消化管がんの発生・進展の分子基盤に関する研究
*私たちは、消化器癌の予後規定因子や治療標的分子となり得る分子病理学的異常を病理標本から探索・同定し、がんの診断と治療の発展を目指して研究しています。
*多くの早期大腸癌(粘膜下層浸潤癌; SM癌)は内視鏡的切除術(EMR/ESD)によって治療されますが、そのうち約10%にリンパ節転移がみられ、所属リンパ節郭清を伴う追加外科手術が必要となります。
*大腸癌治療ガイドライン(大腸癌研究会(編):金原出版,東京,2010)における追加外科治療を考慮すべき基準は、感度は高いものの特異度の低さが問題とされています。私たちは、早期大腸癌の病理標本を臨床病理学的に検討し、粘膜筋板完全破壊型の浸潤(図1a)や簇出(図1b)に着目した新しいリンパ節転移予測診断基準を提案しました(Tateishi et al. Mod Pathol 2010)。
*より高精度にリンパ節転移を予測することを目指して、現在、私たちは早期大腸癌におけるmicroRNA(miR)発現と臨床病理学的因子との相関について解析しています(図2)。
本研究計画は、横浜市立大学研究倫理委員会と横浜南共済病院研究倫理委員会において承認を受けています。研究に関する問い合わせは以下まで。
横浜市立大学医学部病態病理学
奥寺康司・立石陽子(客員講師)
Tel 045-787-2583; e-mail ytateish@yokohama-cu.ac.jp