当研究室希望者諸君へのメッセージ

一年生諸君へ

 立川・島崎・北が担当する以下の学部科目は、量子物理化学研究室にとっては最も基礎的な内容として位置づけられます。

1年前期:化学結合と構造a、力と運動a、微分と積分演習、ベクトルと行列演習
2年前期:量子物理化学研究室体験ゼミ(@物質科学ゼミ)←希望者は必ず選んで下さい!
2年後期:計算分子化学、シミュレーション実験
3年前期:量子化学
3年後期:研究室配属

 以上の科目以外にも、基礎物理学(力と運動、電磁気学、統計力学、量子力学)、基礎化学(有機化学、無機化学、物理化学)、基礎生命科学を履修していることが望ましいです。いつも講義で言っていますが、基礎(武器)の勉強(習得)は、今後の研究を遂行する上で非常に大切です。できるだけ早いうちに、きちんと理解して、自分のものにしておきましょう。

 (とはいえ、3年前期までに全てを理解するのは難しいもの。理解が足りないと思ったら、研究室に配属されてから頑張りましょう。)

二年生諸君へ

○量子物理化学研究室体験ゼミ(@自然科学ゼミ)

 2年生前期に、数名程度の学生を受け入れる予定です。我々のグループの体験ゼミでは、予め用意したいくつかの課題をもとに計算科学シミュレーションを体感してもらいます。シミュレーションを実行し、結果をまとめ考察し、発表する、といった一連の作業をやり遂げます。ちなみに2015年~2017年のテーマは、

● C60フラーレン分子の結晶成長における結晶基板面と振舞いの関係
● 人口DNA
● ナフタレン置換体における陽電子吸着機構の理論的解析
● NIPAAmの構造解析
● ベンゼン誘導体における陽電子の吸着機構の理論的解析
● 両親媒性分子の自己集合
● 野菜の色を調べる
● 回転障壁について
● トリペプチドにおける陽電子吸着に関する理論的研究
● フラボノイド類の光特性
● 神はサイコロを振らない
● BF2含有1,3-ジピロール-1,3-プロパンジオンにおけるアニオンの会合過程の理論的解明
● C60フラーレン分子の結晶成長における結晶基板面と振舞いの関係
● ニトリル化合物における陽電子吸着機構の理論的解析
● フッ素付加ベンゼン類に対する陽電子吸着性の解明
● 歯車状両親媒性分子によるナノキューブの自己集合過程
● アミノ酸の双性イオンに対する陽電子吸着の可能性に関する理論的考察
● 陽イオンクラスター~NIPAAm~
● 量子化学計算による漢方薬の薬効機構の解明
● アミノ酸における陽電子吸着の解析
でした。

 例年、我々の研究室の課題は3週間では終わらず、意欲的な学生はそのまま研究を続け、学会で研究発表を行っています。皆さんも、是非、その充実感を味わって下さい。

三年生諸君へ

○3年次夏休み
夏休みの間に、以下2冊の本を読み込んでおいて下さい。3年次後期からの配属に備えるためです。

  • 「量子力学を学ぶための解析力学入門」、高橋康、講談社
  • 「量子力学(1)」小出昭一郎、(基礎物理学選書5A)、裳華房

○3年次秋学期
 3年後期から本配属となります。当研究室では、徹底的に基礎理論を「勉強(復習)」します。教科書として、
・「新しい量子化学(上)」Szabo & Ostlund、東京大学出版会
を使用します。基礎数学、基礎量子力学、基礎量子化学、第一原理計算手法に関して、ゼミ形式で勉強(復習)します。ゼミ形式とは、今までの講義形式とは異なり、自分でレジュメを作成して、皆さんが先輩や先生の前で説明をします。例年、週2回、夕方4時頃から始めています。

→ 詳細は、「研究室活動」を見てください。
 量子物理化学研究室では、理論を具現化するための道具として、コンピュータ(計算機)を使います。研究室の(仮)配属に際し、計算機に対する特別な知識は必ずしも必要ありませんが、配属後は講習会を通して計算機に関する勉強をします。計算機は、実験科学でいうとビーカーやフラスコ、さらには先端物性測定実習で使用した多彩な測定装置に対応します。計算機を用いたシミュレーションは、それらの器具・装置を使った合成反応実験や、物質創製実験、測定実験に対応しますので、我々の研究室ではとうしても計算機の使用が必須となります。
→ 詳細は、「計算機に関して」を見てください。

四年生諸君へ

○4年次春学期、4月、
研究室の生活に馴染ませつつ、いよいよ「研究」がスタートします。研究とは、①今まで世界中の誰も解いていない未踏の課題を自ら探し出し、②それを解決し、そして③世界に向けてその成果を発信する、ことです。「未踏の課題」に対しては、当然ですが、模範解答やマニュアルといったものは存在しません!
とは言いつつ、4年次でいきなり卒業研究課題を探し出すのは極めて困難なことです。そこで量子物理化学研究室では、配属学生と相談しながら、いくつかの独立した研究課題を用意します。課題によっては、例えば生命科学(例:タンパク質やDNA塩基対に関するシミュレーション)、有機化学(例:有機化学反応メカニズムの解明)、材料科学(例:次世代エネルギー材料に関する理論的研究)、物性物理学(例:強誘電体相転移の研究)など、実験科学が大きく関連する場合もあります。基礎・応用数学(最適化問題)、理論物理学(新しい手法の開発)、情報科学(モンテカルロ法、並列化)など、計算科学が主となる場合もあります。皆さんと充分に相談しながら、各自に適した卒業研究課題を決定していきます。

○4年次春学期、5月~
 卒業研究課題が決まったら、スタッフや先輩方と議論しながら研究を進めていきます。週一回実施される研究室セミナーで、その週に行った研究進捗状況を全員の前で報告します。どのように発表したら自分の伝えたい内容を相手に理解してもらうことができるのか、またそのためにはどのようなレジュメを予め作成しておけばよいのか、研究室セミナーを通して発表能力を身につけていきます。一方、他のメンバーの発表時には、必ず質問をしてもらいます。議論をする上では、質問する力、そしてそれに対して応答する力は、とても大切です。
 英語力も大変重要です。卒業研究課題が決まると、その内容に関する最新の英語論文を読みます。専門用語(テクニカルターム)は、今まで勉強して覚えてきた意味(和訳)とは異なる場合があります。独特な表現方法も多々あります。将来、自分の研究成果を英語で発表することを意識して、今のうちから英語論文を読破しておきましょう。例年ですと、12月頃、自分が勉強した英語論文を、皆の前で発表してもらいます。ちなみに量子物理化学研究室では、土曜日の午前中に、英語輪講セミナーを開催しています。ゼミ形式で、第一原理計算に関する洋書を、皆で輪読します。

○4年次秋学期の研究
 卒業研究の頑張り次第によっては、9月に開催される「分子科学討論会」にてその成果を発表します。12月に開催される他大学との合同シンポジウムでは、(有無を言わさず)4年生全員が「口頭発表」の機会を与えられます。他大学の先生の前で各自の成果を発表しますので、もちろん緊張するでしょう。しかしこの「口頭発表」が、後々、大変良い経験として活きてきます。
冬休みも過ぎ、1月に卒業論文を提出、2月の卒業論文発表会の頃には、研究成果がまとまり始めます。量子物理化学研究室では、卒業論文発表会までに英語で研究成果をまとめ上げ、一流の国際学術誌に投稿した学生もいます。

大学院博士前期(修士)課程諸君へ

 博士前期(修士)課程になると、先ず、仕上げた卒業論文を英語でまとめ上げ、国際学術誌に投稿します。そして、本格的な「研究活動」に入ります。修士1年次前期のうちは講義科目も多いので、なかなか時間が取れないかもしれません。特に、他大学出身や異分野出身の学生にとっては、必要に応じて「導入科目」(学部科目)を履修しますので、なおさらです。ちなみに量子物理化学研究室では、今まで約2割の学生が、他大学、他研究室出身です。
→ 詳細は、「進学希望者諸君」を見てください。

 修士論文は、卒業研究をさらに発展させる必要があります。人によっては、新しい研究課題を探し出して取組むような場合もあります。いずれにしろ、スタッフや先輩方と議論しながら、修士論文の研究課題を決めていきます。
 量子物理化学研究室では、修士課程2年間のうちに、海外国際会議・学会での成果報告を強く勧めています。海外渡航が初めての学生も何人もいましたが、皆、果敢にやり遂げました。皆さんも、是非とも積極的に挑戦しましょう。

大学院博士後期(博士)課程諸君へ

 さらに専門内容を強化する目的で、博士後期課程も準備されています。量子物理化学研究室では、他大学大学院出身の博士もいます。大学での教育職、研究所での研究職を目指すためには、博士学位の取得は必須です。当研究室では、国立大学の助教や、公立の助教、私立大学の専任講師・准教授、さらには国立の研究機関といった、いわゆるアカデミックポジションに人材を輩出しています。

OB, OGの簡単な紹介

 量子物理化学研究室では、国立大学の助教や、公立の助教、私立大学の専任講師・准教授、さらには国立の研究機関といった、いわゆるアカデミックポジションに人材を輩出しています。もちろん、大学での教育職、研究所での研究職を目指すためには、博士学位の取得は必須です。
博士前期(修士)課程卒のOB、OGには、企業での研究職、技術職、また中学校教員等がいます。最近では、企業でも計算科学を実践できる人材が必要とされています。量子物理化学研究室でも、計算科学シミュレーションの専門を活かした職に就いたOB、OGがいます。
詳細は、直接研究室まで聞きに来て下さい。


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