プログラム修了生(6期生)田野島玲大 本学准教授の特別研究が英文雑誌に掲載されました!
お知らせ
2025年06月13日
YCU病院経営プログラム6期生(2023年度受講、現:YCU医療経営・政策プログラム)の田野島玲大准教授(本学大学院 データサイエンス研究科 ヘルスデータサイエンス専攻,附属病院 次世代臨床研究センター)が行った特別研究の内容が,英文誌(Therapeutic Innovation & Regulatory Science)に掲載されました.
論文は下記からどなたでも閲覧できます(ダウンロード不可).
https://rdcu.be/eoLZp
【研究概要】
私は本学附属病院で臨床研究を支援する組織(横浜市立大学附属病院次世代臨床研究センター(Y-NEXT)に勤務しています.Y-NEXTには当時組織のミッション・ビジョンがなく,注力すべき業務や研究の種類が定まっていないことや独立採算ができていないという課題がありました.また,当時働き方改革を控えていたこともあり,研究者のエフォート確保が課題となっていました.そこで私はYCU病院経営プログラムの特別研究として,全国の臨床研究支援組織(ARO)のミッション,方向性,注力している業務,医師の研究に関するエフォートを明らかにし,Y-NEXTが目指すべき方向性の検討を行いました.全国31のAROに対してアンケートを配布し,20施設(64.5%)から回答を得ました.ミッション,長期目標,年次計画はそれぞれ13施設(65.0%),8施設(42.1%),12施設(60.0%)が「ある」と回答しました.注力している研究は企業治験35.0%,特定臨床研究15.0%,医師主導治験10.0%,観察研究5.0%(いずれも中央値)でしたが,施設間で大きく異なっていました.Y-NEXTでは企業主導治験と特定臨床研究へのエフォートがそれぞれ30.0%、医師主導治験・指針の介入研究・観察研究がそれぞれ10.0%でしたが,観察研究の支援が多い結果となりました.独立採算ができているAROは5施設(25.0%)にとどまっており,研究者のエフォートを組織で管理している施設も6施設(30.0%)でした.
本研究から,AROの体制やエフォートの割合は施設間で異なり,組織の方向やミッションに連動することが示唆されました.研究者のエフォート管理,業務における取り扱いにも課題が残りました.
【コメント】
今回YCU病院経営プログラムの特別研究として行ったAROに対するアンケート調査が,英文誌(Therapeutic Innovation & Regulatory Science)に掲載されました.本研究は,私がY-NEXTで勤務する中,組織の方向性や採算性について明記されたものがないという課題を感じていたところからスタートしました.全国のAROにアンケートを行い,結果をこのようにまとめることができ,今後本学のみならず,他のAROの方向性にも何かしらの知見が提供できれば望外の喜びです.今回の結果を踏まえて,Y-NEXTはミッション・ビジョンを策定しました.
アンケートにご協力いただいたご施設ならびに本研究をご指導いただいた田中利樹先生,後藤隆久先生,原広司先生始め,関係の諸先生方にこの場を借りて深く御礼申し上げます.
なお,私は本プログラム受講をきっかけにさらに経営学の学びを深めたい思いが強くなり,2024年4月から本学大学院国際マネジメント研究科 国際マネジメント専攻 博士前期課程(SIMBA: Social Innovation MBA)に進学し,AROに関する研究を継続しています.