新着情報

加藤真吾講師の執筆した心筋パーフュージョンMRIに関する論文が2023年のAHA/ACCガイドラインに引用されました。

論文タイトル:Stress Perfusion Coronary Flow Reserve Versus Cardiac Magnetic Resonance for Known or Suspected CAD

Shingo Kato, Naka Saito, Tatsuya Nakachi, Kazuki Fukui, Tae Iwasawa, Masataka Taguri, Masami Kosuge, Kazuo Kimura

J Am Coll Cardiol. 2017;70:869-879. doi: 10.1016/j.jacc.2017.06.028.

 冠動脈疾患において、血管の狭窄を評価するだけでなく、血管の支配する心筋の虚血の有無を評価することは非常に重要とされています。心筋パーフュージョンMRIは、心筋虚血を非侵襲的に正確に評価できる画像診断法です。欧米では盛んにおこなわれてきた検査ですが、日本国内では実施している施設は限られており、当院は検査実施可能な数少ない大学病院の1つです。この研究では、心筋パーフュージョンMRIで広範な虚血を有する冠動脈疾患の患者は虚血のない患者と比較して、有意に高い有害心イベント発症を認めました。すなわち、心筋パーフュージョンMRIで虚血を評価することで、濃厚な治療が必要なハイリスクの患者を検出できることを示しました。

 この研究の重要性が評価され、アメリカ心臓協会(American Heart Association, AHA)、米国心臓病学会(American College of Cardiology:ACC)が共同で発刊する慢性冠動脈疾患のガイドラインに引用されました(2023 AHA/ACC/ACCP/ASPC/NLA/PCNA Guideline for the Management of Patients With Chronic Coronary Disease: A Report of the American Heart Association/American College of Cardiology Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Virani SS et al. Circulation. 2023 Jul 20. doi: 10.1161/CIR.0000000000001168.)。

 このガイドラインの中で、“慢性冠動脈疾患を有し、診療ガイドライン推奨の治療にもかかわらず症状や機能的能力に変化がみられる患者において、心筋パーフュージョンMRIは心筋虚血の有無や程度の評価およびリスクの層別化、治療方針を決定するのに有用である。”との記載部分に、本論文が引用されています。世界中の循環器診療の基礎となるAHA/ACCの診療ガイドラインに引用される研究を発表できたことは、大きな成果であると考えられます!

2023.08.09