海洋都市トリエステ(イタリア)に建つトリエステ大、港都チッタゴン大・ラジャヒ大(バングラデシュ)、長崎国際大、市大鶴見キャンパスと協力し、海の無脊椎動物レクチンを国際的に研究しています。博士後期2年、前期1・2年、学部3・4年、計10名在籍 (2024年)
海の動物採集、レクチンの精製、人工レクチンの創製、環境中の微生物や細胞へのレクチンの作用解析を行います。研究、趣味、キャリアなど、多方面の支援を行い、就職後も役立つ知恵の身につく研究室活動を行っています。
ナンコツカイメンから発見したレクチンのアミノ酸配列を、三つ葉型の立体で、糖鎖Gb3をもつがん細胞の細胞死を引き起こし、創薬のモデルとしてました。しかしレクチン本来の性質である赤血球凝集も起こすことが創薬上の課題でした。立体をコンピューターで解析し対称形にデザインした「ミツバ‐ワン」は赤血球凝集を起こさずにがん細胞と結合する人工レクチンで、将来の糖鎖創薬に有望なツールです。

アジア原産のムラサキインコガイから、立体はマイティレックとおなじミツバ形なのに、遺伝子の起源は遠くはなれているレクチン「セヴィル」をみつけました。セヴィルは神経細胞にあるガングリオシド糖鎖と結合し、種々の培養細胞へセヴィルを投与すると、細胞死だけでなく増殖にもはたらくことがわかってきました。海の軟体動物のもつ多様なレクチンに着目することは、免疫や神経の細胞を調節する方法の新発見につながります。

東京大 三崎臨海実験所でつくられた実験モデル動物のニッポンウミシダから、レクチン「オキシル」をみつけました。しかしその一次構造は、意外にもヒトの免疫分子「補体C1q」やコラーゲンと似ていたのです。このことから、祖先タンパクの鋳型のひとつに突然変異が起き、補体やホルモン、コラーゲンとともにオキシルがつくられ、ウミシダを微生物から防御する「レクチン進化のブリコラージュ」仮説を考えることができました。

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大関泰裕
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