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とある若手麻酔科医の末梢神経ブロック研修報告@ドイツ・フランクフルト 

2018年3月、ビーブラウン社様が主催しているドイツ・フランクフルト大学整形外病院の末梢神経ブロック研修に参加させて頂きましたのでご報告いたします。

 

フランクフルト大学整形外科病院はその名の通り整形外科手術に特化した病院であり、末梢神経ブロックで高名なポール・ケスラー先生が麻酔科教授を務めておられます。研修中は患者様の年齢を問わず上肢・下肢様々な種類の神経ブロックが行われていました。中でもケスラー教授は腰神経叢ブロックに力を入れており、今回の研修でその技術の高さと有効性に強い感銘を受けました。ただし難易度も高い深部の末梢神経ブロックであるため、日常診療に取り入れていくためには自らのスキルを上達させる必要性も感じました。適切な神経ブロックが的確に施行されると術中の麻薬も必須ではなく、吸入麻酔薬のみで術中管理をされている場面を幾度も目の当たりにし、既に日本が直面し始めている高齢社会のニーズに合致する麻酔方法であることを再認識しました。

 

神経ブロックだけでなく海外の麻酔そのものを見ること自体、非常に貴重な経験であり興味深い点が多々ありました。

例えば日本ではお目にかかれないほど恰幅の良い患者様の麻酔を何件も拝見しました。気道確保に関して、適切な体位をとりエアウェイやラリンゲアルマスクを駆使すれば大抵換気はできてしまします。気管挿管が難しい患者様にはガムエラスティックブジーが大活躍していました。麻酔の維持には約20年前からデスフルランが導入され、覚醒遅延もほとんど問題にならない様子でした。

その他、動脈確保や中心静脈確保の方法の違い、麻酔中に使用している昇圧薬の違い、麻酔看護師の手際の良さが印象に残っています。

 

研修中はドイツでの日常生活や観光も満喫させていただき、公私ともに非常に有意義な研修を送ることができました。フランクフルトはヨーロッパ経済の中心地とだけあって近未来的な高層ビルが立ち並ぶ一方、中世に建立された教会や街並みが残っており独特な景観で訪れる人の心を掴みます。またドイツは移民の受け皿となっている国ですので、様々な人種が混然一体となっており独特の雰囲気を感じました。郊外には美しい古城が数多く点在しているため、限られた時間の中でどの城に訪れるか非常に迷いました。

 

日本を出発する前は期待とともに不安も日増しに強くなっていきましたが、いざその環境に飛び込んでみると案外何とかなるものだと感じました。何よりケスラー教授をはじめとしたフランクフルト大学整形外科病院の麻酔科の先生方、手術室のスタッフの方々、教授秘書の方にとても親切にして頂き大変感謝しております。またこのような大変貴重な機会を与えてくださったビーブラウン社様、後藤教授、日常業務の穴を補填して下さった医局員の皆様には厚く御礼申し上げます。今回の経験を医局内にフィードバックするとともに、更なる自己研鑽を積んでいく所存でございます。