最先端のがんに関するセミナー、海外招聘セミナーを開催し、がんプロ公開セミナーとして、持続可能な多様性の調和教育につなげています。がんについて一緒に勉強しましょう。
がんプロが果たすべき目的の一つに「チーム医療」があります。
チームには医療者だけでなく、患者さんそしてそのご家族、お友達の参加が必要不可欠です。
がんプロは市民の皆様に「がんの現在」をお伝えいたします。
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セカンドオピニオンとは、主治医以外のほかの医者の話を聞いてみることです。横浜市立大学附属病院でもがんのセカンドオピニオンを受け付けています。 (詳細はこちら)
主治医以外の意見を聞いて参考にしたいという気持ちはだれもが持つものです。最近ではがん治療の方法などを決めるときには主治医が患者にセカンドオピニオンという選択があることを示すべきであるとされています。
日本ではどのくらいの人がセカンドオピニオンを受けているのでしょうか。少し前のデータですが厚生労働省がまとめた「平成23年受療行動調査の概況」によれば当時セカンドオピニオンを受けた人は全体の約30%であり、そのうちの80%が受けてよかったと答えています。3人に1人が受けているとすれば、それほど珍しいことではなくセカンドオピニオンはごく普通のことになってきているのではないでしょうか。
2016-18年の3年間で横浜市立大学附属病院にがんのセカンドオピニオンに訪れた方は340人でした。がんの種類は図の通りです。前立腺がん、子宮がん、卵巣がん、肺がん、大腸がん、肝がん、胃がんのように患者さんの数が多いものもありますが、膵がん、胆管がん、胆のうがん、リンパ腫、白血病、口腔がん、耳鼻科のがんなどのように患者さんの数が少ないものから、神経内分泌腫瘍、その他の中に含まれる脳腫瘍などまさに希少ながんの患者さんまで、様々な方が横浜市立大学附属病院のセカンドオピニオンに訪れています。
なぜほかの医者の話を聞いてみたくなるのでしょうか。あるいは聞いてみることが良いのでしょうか。それは自分で自分の病気の治療方針を決めることにつながるからです。セカンドオピニオンは「自分で決められないから人に決めてもらう」ためのものではありません。
自分で決めるには以下の3つが大切です。
この1)と2)を知り、3)を考えることで、自分とがんの関係を自分でも決められるようになります。
1)、2)を知るためには主治医とよく話すことが必要です。1)、2)についてよく話した結果3)についても主治医と話すことが出来ればセカンドオピニオンは不要なこともあります。
もちろん、すべてを知ることはとても辛く、聞いてがっかりしてしまうこともあるかもしれません。1)と2)を正確に知ると、これまで自分が思い描いていた3)が無理なことであり、修正を迫られることもあるかもしれません。
実はほかの医者の話を聞くことで、もう一つ良いことがあります。「聞くことで」というよりも「聞く準備をすることで」という方が良いかもしれません。それはほかの医者と自分の病気の話をするには、主治医から伝えられた診断、治療法を確認し直して自分自身の考えをじっくり練り上げるという、自分の病気をもう一度勉強する機会ができることです。自分の病気をよく勉強し、自分で治療の方法を決めようという気持ちがあれば、インターネットや雑誌、本などで問題になっている「インチキな治療」にだまされることも少なくなっていくはずです。
治療の目的を理解したうえで納得がいき、その目的とあなたの希望に沿った治療法を主治医、セカンドオピニオンの担当医と相談したうえで、あなたが決めるための作業をご紹介します。
セカンドオピニオンの先を決めるのはなかなか難しいかもしれません。主治医にあなたのがんを多く治療している病院、多く手術をしている病院などおすすめの先を教えてもらうことも一つです。今はインターネットもありますので、自力で見つけることも可能ですが、ネットの情報は危ういものがたくさん含まれます。かなり「インチキな」治療で「治る」と言い切るクリニックに騙される危険です。あなたがセカンドオピニオン先として選択した医療機関が適切であるかも主治医に相談するのが良いでしょう。
自分のがんの診断を正確に知っていますか?
まずは主治医の先生から「診断の詳細」を聞きましょう。診断とは、例えば「乳がんです」とか「胃がんです」で終わりではありません。がんのある場所、大きさ、リンパ節に転移があるか、リンパ節以外のどこかに転移があるか、いわゆるステージが含まれます。もしもあなたに何らかの症状、例えばおなかが痛い、腰が痛いというものがあれば、その原因となるものもあなたが知っておくべき「診断」になります。また治療をするうえで障害となるような併存疾患、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などというものも診断に含まれます。CTやMRIなどの「画像」を見ながら説明を受けることをおすすめします。
あなたの主治医はいくつの治療法を紹介してくれましたか?主治医が最も勧めた治療方法は何でしたか?その理由は何でしたか?
多くのがんにはガイドラインがあり、複数の専門家の検証によって適切な治療法が「標準治療」として記載されています。通常、主治医からはこの標準治療を勧められることが多いと思います。もちろん標準治療以外の治療法が選択されることもあります。しかしそれには理由が必要です。適切な標準治療がないという状況もあります。主治医はなぜその治療を勧めるのか、理由をよく聞き、納得がいくかどうかを考えてください。
さて、逆に主治医ができないといった治療法は何でしたか?できない理由は何でしたか?
以上について主治医と話し合いましょう。もしあなたが見つけたその他の治療法があれば、それについて主治医の意見を聞いてみましょう。
これは2)と大きく関係してきます。完全に治すためならどんなにつらい治療でも受ける、とか、あまりつらい治療を受けるのは嫌だとか、様々あると思います。あなたががんとその治療について今考えていること、希望することを考え、主治医と話しておきましょう。あなたの希望、病気に対する考え方について主治医がどのような意見を持つのかを確認してください。例えば、「あなたは何かの理由で(どうせ治らないのだとか、私の年齢でこの治療に耐えるのは無理だとか、働けなくなるのは嫌だとか)がんの治療を受けたくないという考えを持っていたとして、主治医はそれを非常にもったいないことでぜひ治療を受けるべきだと考えている」、あるいは「あなたはどうしても完治を望んでおり、一番辛い治療を受けたいと考えているが、主治医は完治は望めないことだからなるべく長く耐えられるような治療を勧めている」などといったことです。
治療には目的があります。完治を目的にできるがんもあれば、完治は困難でなるべく長生きをすることが目的のこともあります。この治療の目的自体があなたの希望とは合わない場合もあります。主治医が勧める治療の目的が納得のいくものであるかどうかもよく考えてください。
実は1)、2)はセカンドオピニオンを受ける紹介先への紹介状の中に書かれていることです。
診断に関しては医学の専門家でないあなたにとって、あまり疑問は生じないかもしれません。セカンドオピニオンでは、担当医の診断が主治医と同じであるかを確認することになります。
これは重要です。主治医が勧める治療方法は、最善のものなのか、主治医が出来ないといった治療は本当に出来ないのか、ほかにお勧めの治療はないのか、など聞きたいことは様々であると思います。当たり前のことですが、治療の何を聞きたいのかをよく考えていくことです。自分が最も期待する治療が出来るのか、出来ないのかは、あなたにとっては大きな問題です。例えば手術の出来る、出来ないに関しては専門家の間でも意見が分かれます。また手術が出来ないという意見の中には、手術という選択はないという考えと、手術はできなくはないがあなたの場合は(年齢のこと、合併症のこと等が理由になると思いますが)できない、あるいはやらないほうが良いという考えがあります。抗がん剤による治療でも同じです。治療が出来る、出来ない、を聞く場合、出来るときはどのような危険が伴うのかを、出来ないときはその理由を、納得がいくまで聞くことです。
準備の所であなたは自分のがんに対してどうしたいかを考えました。2)の治療法の決定は、あなたのどうしたいかという希望によって大きく変わります。
あなたの希望が合理的であるかどうかに対する主治医の意見はすでに聞いてあるわけですが、セカンドオピニオンの担当医の意見も聞きましょう。
まだ保険診療になっていない診断・治療法で、横浜市大が提供可能なもの一覧 (詳しくはこちら)
「治験」とは何かに関しては、横浜市立大学附属病院 次世代臨床研究センターのHPをご覧ください
現在当院では下記のがんを対象とした治験・製造販売後臨床試験を実施中です。
随時変更などもありますので、詳細に関しては臨床試験管理室までお問い合わせ下さい。
様々な本の中で多くの人々が、がんの生活と知恵について書き記しています。横浜市立大学がんプロは逗子市立図書館と一緒に「がん」を考えます。このコラムでは逗子市立図書館の司書の皆様が、心に残る本を紹介してくれます。ご一読されてはいかがですか。
横浜市立大学がんプロでは定期的な市民公開講座をこのコロナ禍の中でも市民の皆様にお届けするため、YouTubeに横浜市立大学がんプロ主催のがんに関する市民公開講座チャンネル『ヨコイチがんプロ』を開設いたしました。
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