私たちは自らを律しながら真摯に診療や研究に従事する「診療と研究のできる質の良い精神科医」になることを目指しています。みなさんもこの開かれた街・横浜で、自由な雰囲気を感じながらも、我々と切磋琢磨しながら、責任感のある医師として成長してゆきましょう。
横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門
教授 浅見 剛
横浜市立大学医学部精神医学教室のホームページにようこそお越し下さいました。令和5年度より医局長を務めます、野本 宗孝と申します。私から、当教室で精神科医としてのキャリアを始めようとしている方々に向け、当教室の特徴を簡単にご紹介します。
当教室では精神科医としての幅広い経験が積めるように、入会後3年間で附属病院、附属市民総合医療センター、関連病院(総合病院精神科や精神科病院)をローテーションするプログラムを組んでおります。2つある大学病院は、附属病院は開放病棟、附属市民総合医療センターは閉鎖病棟で、両病院での研修を通じて精神科救急症例、緩和ケア、リエゾン、難治症例、思春期症例を含めほぼ一通りの精神疾患、治療についての基礎的な知識・経験を身につけることができます。指導医を中心としたグループ制をとっていますので、経験の浅い精神科医にとって安心して診療にのぞんでいただくことができます。対応に困ったときや難治症例についてはグループカンファレンスや症例検討を通じて皆で問題解決にあたっています。関連病院では主治医として診療してもらいますが、各病院に研鑽を積んだ指導医クラスのスタッフがいて相談できますので、いざというときにもサポートできる体制です。そのような環境のもと、3年間で精神保健指定医・精神科専門医の要件を満たす症例経験を積むことができます。
その後はさらに、皆さんの御希望に応じて、児童精神科・認知症・てんかん・依存症・リエゾン・緩和ケアなどの専門領域のエキスパートとなる道も用意されています。御希望によっては初期の研修の間に同時並行でこれらの専門領域の研鑽を積むことも可能です。
研究分野も神経画像、臨床薬理・分子遺伝学、自殺予防、精神科救急、精神科リハビリテーション、児童精神科関連など多岐にわたり、毎年精力的に成果を発信しております。グループの垣根を越えた交流や横浜市大の基礎研究室とのコラボレーションなども行なっており、幅広い臨床疑問を研究課題に替えて掘り下げることが可能です。
そして当教室の何よりの自慢は、笑いのたえない、アットホームな雰囲気です。港町・横浜らしく、これまで全国さまざまな大学の出身者が集っており、出身地域や大学による差別・軋轢とは一切無縁で、皆が互いを尊重しながら和気あいあいと臨床・研究・教育に従事しています。
当教室に見学にお越しいただければ、その魅力を理解していただけると確信しております。見学ご希望の方は遠慮なくお問い合わせください。
わたしたちと一緒に精神科医として、プロフェッショナルとして研鑽してゆきましょう。
令和5年5月8日
横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門
講師 野本 宗孝
発達障害、虐待やいじめ被害による心的外傷、自傷や自殺といったテーマで盛んに報道がなされ、こどもの心のケアの重要性が再認識されている時代です。このような流れを受けて、こども心の診療を行う小児科や精神科が少しずつ全国に広まりつつあります。このように必要性が注目される分野ですが、横浜市立大学では、古くから子どもの心の問題に取り組んできました。横浜市立大学附属病院は全国で唯一の独立標榜科として児童精神科を設けている大学病院で、昭和43年11月に当時の猪瀬正教授の下に平田一成先生や岩田敦子先生が中心となって開設された後、現在も大学病院2病院で地域に質の高い子どもの心の医療を提供しています。子どもが地域で生きる姿を尊重し、地域の様々な支援者と出会いながら共に子どもに寄り添って支える診療科としての姿勢は開設から50年を経た現在も引き継がれています。
私はこのような先達が築いた基礎のもと、平成14年に横浜市立大学精神医学教室、児童精神科での研修をはじめました。当時、市民総合医療センターで准教授を勤められていた山田芳輝先生、附属病院児童精神科部長・准教授の竹内直樹先生にご指導をいただき、数々の症例と出会い、症例検討の中での厳しくも丁寧な助言を血肉として横浜市立大学児童精神科が大事に培ってきた医師としての姿勢を身につけました。症例を多方面の視点から吟味して深く理解すること、子どもの強みに学ぶこと、家族と共に支えること、子どもと親がわかる言葉で語ること、子どもの未来を願うこと、など児童精神科臨床を通して人生の多くの学びを得た気がします。
しばし大学を離れて神奈川県立こども医療センターにて子どもたちの生活に密着した子どもの心の臨床活動を行ってきた私は平成27年に竹内直樹先生の後任として着任しました。それから約10年が経ち、心理実習生やレジデントの先生が児童精神科で臨床の基礎を学び巣立ちました。現在、医療・教育・福祉の現場で子どもと親の支援に奮闘されている方々が多くいます。臨床研究では子どもの精神病症状や自殺予防、ひきこもりといったテーマに着目して分子生物学、社会精神医学分野での研究を続けています。また横浜市立大学全体の大型研究プロジェクトに参加して産学官連携を積極的に行い、未来の若者のこころの健康について探求を進めているところです。今後も先達から学んだ臨床姿勢を後輩に伝えながら、地道に臨床、教育、研究、地域貢献を行いながら、横浜市の子どもの心の医療が日本に、そして世界に誇れるものになると信じて努力を積み重ねようと思います。
横浜市立大学附属病院児童精神科
藤田純一