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末梢神経ブロック ハンズオンセミナーYOKOHAMA(超初級コース) 体験記

末梢神経ブロックについて学ぶハンズオンセミナーは当医局では頻繁に開催されていて、自分も何回か参加してご指導いただいたのだが、今回はいつもと異なり「超初級コース」と銘打っていた。自分は入局して2年と少しの間、各病院で働きつつ麻酔科学について理解を深めてきたつもりだが、末梢神経ブロックを集中的に勉強する機会は少なく、どうしても苦手意識が抜けないでいたため、今回のセミナーに参加させてもらうことにした。

ハロウィーン直後の開催であったため(開催案内のメールにもご丁寧に念押しされていた)、ある先輩は仮装の帽子をかぶって参加された。恥ずかしながら自分には何の用意もなく、ごく平凡な普段着で参加している不甲斐ない自分に忸怩たる思いであった。もし再チャレンジの機会があれば、必ずや名誉挽回の仮装を纏い颯爽と登場する所存である。

閑話休題。

セミナーは講義とハンズオントレーニングがあり、それぞれ上肢・下肢・体幹の3分野に分かれていた。
まず講義では、各分野のブロックについて解剖・神経支配について説明があり、実際のエコー画像を見て穿刺のイメージをつかむ、という流れで教えていただいた。大まかな流れはいつものセミナーと同じだが、「超初級」と銘打つだけあり、実際の末梢神経ブロックに使用する薬品の濃度や量、ブロックを併用する全身麻酔のコツや術後鎮痛の方法、さらには「なぜ末梢神経ブロックは必要とされているのか」といった講義もあり、非常に理解しやすかった。
続いてハンズオンは手術室を3部屋使用して行われた.部屋ごとのテーマに従って,モデルにプローブを当ててみて,画像の描出方法や穿刺のコツについて教わった。ここも「超初級」向けに、プローブの持ち方や動かし方、さらにはエコー本体をどこに置くとかベッドの高さをどうするかとか細かい点まで初心者向けに教えていただいた。個人的に目から鱗が落ちたのは、エコープローブをティルトした状態での穿刺でのピットフォールとリカバリー方法であった.用意されたファントムで実施してみると,描出のしやすさが一目瞭然であり、ぜひ実際に試してみたいと思った。

末梢神経ブロックは、穿刺に必要なエコー画像とブロック針の描出が重要であり、単純なようでいて非常に奥深い。それ故に、ベッドの高さや穿刺の際の体勢など実に細かいコツや気配りでブロックの成否が左右されることも多いため、このような「超初級」コースで教えていただいたことが非常に役に立つと感じた。シニアレジデントのように末梢神経ブロックに触れ始めたばかりの人たちが学ぶには、今回のようなセミナーは非常にとっつきやすく、ぜひ定期的に開催していただきたいと感じた。

2019年11月2日 シニアレジデント3年目 酒井洋平