さよならを待つふたりのために
ジョン・グリーン/作 金原瑞人/訳 ジョン・グリーン/作 金原瑞人/訳
岩波書店
ヘイゼル・グレイスは16歳の女の子です。
13歳のときに甲状腺がんになり、肺に転移した今は、酸素ボンべが欠かせません。もう長くは生きられないことも理解し、世の中の全てに興味を失っています。
-十六歳でがんで死ぬより最悪なことはこの世でたったひとつ。
がんで死ぬ子どもを持つことだ。-
ある日、親を喜ばせるために通っていたがんのサポートグループで、
彼女は骨肉腫で左足を切断した少年、オーガスタスと出会います。
ヘイゼルの「病人」というわだかまりをあっさり飛び越えるオーガスタスに、
一気に二人の距離は縮まり、日々生きることの楽しさをようやく実感したとき、
オーガスタスはがんの転移を告げました。
「PETスキャンの検査を受けた。」
「体がライトアップしたクリスマスツリーみたいなんだ。ヘイゼル・グレイス。
胸膜、左の腰、肝臓、体中だ。」
残されたわずかな時間、自分に考えられる最善をつくし、
オーガスタスの彼女として、彼を見送ったヘイゼル。
やがて彼女は、父と母にあるお願いをします。
それは、自分がいなくなったあと、二人にしてほしいこと。
ずっと思っていながら、看病をつくす親には、どうしても言えなかったこと。
その願いとは―
がん患者としてではなく、どこにでもいる若者のように笑い、悩みながら生きる彼らの物語。
「がん」の物語としても、青春小説としても、おすすめの本です。
興味のある方はぜひご覧ください。
プレゼンター:井元 有里(逗子市立図書館 司書)