COVID-19 mRNAワクチン接種後の心膜心筋炎は、発症率約0.001%程度と稀ではあるものの、注目すべき副反応です。
心臓磁気共鳴画像法(CMR)は、心筋浮腫や線維化などの心筋組織の特徴を非侵襲的に評価できます。mRNAワクチン後心筋炎の診断に大きく寄与する可能性があります。
この研究ではワクチン後心膜心筋炎のCMR画像所見に関する論文のメタ解析を行い、次のような結果が明らかになりました。被検者の大半はmRNAワクチン2回目接種後の若い男性患者(年齢中央値:17歳、男性:91.6%、2回目接種後:91.4%)でした。
左室心筋のLGE(心筋壊死または線維化)は88%(95%CI: 81-92%)に見られました。好発部位は心外膜側76%(95%CI:61-91%)、下側壁74%(95%CI:55-94%)でした。LGE量(%LGE)は1〜3.9%と少なく、LV収縮機能はほぼ正常でした(左室駆出率中央値:58.3%、範囲:51.6〜60.6%)。その他のMRI所見は、心筋障害(T1異常)が64%(95%CI:44-84%)、心筋浮腫(T2異常)が79%(95%CI:65-95%)、心膜の異常造影効果が71%(95%CI:15-100%)、心嚢液貯留が25%(95%CI:8-41%)でした。87%の患者がMRIによる急性心筋炎の診断基準(Lake Louise基準)を満たしていました。
結論は、心膜心筋炎患者でCMRの異常を認める確率は高いですが、LGE量は1~3.9%と少なく、画像所見として重症度は高いとは言えないというものでした。ワクチン関連心筋炎の短期転帰は良好との報告があるものの、CMR所見と長期予後の関連性は不明の為、今後も報告を注視していく必要があります。
Imaging characteristics of myocarditis after mRNA-based COVID-19 vaccination: a meta-analysis
Shingo Kato, Nobuyuki Horita, Daisuke Utsunomiya
ESC Heart Fail. 2022 Nov 20. doi: 10.1002/ehf2.14236. Online ahead of print.
*この研究の結果は、客観的な科学的な結果を示しているものであり、ワクチン接種を勧めるものでも否定するものでもありません。
2022.12.21