○4年次春学期、4月、
研究室の生活に馴染ませつつ、いよいよ「研究」がスタートします。研究とは、①今まで世界中の誰も解いていない未踏の課題を自ら探し出し、②それを解決し、そして③世界に向けてその成果を発信する、ことです。「未踏の課題」に対しては、当然ですが、模範解答やマニュアルといったものは存在しません!
とは言いつつ、4年次でいきなり卒業研究課題を探し出すのは極めて困難なことです。そこで量子物理化学研究室では、配属学生と相談しながら、いくつかの独立した研究課題を用意します。課題によっては、例えば生命科学(例:タンパク質やDNA塩基対に関するシミュレーション)、有機化学(例:有機化学反応メカニズムの解明)、材料科学(例:次世代エネルギー材料に関する理論的研究)、物性物理学(例:強誘電体相転移の研究)など、実験科学が大きく関連する場合もあります。基礎・応用数学(最適化問題)、理論物理学(新しい手法の開発)、情報科学(モンテカルロ法、並列化)など、計算科学が主となる場合もあります。皆さんと充分に相談しながら、各自に適した卒業研究課題を決定していきます。
○4年次春学期、5月~
卒業研究課題が決まったら、スタッフや先輩方と議論しながら研究を進めていきます。週一回実施される研究室セミナーで、その週に行った研究進捗状況を全員の前で報告します。どのように発表したら自分の伝えたい内容を相手に理解してもらうことができるのか、またそのためにはどのようなレジュメを予め作成しておけばよいのか、研究室セミナーを通して発表能力を身につけていきます。一方、他のメンバーの発表時には、必ず質問をしてもらいます。議論をする上では、質問する力、そしてそれに対して応答する力は、とても大切です。
英語力も大変重要です。卒業研究課題が決まると、その内容に関する最新の英語論文を読みます。専門用語(テクニカルターム)は、今まで勉強して覚えてきた意味(和訳)とは異なる場合があります。独特な表現方法も多々あります。将来、自分の研究成果を英語で発表することを意識して、今のうちから英語論文を読破しておきましょう。例年ですと、12月頃、自分が勉強した英語論文を、皆の前で発表してもらいます。ちなみに量子物理化学研究室では、土曜日の午前中に、英語輪講セミナーを開催しています。ゼミ形式で、第一原理計算に関する洋書を、皆で輪読します。
○4年次秋学期の研究
卒業研究の頑張り次第によっては、9月に開催される「分子科学討論会」にてその成果を発表します。12月に開催される他大学との合同シンポジウムでは、(有無を言わさず)4年生全員が「口頭発表」の機会を与えられます。他大学の先生の前で各自の成果を発表しますので、もちろん緊張するでしょう。しかしこの「口頭発表」が、後々、大変良い経験として活きてきます。
冬休みも過ぎ、1月に卒業論文を提出、2月の卒業論文発表会の頃には、研究成果がまとまり始めます。量子物理化学研究室では、卒業論文発表会までに英語で研究成果をまとめ上げ、一流の国際学術誌に投稿した学生もいます。