YCU 横浜市立大学 データサイエンス研究科 ヘルスデータサイエンス専攻

Activity

活動

一期生座談会

  • 大山 紘平

    企画好き/横浜市医療局/医療の視点/有志でYBiT

  • 竹島 徹平

    男性医学が専門、趣味は野球観戦/泌尿器科医師

  • 矢込 進

    ヘルステック企業に勤務/看護師/最近筋トレを開始

  • 髙橋 絵美

    横浜市内の動物病院に勤務/獣医師/2児の母

  • 仁田 学

    HDS一期生最年長の循環器内科医(専門は先天性心疾患)

  • Web参加
    佐橋 勇紀

    岐阜県で循環器内科医として勤務 今春から料理始めた。

1. HDSの受験をきめた理由は何ですか?

大山 私は行政職員として6年前から医療政策に携わっていますが、異動が定期的にある中、長い期間同じ部局だけにはいないだろうと思っていたので、HDSの話を聞いた当初は、自分には関係ないかなと思っていました。しかし、医療データの活用などを推進していたこれまでの自分の仕事や知識をより深めるために、ちょうどいい機会かもしれないと思い、それから受験を考えはじめました。皆さんは、HDSができると聞く前から、大学院に進学しようと考えていましたか?

仁田 あまり考えていなかったですね。何かやりたいなとは思っていましたが、どうしていいのかもわからずに、悶々としながら、もしかしたらこのまま何もやらずに終わってしまうのかもしれないと薄々考えていました。そんな折、大学病院の医局会でHDSという大学院が始まるよというプレゼンテーションを聞いて、「こういうことができるんだ」と思ったんです。ちょうど自分がやりたいこととマッチしていると思い、それが受験をする年の春でした。その後、入試説明会があると知って勢いで行ってしまいました。

高橋 私は、3年前に転職してから研究の補佐のような仕事を始めたのですが、研究に関しては新人レベルの知識しかなく、論文を読んでいてわからないことがたくさんありました。大学院で勉強したいなと思ったのですが、統計だけを学ぶ所だと、統計の知識しか得られないかなと考えていました。その時にちょうどHDSのお話を聞いて、HDSは統計を含めた、データをどのように扱っていくかという全体的なことを学べるということがとても魅力的で、いいなと思いました。ですから他は全然検討もせず、直感的に「これ、自分のやりたいことと合ってる」という感じで受験をしました。

2. 受験を伝えた時のご家族や職場の方の反応は?

司会 皆さん社会人大学院生ということで、ご家族や職場の方にはどのように伝えましたか?

竹島 ヘルスデータサイエンスは以前から興味があって、大学院に行きたいなと思っていました。上司は快く送り出してくれて、「いろいろ学んだ知識やノウハウを持って帰ってきて、もっとレベルの高い診療につなげてくれ」と言って下さいました。家族も説得し、納得してくれました。

大山 家族に受験を伝えるタイミングには悩みましたね。もし反対されたら、受験は難しいだろうな、と思っていましたが、HDSを受験したいと言ったら、「応援するよ」と。私の場合はですが、在職しながら大学院に行ける機会などそれほどなくて、好意的に家族には受け取ってもらえました。ありがたい限りです。

3. 入学してみて仕事と学業との両立はどうですか?

矢込 講義中に仕事の連絡がよく来ます。もちろん集中はしているのですが、緊急の連絡の場合、それを返さざるを得ないシーンがよくあります。職種によって、大学院と仕事の時間を切り分けができるか、それともオーバーラップしてしまうかは違うと思うのですが、皆さんいかがでしょう? 私は、ある程度仕事で頼ってもらっている分、すぐに返事をしなければいけないのではないかと思い、そのあたりは難しいです。

大山 私も矢込さんと同じです。講義中にどんどん連絡が入ってきて、一瞬でもそれに意識を奪われると集中力が削がれてしまうのは意外と辛かったです。最近ようやく慣れてきました。緊急の話ですと、さらに頭の中がクタクタになりますよね。

仁田 私の場合、上司から常勤で働きながら通学することを当初は提案されました。医師の竹島さんはわかると思うのですが、1回籍を外すというのは、少し心配になりますよね。また同じポストに戻れないかもしれないとは思いましたが、中途半端になるのは避けたいと思い、今は非常勤で働いています。でもそのかわり同じポストに戻れないかもしれません(笑)。

竹島 退路を断ちましたね。私は上司には、絶対1年で戻してくださいねと言いました(笑)。本当は、常勤で働きながら大学院に行けたらいいなと思っていたのですが、病院の制度としてそれはできなかったです。

矢込 いわゆる社会人大学院生というか、働きながらでも学ぶことができるというのは、やはり大きいですよね。

4. HDSで学んだことをどのように生かしていきたいですか?

佐橋 卒業後も、常にいい刺激を得ながら学び続けたいと思っています。目の前の仕事をちゃんとやりながら、業績を作り、長期的には海外に留学するというのもよいかもしれないですね。ただ、ひとまずは今できることをちゃんとやろうと思っています。

矢込 今やっていることの延長ということでなく、ここで学んだことを活かして、研究やデータサイエンスに関係するような仕事をしていきたいと思っています。企業人だと、どの部署に配属されるかで仕事内容が決まってしまうということも考えられますが、今の関心や学んだことをちゃんと業界に還元できるとよいなと考えています。

大山 役所の場合、全く異なる部局に異動することもあり得ます。ただ、企画やデータサイエンスといった強みを生かせる職場も多くありますし、勉強したことを今後にも生かせると思っています。

矢込 卒業後もHDSのメンバーと相談ができたり、何かあるときに少しお手伝いをしたり、何かしらの形で研究に関わっていけたらいいなと思います。そのような仕組みがHDSにできるといいですね。

5. covid-19の影響でオンライン授業になったことについて

矢込 職場からみなとみらいのキャンパスまで片道1時間以上かかってしまうので、通学がなくなったのは、私にはプラスでした。大学院の授業が終わったらその瞬間から仕事ができて効率的ですね。佐橋さんは入学後に横浜へ引っ越しする予定だったのですか?

佐橋 共働きなので、横浜に引っ越すことは難しかったため、岐阜で働きながら授業がある日に新幹線で通学する予定でした。通学が丸々二年間だったら金銭的にも難しかったのですが、1年なら大丈夫かなと考えていました。オンライン授業になり、通学がなくなったのは大きいです。

高橋 covid-19の流行で、あらゆる面で想定と全く異なりました。特に子供の学校が休校になったことは影響が大きかったです。家庭との両立に関しては、夫と分担して子供の送り迎えは半分ずつというように、お互い協力しながらやっています。今後入学される方には、特殊な状況下にあった今の意見が役立つかということはわかりませんが、オンライン授業になったおかげで、無駄な時間が削減できたということはありました。

6. 今後入学される方へのアドバイス

仁田 もう、「直感」。「直感を信じるべし」と。皆さん迷うと思います。臨床試験と一緒で、1つの道を選んだら、自分はその対照群にはなれません。結局、だったらどちらがいいのかは誰にもわからないので、直感的にいいと思った方を選び、あとはそれが良かったと思えるように、自分で頑張るしかないです。迷ったときは直感を信じて選んでほしいです。

佐橋 やはり皆さん不安を抱えていると思います。HDSはメンタリングシステムがしっかりしていて、オンラインでも先生が親身にメッセージをくださるので、そうして引っ張ってくださるのがいいなと思いますね。あまり置いてきぼりにはなりません。

矢込 受験の前に受けたHDSの説明会で、医師をはじめとした臨床関係の領域の人を求めているという印象があり、授業についていけるのか少し不安がありました。授業がはじまってみると、ゼミや種々の講義で様々なフォローをしてくださるので、そのあたりはあまり気にしないで、自分の興味・関心がヘルスデータサイエンスで、本当に勉強したいと思ったのであれば、仁田さんの「直感」ではないですが、来ちゃえばいいじゃんと思いますね。

竹島 HDSは少人数なので、職種の隔てなく、お互いがそれぞれ問題意識を持っていて、でも一緒に学んでいくという、そういった雰囲気がとてもいいなと思います。みんなが気軽に質問したり、答えてくれたりという関係性がとてもかけがえのないものだと思いますし、卒業後もこの関係性は続いていくのかなと思っています。大学院はこういった貴重な人間関係を築ける場でもあり、得られるものはかなり大きいと思いますので、是非、臆せず入学してほしいと思いますね。

高橋 私は獣医師なので、入学前から他にこんな人はいないだろうなと覚悟していた部分もありますし、周りと比べて知識がないということは自覚していました。自分が知りたいことを、きちんと一から学んでいこうという姿勢で、背伸びしすぎず欲張り過ぎず、いい意味でマイペースに臨めば問題ないと思います。同期の知識や興味が様々で、とても勉強になるので楽しいですし、いろいろな職種の人にチャレンジしてもらえたら嬉しいです。

大山 普段の仕事で病院等で勤務される医師と市役所の行政職員では、例えば同じ会議に出ていても役割が異なるのですが、こうして机を並べて勉強できるということは、とても得難い経験です。やはり、仕事で接していて感じるのはその人の一面に過ぎず、こうして一緒に勉強していると、皆様がどのような気持ちで学び、どこに関心があり、どういう研究をしようとしているのかということが文脈を伴って理解できるようになってきています。自分自身の勉強や研究だけでなく、そういったネットワークや気づきの1つ1つが自分の仕事にも繋がっていくと感じます。医療やヘルスケアの領域で働いている人であれば、とてもいい機会になると思います。ただ、ヘルスデータサイエンスがわかる行政職員は本当に少ないと思っています。是非、役所で働いている人が、続いてくださるといいなと思います。

それでは、みなさん、今日はありがとうございました。

編集:加藤 福音