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本の中のがん

2018.06.26

『がんフーフー日記』

「がんフーフー日記」

がんフーフー日記
川崎フーフ著 小学館

神奈川県川崎市在住 30代のオットとヨメ。
出会って17年間の友人関係を経ての電撃結婚、即妊娠!
ところが妊娠中に妻の直腸がんが発覚。
 どうやらリンパ節にも転移している模様…
まるでジェットコースターのような展開から、日記は始まります。

とにかく子どもを産まないと、がん治療にかかれない!
がん闘病ブログですが、
出産、育児のアタフタも同時につづられます。

がんの病状はかなり深刻なはずなのに、なぜかフッと笑ってしまうのは、
親の病気そっちのけですくすくと育つ子どもに、命のたくましさを感じてしまうからか、
お二人の人柄か、
がんへの向き合いかたなのか…

けれど、その笑いと力の抜け加減でもって、
医者にも友人にも言いづらい深刻な悩みも、本音トークでしっかり書かれています。
たとえば―

看護師さんとの話し合いで、周囲を気にせず子どもといられるよう、1人部屋をすすめられた。
「奥さんにとって、お子さんとの時間が一番大事だと思うんです」 
- 正論。自分たちのことを思いやって言われている。
    でも、1週間で10万円…退院までにいくらかかる?

また別の日、夫も仕事をやめて、夫婦で妻の故郷に帰るべきか相談。
「なるべくのことをしてあげてください。
   …どうか、後悔することのないように。」
― 仕事をやめるべきなのか?
  まだ治療も育児も費用がかかるのに? 
    それは本当に妻への愛情なのか?
    …こんなふうに感じる自分は、心が狭いのか―

きれいごとではない、「病気との向き合いかた」を、夫も妻も書いていて、
読む側も本音で考えさせられます。 
映画にもなったこの本。
ぜひ、お手に取ってみてください。

プレゼンター:井元 有里(逗子市立図書館 司書)

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