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国立循環器病研究センター研修体験記

私は2018年4月から2020年3月までの2年間、国立循環器病研究センターで研修させていただきました。2年間の研修中お世話になった先生方や研修に行くことを許していただいた医局の先生方に感謝申し上げるとともに、これから横浜市立大学麻酔科に入局を考えている先生方、国立循環器病研究センターで研修を考えている先生方の参考になれば幸いです。

国立循環器病研究センター(以下、国循)は大阪府吹田市にある心臓血管系のナショナルセンターです。行われている手術としては心臓血管外科手術、脳神経外科の血管系の手術(脳動脈瘤、もやもや病)、心血管疾患合併妊婦の帝王切開、ICDやCRT-Dの埋め込み、先天性心疾患や不整脈に対するカテーテル治療があります。レジデントとしての採用期間は2年で、小児の麻酔をするのは基本的に2年目からになります。3年目以降残る場合や一旦横浜に帰って再度国循に行った場合は、スタッフとしてレジデントの指導にあたります。

心臓血管外科手術(開心術やCABG、大血管手術)の経験症例数としては、私は2年間で約160例経験させていただきました。この数はおそらく心臓麻酔研修施設としてはそこまで多くないと思います。しかし、国循では術式別の管理を学ぶのではなく、その根本にある“循環管理”をしっかり教えてくれる先生に恵まれました。また国循の特徴として、左室補助装置(LVAD)装着術や胸腹部大動脈置換術などの珍しい症例、心移植や慢性血栓閉塞性肺高血圧症(CTEPH)に対する血管内膜剝皮術(PEA)といった国循でしかなかなか見られないような症例、他の病院では対応困難な重症心不全の症例を何度も担当することになります。当然、見たことない手術や見たことない重症例を担当することもたくさんあります。そんな時に国循で“循環管理”をしっかり身に着けることで、どんな術式でも根本的な管理は同じであることが分かります。独特の管理を要する術式や重症例にはスタッフの先生が後ろに付いて指導してくれますので、そこでまた学ぶことがたくさんあります。

国循で研修をしてよかったこととしてもう一つ挙げられるのは、横浜市大だけでなく他の医局からもレジデントが来ていることです。他大学から来た同期と話したりする中で学ぶことも多いし、逆に自分が伝えられることもあります。もちろん、みんな心臓麻酔を志している者ばかりですので循環管理で困ったことや分からなかったことを相談したりもしていました。それぞれの医局に帰った後も相談できる仲間が全国にできる。それも国循で研修する大きな魅力だと思います。

症例も豊富にあり吉谷先生という指導医もいらっしゃるため、学会発表や臨床研究なども盛んです。1年目の前半は臨床だけでいっぱいいっぱいだと思いますが、次第にこのような活動にも参加できるようになります。

最後になりましたが、大西佳彦先生はじめ2年間お世話になった先生方に改めて感謝を申し上げます。そして、一緒に大阪に行って2年間ともに頑張ったI先生とH先生、本当にありがとう!大変なことや辛いことも多いですが、自分が大きく成長できた2年間でした。

横浜市立大学は毎年のように国循にレジデントを派遣しているため、私以外にも国循で学んだ先生がたくさんいらっしゃいます。中には3年、4年在籍された先生もいらっしゃいます。麻酔科に入局を考えていて心臓血管系に興味があるという方はぜひ声をかけてください。