カエルの研究から見えてきたTbx6転写因子による中胚葉分化の仕組みを応用してマウスES細胞から細胞分化を導く実験をしました。ES細胞にあらかじめマウスTbx6遺伝子をノックインしておき、DoxycyclineによるTET-offシステムで導入遺伝子を制御します。これによりDoxを抜いたときにTbx6が発現しますが、神経分化の条件に細胞を置いたときにTbx6をOnにすると完全に神経分化が抑制され(ネスチンやチューブリン量が激減)、一方骨格筋分化条件においたときにTbx6をOnにすると筋分化が非常に促進されました。
Tbx6をOnにすると心筋分化も著しく促進されることがわかりました(心筋アクチンをもつ細胞数の増加、写真下)。
上記のような、特定の遺伝子を強制発現させる方法ではなく、通常の培養液にさまざまな物質や試薬を加えて、中軸および沿軸、また側板中胚葉分化を導く培養条件の検討を行ってきました。その結果、さまざまな組織を分化させる条件がわかってきています。今は、複数種類の組織を共通のdish内で共存させる研究を行っています。