計算科学(理論科学)によるシミュレーションを駆使することで、短寿命、超高圧、極低温、さらには危険物質など、実験科学では取扱いが不可能、もしくは取扱いが極めて困難な現象・系でさえも、私たちにとっては大変興味深い研究対象となります。
例えば、量子化学計算で得られる「波動関数」や分子動力学計算で得られる「反応軌跡」を解析することで、実験だけでは直接得ることが困難な遷移状態や反応機構(メカニズム)の理解、そしてその理解に基づいた予測・設計が可能となるわけです。そのため(1)で述べたように、私たちの研究テーマは、物理学・化学・材料科学・生命科学、さらにはそれらの境界領域(例えば、生体超分子科学、機能性材料設計など)等、非常に多岐に及びます。これも計算科学(理論科学)研究の一つの魅力と言えるでしょう。