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祝 第46回日本集中治療医学会学術集会 優秀演題 受賞

今回、第46回日本集中治療医学会学術集会において優秀演題に選出されたことを大変光栄に思います。指導教官である後藤隆久先生、グループリーダーである東條健太郎先生をはじめ、研究を支えてくださった多くの方々にこの場を借りて感謝を申し上げます。
細胞死は従来、制御可能なアポトーシスと制御不可能なネクローシスに大別されてきましたが,近年,特定の分子機構により“制御されたネクローシス”の存在が明らかとなりました。またネクローシスが起こる際に放出される細胞内容物は自然免疫系を賦活し、さらなる炎症を惹起するため、ネクローシスはアポトーシス以上に効果的な治療対象となり得ます。急性呼吸促迫症候群(ARDS)における肺胞バリア破綻には肺胞上皮細胞死が大きな役割を果たしていますが、アポトーシスとネクローシス、どちらがより肺胞上皮細胞死の原因であるのかは不明でした。今回、我々は上皮細胞に特異的に存在し、アポトーシスでは断片化され、ネクローシスではそのまま細胞外に放出されるcytokeratin18やTUNEL法等の組織染色を用いて評価したところ、LPS誘導性ARDSにおいてはネクローシスが肺胞上皮細胞死の主要因であることを明らかにしました。また,RT-PCR法等を用いて“制御されたネクローシス”の一型であるネクロプトーシス関連遺伝子が有意に増加していることをつきとめ、ネクロプトーシスを含むネクローシスがARDSの有効な治療ターゲットになりうる可能性があることを見出しました。今後さらに知見を深めていきたいと考えております。

玉田 尚