精神科医師の会入会(入局)後の研修
「医師の会」とは
本教室の人事なども含めた様々な運営は、「横浜市立大学医学部精神科医師の会」(以下、医会)によって行っています。私たちと一緒に研修や診療、研究などを行っていただける方には、この医会に入会していただいています。これは、「医局への入局」にあたるものですが、医会が、いわゆる「医局制度」と異なるのは、それが民主的なシステムによって運営されているということです。現在医会は約150名の会員によって構成されていますが、全員の人事を含む医会の方針は、最終的には全員が出席した総会にて、多数決で決定されます。また、実務的な話し合いも、総会の選挙で選ばれた運営委員長と、医会の各世代から選ばれた運営委員11名とによって民主的に行われています。
入会後のローテート
医会への入会は、2年間の初期臨床研修を修了してからになりますが、入会後のローテートは「専門医研修」と「指導医研修」とに、大きく分けられます。
これらのうち「専門医研修」がおおよそ、大学のシニアレジデント・プログラム(後期研修制度)に則って研修を行う期間です。
1.専門医研修(後期研修:概ね卒後3~5年目)
この期間は「横浜市立大学精神科専門医研修プログラム」により、精神科専攻医として研修を受けて頂きます。プログラムの詳細に関してはこちらをご覧ください。
1年目は附属病院にて、基礎的な知識とスキルを身につけるべく研修します。この期間には、老年期専門外来や児童精神科の臨床や、脳波検査の判読を経験する機会も設けています。
次の2年間は、当プログラムの研修連携施設である総合病院(センター病院,横浜医療センター)および精神科病院でそれぞれ1年ずつ研修します。この3年間で、精神科専門医だけでなく精神保健指定医に必要な症例を経験できるよう配慮したプログラムとなっています。
「横浜市立大学精神科専門医研修プログラム」の研修連携施設は以下の通りです。
総合病院 | 精神科病院 |
横浜市立大学附属市民総合医療センター
|
神奈川県立精神医療センター |
これらの病院は、現役医会員あるいは指導の実績が豊かなOBが勤務している病院です。このように大学病院・総合病院・精神科病院で各1年ずつ研修を行うことで、急性期から社会復帰、精神科リハビリテーション、身体合併症診療に至るまで、幅広く精神科医療全般の経験を積むことができるようになっています。さらに、これらの病院の中には、スーパー救急、薬物依存・アルコール依存など、より専門性の高い精神科医療を行っている病院もあり、それぞれの病院の特性を反映した「+αの臨床経験」も得ることができます。
2.指導医研修(専門医・指定医取得後)
「横浜市立大学精神科専門医研修プログラム」での研修を経て晴れて精神科専門医となり、さらに精神保健指定医も取得された方には、今度は指導医として後進の指導に当たっていただきます。同時に各々の専門性をさらに高め、各分野での指導的存在になっていただいています。
3.大学院進学について
大学院への進学はどの時期でも可能ですが、多くの方は専門医研修の期間に進学し、学位を取得しています。本学では、専攻医として研修をしながら並行して大学院に在籍することも可能となっています。
4.医師の会における研修システムの運営
以上のような卒後約10年目までのローテート先は、毎年、医会員全員に希望ローテート先を提出してもらい、それを踏まえて運営委員会で話し合い、個別の調整を行った上で、最終的に総会で決定します。
また、事情によってローテート中に上記以外の勤務を行っている会員もいます。例えば、研究を継続したい人は留学などを考えることもあるでしょうし、特定の領域で専門性を高めたい人は、関連病院以外での研修を希望することもありえます。女性ならば、妊娠・出産・育児といったライフイベントもあり得るでしょう。このような場合でも、個々の目標・事情などを尊重しつつ、最終的には研修プログラムも修了していただけるよう、ご本人と話し合い、ローテートのプランを検討していきます。