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東條健太郎助教『最優秀演題賞』受賞(日本麻酔科学会第64回学術集会)

日本麻酔科学会第64回学術集会において、当教室の東條健太郎助教らの発表『Prolyl hydroxylase阻害は肺胞上皮細胞の代謝リプログラミングを介してLPS誘導性肺傷害を軽減する』が、最優秀演題賞を受賞しました。

 

【受賞コメント】

今回、日本麻酔科学会第64回学術集会において私たちの研究成果が最優秀演題に選ばれたことを大変光栄に思います。また、この研究を支えてくださった多くの方々に感謝を申し上げたいと思います。

 

私たちの研究テーマである急性呼吸促迫症候群(ARDS)とは、感染症や外傷をきっかけとした強い炎症によって、肺胞上皮細胞が傷害を受け、急性呼吸不全を引き起こす疾患で、治療法の開発が急務とされている集中治療領域における最重要課題の一つです。

 

このARDSにおける肺胞上皮細胞傷害の背景には、細胞のミトコンドリア機能低下によるエネルギー代謝不全があることが知られています。私たちは、ミトコンドリア機能を改善させるのではなく、“ミトコンドリア機能に依存しない解糖系”によるエネルギー代謝を活性化させることで細胞を保護できるのではないかという、新しい発想に基づいて研究に取り組みました。そして、細胞内の酸素センサー分子prolyl hydroxylaseを薬剤で阻害することによって、解糖系による代謝を活性化させ、肺胞上皮細胞を傷害から保護することに成功しました(Fig.1)。今後、長い道のりが必要ですが、臨床応用を目指して研究開発を進めていきたいと考えています。

 

 

私たちのグループでは、臨床に寄与することを目標として、集中治療領域のtranslational researchに取り組んでおりますので、大学院への進学など興味をお持ちの方はお気軽にご連絡を頂けると大変嬉しく思います。

 

東條健太郎