研究室紹介

細胞老化の分子機構の解析

動物細胞は種々のストレスに曝されるとダメージを蓄積し、肥大化・扁平化をともないつつ最終的に分裂能力を喪失する。この現象は細胞老化と呼ばれ、個体老化の一因となることが証明されつつある。このため、細胞老化の分子機構を解明し、細胞老化を抑制することができれば、個体老化を防止することにつながる。当研究室では、正常・不死化・がん化に関係なく、任意の細胞において細胞老化を誘導できることを報告してきた。細胞系によって老化形質は多様であるが、DNA複製の遅滞と細胞膨張は共通して観察される。これらの特徴から当研究室では、「細胞老化の不均衡増殖モデル」を提唱している。それは、細胞障害によるDNA複製の遅滞が細胞質タンパク質の過度な蓄積をもたらし、ヘテロクロマチン複合体が崩壊するという細胞老化のモデルである。

活性酸素防御機構の解析

酸素は我々の生存に必須だが、酸素の一部は、代謝の課程で活性酸素を生じる。活性酸素は老化・生活習慣病などの種々の疾患を促進する危険因子である。活性酸素は主にミトコンドリアから生じると考えられているが、実際にどのような遺伝子が活性酸素の生成や消去に関与しているかは、あまり明らかではない。当研究室では、酸化ストレス防御機構を解析するため、線虫(C. elegans)や出芽酵母(S. cerevisiae)より活性酸素高感受性または抵抗性変異株を多数分離し、いくつか原因遺伝子の同定に成功している。

アーユルヴェーダハーブを用いた有用物質の探索

アーユルヴェーダは漢方とならび世界保健機関WHOが推進する世界3大伝統医学のひとつである。アーユルヴェーダは膨大な植物利用体系であり、新規な生理活性物質を探索する宝庫である。当研究室では、バングラデシュの国立アーユルヴェーダ医科大学と共同し、アーユルヴェーダで利用されるハーブを数百種類保有している。それらのハーブから様々な生理活性作用を有するハーブを探索し、有効成分の同定を行っている。

現在、皮膚や毛髪に関係する細胞の増殖を促進するハーブの探索を行っています。