応大学の先代教授の栗林名誉教授、岩手医大の吉岡教授、田中教授、東北大の高瀬教授もみなさん高宮先生の門下生です。気さくな先生で、でしゃばりな若造だった私にもよく話しかけてくださいました。定年後も心放研ではいつも一番前の席で最初から最後まで演題を聞いておられた姿からは多くを学びました。心よりご冥福をお祈りいたします。
心放研は1日に詰め込みますので、なかなかハードになりますが、充実した一日を過ごすことができます。横浜市大医局からの演題がこの会で多く発表される日が来るのを楽しみにしています。
2024.03.19