横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床検査部

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検体検査室では、患者さんからお預かりした尿、血液をはじめ、骨髄、髄液、胸水、腹水などの検査を行っています。検査の性質から一般検査室、血液検査室、生化学・免疫検査室、微生物検査室、分子生物検査室の5つの部署に分かれ、それぞれ専門知識を有する臨床検査技師が検査を担当しています。

検体検査室では精度管理にも力を入れて取り組んでおり、検査の迅速さに加え、正確性を保つため、日々努めています。また、臨床からの要望に応え、新規項目の検討や導入も行い、より質の高い検査を提供できるよう励んでいます。

一般検査室

尿一般スクリーニング検査を行っています。当院は、横浜市で唯一の腎移植施設であり、泌尿器・腎移植科における腎移植専門外来があることや、小児総合医療センターでは内分泌・糖尿病外来、腎臓外来などの専門診療外来があるため、腎臓疾患を伴う患者さんの検体が提出されることが多く、慢性腎炎、急性腎炎、腎不全の診断、治療の指標となる検査結果を正確・迅速にご報告することに取り組んでいます。 また、尿検体のほか、髄液、胸水、腹水の検査も担当しており、髄膜炎や急性腹症の診断など、緊急性の高い検査にも対応しています。

血液検査室

末梢血液による血球数算定検査、顕微鏡による白血球分類のほか、凝固検査、骨髄検査を実施しています。当院では血液内科があり、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血など、あらゆる血液疾患に対応するため、血液学検査の専門資格をもつ臨床検査技師が検査に携わっています。また、院内で骨髄移植、臍帯血移植、造血幹細胞移植を実施しているため、移植時にフローサイトメトリーを用いたCD34陽性細胞の解析を行っています。CD34を発現している細胞は移植後、あらゆる血液細胞や内皮細胞へ分化していくため、生着率との関連性も高く重要な検査です。
出血傾向のスクリーニング、肝硬変などの肝疾患の進行度診断や、ワルファリンなどの経口抗凝固療法のモニタリング検査、血液凝固機能によって生成された血栓を溶解する繊維素溶解に関する検査として凝固検査も実施しています。また、凝固時間(APTT)に異常が認められた場合の精査としてクロスミキシングテストも実施しており、迅速に患者さんに有益な検査結果をご報告できるよう努めています。

生化学・免疫検査室

併設する高度救命救急センターにも対応するため、24時間体制で、約100項目を測定しております。検査室に提出された検査は全て緊急測定し、検体到着後1時間30分以内に検査結果を報告しています。一般的な生化学項目のほか、血中薬物濃度や各種マーカー(心筋マーカー、腫瘍マーカー等)、ホルモン、HbA1c、血清浸透圧の測定なども行なっています。

微生物検査室

微生物検査室では感染症の診断・治療のため、迅速に微生物の同定・薬剤感受性結果を提供しています。 1日に数10 ~100件の一般細菌・酵母様真菌・嫌気性菌の培養同定感受性、糸状菌の同定、抗酸菌塗抹検査、迅速抗原検査を実施し、自動細菌検査装置、培地塗布装置、染色装置を使用し、業務の効率化、迅速化を図っています。検査の質を担保するため、グラム染色、抗酸菌染色などの塗抹検査では、担当者間での目合わせを定期的におこない、釣菌した培地をダブルチェックし、検査の均一化に取り組んでいます。抗酸菌検査は分子生物室と協力し、塗抹検査陽性の場合は当日中に核酸増幅検査を実施し結核菌か非結核性抗酸菌か報告可能な体制を整えています。当院感染制御部には検査技師が所属していますが、最新の院内感染情報を提供できる部署として耐性菌や結核菌、稀な菌などが検出された場合は、医師・看護師・薬剤師等、他職種と密に連携を取り合い、院内の感染対策を支援しています。

分子生物検査室

分子生物検査室では以下の検査項目および診療支援をおこなっています。

感染症・・・新型コロナウイルスPCR検査、結核菌群核酸増幅検査、非定型抗酸菌核酸増幅検査
造血器・・・JAK2V617F遺伝子変異、CALR遺伝子変異
薬剤応答性遺伝子検査・・・UGT1A1

結核菌群核酸増幅検査はTRC法(Transcription Reverse transcription Concerted reaction)を用いて迅速かつ高感度に検査を行っています。抗酸菌塗抹検査が陽性の場合は、当日中に結核菌か非結核性抗酸菌かを報告しています。