1. ホーム >
  2. 会長コラム -春夏秋冬- >
  3. 2022年度夏

会長コラム -春夏秋冬-

2022年度夏

原口淳会長
横浜市立大学後援会
会長 原口 淳

皆さまこんにちは。日頃より後援会活動へのご理解ご協力を賜り感謝申し上げます。
今年4月の初回コラムに続き、今回2回目となります。ご高覧頂ければ幸いです。

先の6月11日に令和4年度横浜市立大学後援会第1回理事会が開催されました。
金沢八景キャンパスでの参加、オンライン参加、書面回答含め保護者理事の方々にも多数ご出席頂き、①定時総会開催の件、②理事会役員選出、③事務局の承認、④保護者説明会開催の件などの議案を無事決議することが出来ました。また議案審議に加えそれ以外の案件に関しても保護者理事の方々より活発なご意見を頂き大変実のある協議の場となったことを大変有難く思っております。ご出席頂きました理事の方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。

さて、ロシアのウクライナ侵攻の影響で日本でのガソリンや小麦粉の値段が上がるという一事を見ても、私たちがいかにGlobal化した世界に暮らしているかを実感します。
YCUではGlobalに活躍出来る人材育成を目指していますが、世界で活躍する人材には3つの世界共通スキルが求められます。1つ目は国際共通言語としての英語。2つ目は世界共通の物差しとしての数学(数字に関する理解)。そして3つ目はITリテラシーです。敢えてもう一つ加えるならユーモアセンスでしょうか。ユーモアは周囲を味方につける最強のスキルだと思います。

5月初めに国際マネジメント講義の一環で、国際教養学部、国際商学部の新入生約250名に対し、「Global時代に生きる」というタイトルでオンライン講義を行いました。この講義は6年ほど前から続けていますが、学部名に国際という冠がついてから入学してきた学生達はそれ以前と比較し、明らかにGlobal志向が強いように感じています。多くの学生は海外への興味はあるものの、具体的に何をしたいのかは定まってはいない様子です。講義内容としては、Global経済の動向と日本の位置づけや課題、その背景にある要因と処方箋といったところを私の経験を交えて出来るだけ分かり易く講義しているつもりです。

私が学生達に伝えたい主題は、大学進学、その後の就職は人生における重要なステップではあるが、それ自体は人生のゴールではないということです。
自分の人生を切り開く為には様々な選択肢の中から自ら歩むべき道を選び取っていかなければなりません。成り行きで豊かな人生を歩んだ人を私は知りません。
豊かな人生を送る人は、自らありたい姿を描き、切望し、そこにたどり着く為の努力と必要な選択を積み重ねた結果として、例え望みが叶わなかったとしても納得のいく人生を歩む人だと思います。若い時には人生の選択など先のことと考えがちですが、歳を重ねて振り返ると、今日ある自分の姿は若き日の行動と選択の結果であることを思い知らされます。最も重要なことは自ら考える力、姿勢です。そして考える力を支える基礎は教養です。大学で学ぶ目的は教養を身に付け、得意分野の専門性を深めることにあります。そうして自らを高めた結果として、就職においても自分の望む人生に近づく選択肢が視野に入ってきます。

私の講義を聞いてくれた学生全員からフィードバックを貰いました。彼らが大学で学ぶ目的を考えるきっかけになれたとしたら幸いです。これからも若い彼らにエールを送り続け、後援会としての支援に務めていきたいと思います。講義を通じて学生達と交わしたやりとりのほんの一部を紹介します。

学生:今の日本企業や日本経済の現状について、企業のトップを務めたこともある方からの生の声を聞くことが出来てとても学びになると同時に、大学生活をより良いものにして成長できるように気持ちを入れ替えて学ばなければならないと感じました。私はダイバーシティについて興味があったのですが、今までダイバーシティとイノベーションを結びつけて考えたことがなかったので大変参考になりました。
これは質問なのですが、現代国際社会の根本問題である格差が産業革命からきているという話がとても興味深かったのですが、そのような話についてどのような本や論文を読めば深く学ぶことができるか教えていただけると幸いです。

原口:産業革命以前も封建制度による階級格差はありました。しかし今日の世界に蔓延する経済格差は産業革命に端を発した資本家と労働者という社会構造に起因しています。資本家と労働者の格差を問題視して登場したのが社会主義、共産主義です。
面白いことに資本主義国でも社会主義国でも格差は存在しています。格差の根源はイデオロギー論や社会構造論のみでは解明出来ないと思います。そこには人間の欲望というモンスターが介在しているからです。一方で人間は愛情といった素晴らしい特性も有します。学術、技術の習得に加え道徳心や公共心といった人としての成熟が求められるのではないでしょうか。
お奨め本は「想像の共同体:ベネディクト・アンダーソン」、「近代世界システム:ウオ―ラーステイン」、「国富論:アダム・スミス」、「統治二論:ジョン・ロック」の4冊です。この4冊で現代に至る世界、社会構造の骨組みが理解出来ると思います。

学生:私の尊敬するある講師が、食料自給率が低いと他国と貿易をしなければならない。そのためには他国と仲良くしておかなければならない。ゆえに戦争などを起こしづらくなるので、むしろ食料自給率が低いのは良いこととも捉えられる、と仰っていました。この意見についてどう思われるかが知りたいです。
また、私は、AIは人類にとってプラスになると思っているのですが、周りの友達と話してみても「AIは人の仕事を奪う」などイノベーションについてネガティブな意見を持つ人が多いのはなぜだと思いますか?例えばTVが衰退し、YouTubeがそのポジションにとってかわったとしてもそのことによってむしろ多くの人々にブレイクのチャンスが訪れるように、イノベーションはマイナス以上にプラスをもたらすことが多いと思います。

原口:食料自給率は低い方が良いとは思いませんが、食料に限らず経済の相互依存は戦争を避ける大きな要因であるという考え方には私も賛成です。一方、貿易相手国の事情は私たちにはコントロール出来ません。戦争に限らず自然災害や疫病などにより貿易が成立しないケースもあり得るでしょう。やはり食料という私たちが生きていくうえで必要不可欠なものはある程度(個人的には70%程度)は自前で調達できる方が安心です。その上で余裕をもって外国との輸出入でお互いいろいろなものを楽しめる国際社会であることが良いと思います。
AIについての考え方は私もあなたと同意見です。職種によってはかなりのものがAIによって代替えされるでしょう。その分人間がやるべき仕事にシフトすれば良いと思います。講義の中で話しましたが、産業革命以降、世界の労働人口は農林水産から鉄鋼業そしてサービス産業へとシフトしてきました。今後サービス産業が更に進化し、人がやるべき仕事も変わっていくのでしょう。

学生:私も家庭がそんなに裕福ではなく、女性だけど一人で稼げる大人になりたいと昔から漠然と思っていました。この国際マネジメントの講義で経営管理や組織運営に少し興味があります。講義中仰っていたように、女性の海外進出や管理職の割合は現実的にまだ厳しいものがあるのでしょうか?

原口:日本は諸外国に比較し女性の社会進出は大きく遅れています。英国サッチャー首相、独メルケル首相を筆頭に、最近では北欧やNZの若い女性首相が頻繁にTVに出てくるのを見るにつけ、時代の流れとそれに乗り遅れている日本を痛感します。日本におけるオジサン社会の弊害は顕著であり、あらゆる分野での女性進出を後押ししようという社会の動きは確実に高まっており、やる気と本気度のある女性にはチャンスです。
但し、欧米での女性社会進出の歴史もスンナリ進んだ訳ではなく、男性既得権層による差別、弾圧の中を戦い抜き、権利とポジションを獲得していった先駆的女性たちが存在したことは認識しておくべきでしょう。
日本のオジサンたちは欧米の超頑固な権威主義男性陣に比べれば御しやすいと思いますよ。 頑張れ!応援します。

横浜市立大学後援会 会長 原口淳 略歴

原口淳会長

1955年生まれ、長崎県佐世保市出身
1979年3月 横浜市立大学商学部卒業
1979年4月 小西六写真工業株式会社入社
1985-90年 欧州(ドイツ、イタリア)駐在
1997年- 米国駐在
2005年 コニカミノルタビジネスソリーションズ U.S.A., Inc. 社長
2013年 コニカミノルタ株式会社 常務執行役 Global販売本部長
2016年 コニカミノルタジャパン株式会社 代表取締役社長
2020年 コニカミノルタ株式会社 上級特任顧問
2022年 退任

趣味:音楽(洋楽シンガー)、植木(庭師を目指し修業中)
写真は2019年の日本で行われたラグビーワールドカップでの応援。
両脇はコニカミノルタの南アフリカ代理店の社員。

会長コラム -春夏秋冬-
NEWS LETTERバックナンバー