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研修体験記

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ペイン・緩和

私が横浜市大の麻酔科医局を選んだ理由は、子育てをしながら働きやすい環境です。というのも、私は大学6年生のとき(しかも国家試験の直前)に出産し、入局を考える頃にはイヤイヤ期真っ盛りの子供がいたのです。横浜市大の麻酔科はジョブシェアなどの先進的なシステムを取り入れ、子育て中でもキャリアを維持できる仕組みを早くから築いていましたし、関連病院の大半が神奈川県内にあることも魅力でした。幼児を抱えての後期研修は大変ではありましたが、周囲の温かいサポート、また困ったときに相談に乗っていただける多くの先輩方に支えられ無事に終えることができ、専門医試験にも合格できました。

専門医取得後、手術麻酔の傍らペインクリニック研修を開始しました。市民総合医療センターのペインクリニックは「集学的いたみセンター」として認定を受けている施設であり、いわゆる神経ブロック中心のペインクリニックとはちょっと趣が異なります。特徴は多職種連携で患者さんを全人的に評価し治療する点です。初診時には数時間をかけ、その人の生活・家庭や職場環境・経済状況・人生観含めた膨大な問診と全身の診察を行います。この作業は、それまで手術室と集中治療室だけで働いてきた私には少々骨が折れます。苦手な神経診察。診断をつけるのが難しいケースも多く、処方や診断書、紹介状を書くなどの基本的な作業一つとっても慣れないことばかり。加えて慢性痛の患者さんは「ちょっと一癖ある方」が多いのです。
しかし、理学療法士、作業療法士や臨床心理士、鍼灸師、ソーシャルワーカーなどの多職種連携の経験は自分の視野を広げることに大きく役立ちました。手術麻酔に活かせる部分もあります。麻酔をやっていると一定の確率で起こってしまう神経障害に対してのアセスメントや治療の経験。術後の鎮痛不良や遷延痛への対処。術前外来で話が止まらない患者さんをかわす技術(?)などです。そして何より、自分の患者さんが良くなる喜びというのは格別です。

急性期医療をバリバリこなすイメージの麻酔科ですが、ペインの世界もなかなかディープで面白いです。興味(と勇気)のある方はぜひご検討ください。

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