2022年10月1日をもちまして、横浜市立大学医学部医学科　公衆衛生学教室の　主任教授を拝命いたしました後藤温（あつし）と申します。

私は、本学医学部医学科を2004年に卒業し、附属病院での初期臨床研修を修了して内分泌・糖尿病内科に入局しました。その後、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）公衆衛生大学院に入学し、2012年に疫学博士課程を修了しました。帰国後は、国立国際医療研究センター研究所、東京女子医科大学医学部を経て、2016年より国立がん研究センター社会と健康研究センター疫学研究部で室長を務めさせていただきました。2020年、本学大学院にデータサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻が設置された際に、教授として赴任し、2021年７月から2024年３月まで専攻長を務めました。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い公衆衛生学の重要性が再認識されることとなり、当分野の教育と研究を飛躍的に発展させる好機であると考えております。医学部在学中に「健康とは何か」、「どうすれば疾病を予防できるか」、「持続的な保健医療提供体制を構築できるか」などについて学び、自ら分析・考察し、学生や教員と議論することは、医師になってからの診療・研究活動に必ず役立つと思われます。将来、当教室から公衆衛生マインドを有する医師・研究者が数多く輩出するよう願っています。

一方、ヘルスデータサイエンスは、データサイエンスとヘルスサイエンスを融合させた新しい分野で、疾病予防・医療・介護等に関わる様々な問題について、データを重視し、その分析により課題を解決することをめざしています。当専攻で得られた知見を医学部や医学研究科の教育に敷衍することにより、データに基づいて公衆衛生分野の課題を解決できる人材育成にも尽力してまいります。

私はこれまで、糖尿病やがんの研究を中心に従事してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験し、専門とする分野に固執する事なく社会で必要とされる多様な課題に取り組むことの重要性に気づかされました。今後は視野を広げて、当教室が行う日々の研究から、質の高いエビデンスを生み出し、社会においてそのエビデンスが活用され、その成果を広く社会へ還元できますよう努めてまいります。

当教室では、多様な価値観を持つことを尊重し、誰一人として取り残さないような未来を拓くために、教育、研究、及び社会貢献を積み重ねていきたいと考えています。一緒に研究を進めていく学部生、大学院生、特任教員、客員、研究員を募集していますので、ご興味のある方はこちらにご連絡ください。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

横浜市立大学
医学部医学科・大学院医学研究科医科学専攻　公衆衛生学教室　主任教授
後藤　温