研究

海外・国内留学

Nationwide Children’s Hospital 留学体験記
山口嘉一

2018年から2020年まで米国オハイオ州コロンバスにあるNationwide Children’s HospitalにInternational Pediatric Anesthesiology & Clinical Research Fellowとして留学しました。臨床と臨床研究50%ずつという契約で、就労ビザのH1Bビザを取得して渡米しました。2年間の留学で、アメリカの小児麻酔フェローと同様の臨床を行いつつ、臨床研究も行えるという私にとってはこの上ない条件でした。

写真 Nationwide Children’s Hospitalの院内

子供病院らしくポップで、天井が高く開放的なNationwide
Children’s Hospitalの院内

アメリカの小児麻酔のフェローシップは、1年間をかけて各診療科の麻酔を経験します。2週間または4週間で一つの診療科(心臓外科、脳神経外科、Acute pain team, PICUなど)を順次研修します。心臓外科の月は毎日開心術か心臓カテーテル検査・治療の症例を管理します。日本では経験したことのない左室低形成症候群(HLHS)に対するハイブリッドStage1や、肝腎同時移植といった手術の麻酔管理を経験できました。新生児に対する仙骨裂孔から硬膜外カテーテルを挿入し、超音波でカテーテルの尖端を確認しながらTh領域に留置する手技なども習得することができました。

研究の面ではPoint-of-care ultrasoundによる肺エコーや胃のエコーによってReview、症例報告などを報告することができました。また、米国の移植データベースを用いた後ろ向き研究や、Batten症候群が集まっている施設であることからそれらを解析した研究もすることができました。また、米国のQuality improvementや安全に配慮したシステムづくりというのも非常に興味深かったです。

写真 同期のACGM

同期のACGME(Accreditation Council for Graduate
Medical Education)fellowとInternational fellow

フェローという立場で教育を受ける側に再度立つことができたのもたいへんよい経験になりました。ChairであるDr. Tobiasは臨床的、学術的、人格的に素晴らしい先生で、たいへん多くのことを教えていただきましたし、学ぶことができました。年齢の近いアテンディングの先生方にもたいへん仲良くしていただき、様々な面に気を配りながら教育をしていることを学べたのは大きな収穫でした。帰国してからは、後輩を教育する機会も多くなるので、知識、自律性、プロフェッショナリズムなどに配慮しながら臨床・学術両方の面で貢献できるようになりたいと思います。

横浜市立大学の麻酔科は医局も大きく関連病院も働きやすいようにいろいろな配慮がされています。後輩の先生方には恵まれた環境に慣れきってしまうのではなく、チャンスがあれば積極的に海外や国内の施設に留学して勉強することをお勧めしたいと思います。

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