特定の専門領域において質の高い看護を提供するスペシャリストをご紹介します。

スペシャリストとは

スペシャリストとは「特定の分野・領域において、専門性の高い看護実践を提供する看護職」です。卓越した実践能力と継続的な研鑽を積み重ね、その影響は患者だけに留まらず、他の看護職や医療従事者にも及ぶ存在です。
当院では、看護ケアの専門性を高め、より質の高い看護を提供する方法や課題の検討を目的として、各専門領域間の連携を強化する機能をもつ「専門領域会」を開催し活動しています。

附属病院で活躍するスペシャリスト さまざまな専門分野で活躍するスペシャリストの仕事内容を紹介します。

救急看護の分野において、熟練した看護技術と知識を用いて、質の高い看護を提供し、看護実践モデルとなります。

看護職に対して、救急看護の質の向上を目指し、緊急度・重症度を判断するための的確なフィジカルアセスメント、救命に必要な技術・知識の指導及びコンサルテーションを行います。
災害時における急性期の医療ニーズに対応するため、平常時の院内における災害対策、災害発生時における院外派遣活動を行います。

疾患や治療で皮膚障害を起こしている方の治療に関連したスキンケアを実践しています

当院には2名在籍しており、健常な皮膚を維持するスキンケアを通して皮膚の弱い方の予防的スキンケアから、疾患や治療で皮膚障害を起こしている方の治療に関連したスキンケアを実践しています。

主な活動
[創傷ケア]
・褥瘡が治りやすい環境を整えるために、寝具の選択、褥瘡対策チームのメンバーと共に適切な治療材料の選択や良好な栄養状態の保持など考えていきます。
・高齢者などの傷つきやすい皮膚や傷の周囲のスキンケア方法等のアドバイスをしています。
[ストーマケア]
・術前のストーマ造設オリエンテーションから、装具やケア方法の選択、日常生活の方法など看護師(病棟・外来)と共に指導・支援します。
・退院後も外来でトラブル時のケア方法の指導や日常生活など対応しています。
[失禁ケア]
・便や尿失禁による皮膚トラブル対してスキンケア方法をアドバイスしています。

どんな時も生命の危機的状況にある患者に寄り添い、看護の質の向上を目指して活動しています

どんな時も生命の危機的状況にある患者に寄り添い、急性期から早期退院を視野に最善の看護が提供できるように看護の質の向上を目指して活動しています。活動内容は、クリティカル患者への看護実践を主に、看護師からの相談への対応や院内研修の企画・運営を実施します。

集中治療室での急性期看護ケアに限らず、一般病棟の患者も含め、呼吸・循環管理、早期離床・リハビリテーション、ドレーン管理、人工気道・人工呼吸器装着中の看護などに関する実践、指導、相談を行います
・RST(呼吸サポートチーム:毎週金曜日)
病棟で人工呼吸器・非侵襲的陽圧換気法を使用している患者に対して、麻酔科ICU医師、臨床工学技士、理学療法士とともに、週1回チームラウンドを実施します。人工呼吸器の使用方法を確認し、安全な機器の使用、人工呼吸器装着中の看護ケア、呼吸リハビリテーションに関する相談や指導を行います。

患者様とご家族に対し、少しでも安心した療養生活が送れるように生活の質の維持・向上を目指し、看護を提供します

私は現在外来に所属しています。当院では病気の診断から、治療期、緩和ケアへの移行期まで幅広い病期の患者様が受診しています。患者様は医師の告知時から自分の病と向き合いながら生活をしていくことになります。身体的・精神的な辛さを抱えながら生きていくには、患者様の生命力が何より重要です。

近年の高齢化により、患者様の主たる療養場所は病院から在宅へ移行してきており、治療期の患者様は通院治療の時期が長くなります。私は外来において、患者様とご家族に対し、少しでも安心した療養生活が送れるように生活の質の維持・向上を目指した看護を提供していきたいと考えています。
また、終末期の患者様であっても患者様の価値観を理解し、尊重した療養生活を考え、継続した看護が提供できるよう、在宅医療者との連携も行いながら活動していきたい思っています。

患者さんが日常生活や社会生活を送りながら 治療が受けられるように医療スタッフと協働し支援を行っています

がん化学療法は治療が進歩し、現在様々ながんの分野で行われています。
しかし治療を受ける患者さんやそのご家族にとっては、治療や抗がん剤の副作用、仕事や家庭や金銭面などたくさんの不安があり、治療とどのように向き合っていけばよいか困ってしまうことと思います。

治療の進歩により、長期間にわたり治療を継続する患者さんや、抗がん剤治療による副作用や病気の痛みなどの症状と付き合いながら治療を受けられる方も多くいらっしゃいます。
私たちは患者さんが安心して治療が受けられるように、日常生活や社会生活を送りながら治療が受けられるように医療スタッフと協働し支援を行っています。
またがん化学療法看護研修を開催し、看護師の知識と技術が向上できるよう活動しています。

がん患者さんの痛みなど身体症状や不眠・不安といった精神症状を緩和するために、横断的に活動しています

がん患者さんの痛みは持続性、進行性の痛みであり、がんの進行とともに発生頻度が増し約90%の患者さんが経験するといわれていますが、WHO(世界保健機構)によると、適切な疼痛治療によって70~80%以上の鎮痛効果が得られていると報告されています。また、早期から緩和ケアを行うことで痛みはさらに軽減できるといわれています。

私たちがん性疼痛看護認定看護師は、がん患者さんとそのご家族の体験に焦点を当てて、適切なアセスメントを行い、良好なQOLを維持できるように疼痛緩和ケアを提供しています。
緩和ケアチームに所属し、医師や薬剤師など多職種と連携し、がん患者さんの痛みなど身体症状や不眠・不安といった精神症状を緩和するために、横断的に活動しています。
教育活動ではがんリンクナース会やがん看護分野の院内研修の企画・運営に携わっています。

病院にいる全ての人々を感染から守るために活動しています

私たち感染管理認定看護師は、病院にいる全ての人々を感染から守るために活動しています。
活動は、感染症の情報や予防策の知識・技術の提供、感染予防を行いやすい医療器具・療養環境を整える等と、多岐に渡ります。

感染症の原因は目で見ることのできない細菌やウイルスなどの微生物です。新たな薬剤耐性菌やSARSやMERSなどのウイルスが発生しています。こうした新たな微生物の発生にも速やかに対処し、患者さんや臨床現場のスタッフが、安心して医療を受けたり提供したりできる環境を整えられるように心がけています。
感染から守るためには、多くの人の理解と協力だと考えています。感染制御部の医師・歯科医師・薬剤師・臨床検査技師、部署のリンクドクター・リンクナースを始め、患者さん・ご家族、臨床現場のスタッフの理解と協力を得ながら、より良い感染対策について日々考え、実践しています。

早産や疾患を持って生まれた赤ちゃんが胎外環境に適応し安定できるように最善のケアを提供します

早産や疾患を持って生まれた赤ちゃんが胎外環境に適応し安定できるように環境を整え、赤ちゃんの反応やサインをみながら神経学的発達を促すケア(ディベロップメンタルケア)を提供できるよう活動しています。

新生児看護に必要な知識や技術について勉強会の開催や、実践を通しての指導・相談に応じNICU内の看護の質向上に努めています。
また、NICUに入院したことで離れ離れになったご家族が親子関係を築き、安心して退院できるように、医師や他職種と連携を図り支援していくことも大事な役割です。
ご家族の不安な気持ちに寄り添い、赤ちゃんとそのご家族にとって最善のケアが提供できるよう、スタッフと情報を共有しながら支援を行っています。

患者さんに安心して透析療法を受けて頂けるように安全安楽な治療環境を整えています

私は血液浄化センターに所属し、患者さんに安心して透析療法を受けて頂けるように安全安楽な治療環境を整えています。看護スタッフに対する個別的な透析ケアの相談・指導を中心に、関連部署における透析看護の勉強会を実施しています。

また、保存期慢性腎臓病の患者さんとご家族に対して、病棟や内科外来と連携をとり、腎代替療法についての情報提供や意思決定支援を行なったり、糖尿病性腎症診療チームとして医師・栄養士と共に内科外来で糖尿病透析予防指導を行っています。このように、透析療法のみならず腎不全領域全般についての看護実践モデルとなり活動しています。
透析患者さんは生きていくために生涯透析療法を続けていかなければなりません。透析療法を受けながらも「生きていることが楽しい」と感じて頂けるように、生きる力を引き出す看護に日々挑戦しています。

医師や他職種と連携を図りながら、乳がん患者やご家族への治療にともなう身体的・心理的・社会的サポートを行っています

乳がんは30代後半から罹患する方が増え、45~55歳位が後発年齢といわれております。この年代の女性はいくつもの役割を担っている方が多く、治療に際しては様々な調整が必要となり負担も大きいです。 私は、乳がん看護に特化した専門分野として、医師や他職種と連携を図りながら、

乳がん患者やご家族への治療にともなう身体的・心理的・社会的サポートを専門的な知識と技術を用いて実践 しています。また、自身の知見を深め、病棟・外来スタッフへ指導し、乳がん看護ケアの向上を目指しています。

食事は、単に栄養補給のみではありません。熟練した看護技術と専門的知識で「口から食べる楽しみ」を支えます

「おいしい」の笑顔は、いかなるものにもかえがたい、私が看護をしていく上での元気の源です
『患者に何を食べさせるかを決める立場のひとの職務とは、あくまでも「胃の意見に耳を傾けること」であって「食品分析表」をよむことではない。』とナイチンゲールは言っています。

現代の医療技術や栄養成分の進歩により口から食べなくても、点滴や経管栄養など摂取栄養を補うものは多くあります。しかし口から食べることに勝るものはありません。スプーンで食べ物を舌にのせると自然に「あむあむ、ごっくん」と咀嚼して嚥下する。食事を囲む団らん、好きな人、好きな場所、好きな食べもの…今までの生活などがよみがえってくるのでしょうか。
食事は、単に栄養補給のみではありません。
私は、栄養サポートチームと共に院内の患者のQOLの向上にむけてラウンドをして、栄養状態が改善を図り、「口から食べる楽しみ」を支え、熟練した看護技術と専門的知識を用いて、看護ケアの広がりと看護の質が向上するよう研鑽し続けています。

患者さんに前向きに治療に臨んでもらうため、安全に手術ができるように準備と指導を行っています。

手術看護認定看護師として、手術室での看護実践を通して、スタッフ指導や術中・術後のケア方法の提案や物品の試行と評価を行っています。また、周術期管理センター外来では、麻酔科医師と一緒に入院前の患者さん、ご家族に関わり、安全に合併症なく手術ができるように術前準備の指導を行っています。

そこでは患者さんの不安や要望を具体的に引き出して、手術当日に対応できるようにしていきます。
術後は、患者さんが手術経験を前向きに受け止めて治療に望めるように、手術を終えたことをねぎらい、問題なく回復できるよう支援していきます。

放射線治療を完遂できるよう、身体的・心理的・社会的サポート等の全般的な支援を専門的な知識や技術を用いて行います

活動内容
・放射線治療についてのオリエンテーションのパンフレットの見直し・作成
・放射線や放射線治療に関する勉強会やがん看護研修などにおける講師
・放射線治療を受ける患者さんへの看護実践・医療スタッフからの相談への対応 など

がん放射線療法看護認定看護師は、放射線治療をうける患者さんやそのご家族が、治療を完遂できるよう、身体的・心理的・社会的サポート等の全般的な支援を専門的な知識や技術を用いて行います。
放射線治療時に使用するパンフレットの作成・見直しをしたり、放射線や放射線治療に関する勉強会や院内外のがん看護研修を通じて、スタッフの知識・技術の向上をはかり、放射線治療を受ける患者さんとその家族が安心して治療を受けられる環境を整えるよう努めています。

患者様が疾患をもちながらも、自分らしく生活していく事ができるように、正しい知識と自己管理支援を提供します

高齢社会となった我が国では循環器疾患患者が年々増加し、2035年には、日本全体の心不全患者数は130万人まで増加する事が推測されています。慢性心不全は急性増悪を繰り返す進行性の慢性疾患の病態であり、心不全リスクの早期発見と悪化予防が重要とされています。

身体的要因だけではなく、ストレスや過労、塩分、水分制限、治療薬服用の不徹底によっても悪化を招きます。
慢性心不全看護は、患者様の生命予後の改善、再入院予防とQOLの改善にあるといわれています。患者様が疾患をもちながらも、自分らしく生活していく事ができるように、これまでの人生の楽しみや価値観、生き方、生活背景を踏まえて、正しい知識と自己管理支援を提供することを目指しています。また、他職種と連携し、患者様と御家族の近くで共に考え、意思決定が支援できるように励んでいます。

いつでもどこでも質の高いがん医療、緩和ケアを受けることができるように支援します

「いつでもどこでも質の高いがん医療、緩和ケアを受けることができるようにすること」
それが地域がん診療拠点病院である当院に課せられた役割であり、私の大きな目標です。
現在、がん看護領域の師長として、緩和ケアチーム、がん相談支援センター、外来化学療法センターを中心に活動しています。

治療の選択に迷ったり、症状緩和を必要とする全病期の入院、外来患者さんや家族との実践、スタッフからの相談に対応し、ひとつひとつのケア、スタッフからの意見を通して、院内のがん診療や看護体制の見直しを行い、他部門や多職種と協働し、システムづくりを行っています。また、がん看護の質向上に向けて、がんリンクナース会やがん看護研修の企画にも力を入れています。
2人に1人ががんになる時代、不安を抱えたがん患者さん、家族が1人でも少なくなるように、がん看護にやりがいをもつスタッフが増えるように、日々努力しています。

リエゾンにはつなぐ、連携すると言う意味があります

身体疾患をもつ患者さんやそのご家族は、病気や治療によるストレスや悩み、葛藤により心の危機がもたらされることがあります。このような心の問題に対して「心とからだをつなぐ」「人と人をつなぐ」という機能を持ち、ケアや治療にあたる医師や看護師、パラメディカルとの協働体制のもと、精神看護の視点からケアを実践、提案し問題解決に取り組んでいます。

専門医療チームである精神科リエゾンチームのメンバーとしての役割も持ち、身体科と精神科が連携して、包括的で質の高い医療・看護を提供できるよう活動しています。
また、患者さんご家族への質の高い看護ケアを提供していくためには、看護師自身が精神的に安定していることが大切です。しかし看護を提供する中で悩み、戸惑い、強い無力感を体験することもあります。そのため、看護師のメンタルヘルス支援にも力を入れています。

複雑な疾患を持ちながらも病いとともに生きる患者や家族への生活調整、療養相談、意思決定支援などを行っています

慢性疾患患者の増加とともに、合併症や併発疾患によりケアや治療が複雑化している現状があります。慢性疾患看護専門看護師は、複雑な疾患を持ちながらも病いとともに生きる患者や家族への生活調整、療養相談、意思決定支援などを行っています。

慢性疾患看護の中でも、私のサブスペシャリティは循環器看護です。心不全、腎不全、糖尿病といった慢性疾患患者へ、入院から外来まで切れ目のない看護ケアを提供できるよう、当該病棟や内科外来と連携会議を定期的に行っています。また、当院の植え込み型補助人工心臓の認定施設取得に向けて、医師と協力し補助人工心臓装着患者へのケア構築や、多職種が参加する合同カンファレンスの開催等、多職種と連携しながらチーム医療の推進に取り組んでいます。また、専門看護師として、慢性疾患看護領域に関する研究報告を行ったり、院内の看護研究を支援する役割も担っています。

家族の力だけでは解決が難しい時に、家族が本来持っている力を発揮できるように身体的・精神的・社会的に支援していきます

『家族』は最も身近な存在であり、普段はあまり意識することなく過ごしていますが、家族の誰かが病気や障害を発症すると、家族の存在を強く意識するようになります。そして、家族メンバーは少なからず何らかの影響を受けながらも、変化や問題に色々な方法で立ち向かっていきます。

変化や問題が、比較的単純なものであれば、家族で力を合わせ解決することができますが、変化が大きかったり、問題が複雑である場合、家族の力だけでは解決が難しいことがあります。
家族支援専門看護師は、そのような時に、家族が本来持っている力を発揮できるように身体的・精神的・社会的に支援していきます。
私は現在、看護部に所属しており、患者さんやご家族からご依頼があれば外来や病棟などすべての部署に伺い、相談をお受けしています。患者さん自身が抱えているご家族に関する心配事や悩み、ご家族の方々が抱えている患者さんに関する心配事や悩みなど、患者さんだけではなく患者さんを含むご家族全員、子どもから大人まで特に制限等はなく相談をお受けしています。相談内容によっては、他の職種や専門家へ繋いだり、仲介に入っています。