2024/5/4〜5/9 にシンガポールで開催された ISMRM(International Society for Magnetic
Resonance in Medicine)に参加しました。ISMRM は MRI の研究、開発、および臨床応⽤と
幅広い内容を含んでおり、放射線科医だけでなく、research scientists や MRI 開発企業など
幅広い職種が参加しています。
今回は⾮常勤でお世話になっている神奈川県⽴こども医療センターの新⽣児のデータから、
「MR fingerprinting の撮像中の体動検出についての検討」をポスターにて発表いたしまし
た。MR fingerprinting は T1 や T2 などの定量値を 1 スキャンで得られるマルチパラメト
リックイメージングの⼀つで、検査時間の短縮と定量化を両⽴することができ、近年注⽬さ
れています。現状では最終的に得られた T1 map、T2 map などの画像からは撮像中の体動
の有無は判断困難です。体動により定量性が損なわれる可能性があるため、本検討では客観
的に体動の有無を評価する⼿法を提案しました。今後は、放射線科医でも経験が多くなけれ
ば診断が難しい新⽣児脳症や代謝性脳症、髄鞘化遅延などの MRI 異常を、定量画像を⽤い
ることで診断を容易にするような検討をしていきたいと考えており、今回の検討が定量性
を担保する⼟台となると考えております。
今回の ISMRM でも、MR fingerprinting のみならず、造影 perfusion や MR spectroscopy な
どを取り上げた定量 MRI についての教育セッションは学会の初⽇にもかかわらず満席で、
⾮常にホットなトピックスであることが伺えました。
胎児や新⽣児の画像の定量解析に有⽤な MRI のソフトウエアやアトラスなども複数紹介さ
れており、今後の研究に活⽤したいと考えております。
⼩児というセッションも educational、scientific ともに複数組まれており、educational では
abuse が取り上げられていました。世界的にも増加傾向であり、⼤変深刻で注⽬度の⾼い問
題と思われました。
シンガポールは年中最⾼気温が 30℃くらいと常夏で、湿度も⾼く、蒸し暑かったです。円
安の影響もあり、⾮常に物価が⾼かったですが、シンガポールならではの⾷事も楽しむこと
ができ、⾮常に楽しく勉強になる経験をさせていただいた 6 ⽇間となりました。
2024.08.13