Department of Microbiology and Molecular Biodefense Research | ||
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Ryo Lab | ||
研究テーマの概要 |
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わたしたちは分子細胞生物学を基盤とした、レトロウイルス増殖の分子メカニズムの解明を目指した研究を行っています。 HIVタンパク質と宿主タンパク質の相互作用を詳しく調べることで、HIVの複製やエイズの発症機構、さらには、宿主因子を標的とした新しいエイズ治療法の開発を目標としています。 また、プロリルイソメラーゼPin1を分子プローブとした、新しいリン酸化プロテオミクス解析法を用いて、がん、エイズ、自己免疫疾患、神経変性疾患などにおいて、Pin1と特異的に結合するリン酸化タンパク質を同定し、疾患発生の分子メカニズムの解明する研究を行っています。 |
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1)HIV複製や病原性に関与する宿主因子の同定 | ||
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HIV感染症の成立には宿主タンパク質とHIVタンパク質間の相互作用が必須であり、そのものがウイルスの増殖・生活環、および病原性発現機構に重要な役割を果たします。また、感染にともなう宿主個体のウイルスに対する細胞内免疫応答機構の1つとして、ウイルス−宿主タンパク質複合体の形成やその機能的意義について考察することは、HIV感染症の全体像を理解する上で大変重要です。
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図1. 3次元培養法を用いたHIV-1粒子形成実験 図2. SOCS1によるHIV-1Gagタンパク質の細胞内輸送機構 |
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2)リン酸化特異的プロリルイソメラーゼPin1を利用した疾患形成分子メカニズムの解明 | ||
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タンパク質のリン酸化は増殖や分化といった数多くの細胞の機能を調節する上で極めて重要なメカニズムの1つです。しかしながら、いかにしてリン酸化されたタンパク質がリン酸化に引き続いて機能を大きく変化させるかという機構については不明な点が多いようです。 ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1はリン酸化されたSer/Thr-Pro というモチーフに結合し、そのペプチド結合を介してタンパク質の構造をシス・トランスに異性化させることにより、リン酸化タンパク質の機能を調節する新しいタイプのレギュレータです。 この 新規の"リン酸化後"調節機構は標的タンパク質の活性、タンパク質—タンパク質結合、細胞内局在、さらには安定性等を変化させ、リン酸化タンパク質の機能発現に重要な役割を果たすことが知られています。また、Pin1がリン酸化タンパク質に結合して構造が変化することで、ユビキチン化やSUMO化などの、他の翻訳後修飾のスイッチのON/OFFが調節されています。 最近の私たちとハーバード大学との共同研究により、Pin1はがん、免疫疾患および神経変性疾患等の難治性疾患の病態形成に極めて重要な役割を果たすことが明らかになっています。Pin1の標的となるリン酸化タンパク質は多岐に渡り、細胞や組織の違いによって異なります。また、同一細胞/組織であっても、正常時と疾患時では、基質のリン酸化状態が異なることで、そのレパートリーが大きく変ります。 私たちはPin1を分子プローブとした、新しいリン酸化プロテオミクス解析を独自に開発し、疾患特異的にPin1と結合するリン酸化タンパク質を数多く同定しました。それらを基盤とした、癌、免疫疾患、アルツハイマー病などの疾患発生分子メカニズムの解明を目指した分子病理学的研究を行なっています。
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