ヨコハマとおなじく海洋都市のあるイタリア共和国、バングラデシュ人民共和国、長崎国際大、横浜市大 八景・鶴見キャンパスの異分野が協力する国際チームで、海の無脊椎動物がもつレクチンを総合的に研究しています。動物採集とレクチンの発見、ゲノム情報から立体までの構造決定と改変、環境中の微生物や細胞への作用の解析 が実験テーマです。生活面からキャリアまで、多方面の相談と支援を行い、就職後も役立つ持続的で深い学びのできる研究室づくりを心がけています。
地中海原産のムラサキイガイから発見されたレクチン「マイティレック」は、三つ葉のクローバー型の立体をもち、Gb3糖鎖をもつリンパ腫細胞の細胞死を起こしました。しかしレクチン本来の性質である赤血球凝集も起こすことが創薬上の課題でした。立体をコンピューターで解析し対称形にデザインした「ミツバ‐ワン」は赤血球凝集を起こさずにがん細胞と結合する人工レクチンで、将来の糖鎖創薬に有望なツールです。
アジア原産のムラサキインコガイから、立体はマイティレックとおなじミツバ形なのに、遺伝子の起源は遠くはなれているレクチン「セヴィル」をみつけました。セヴィルは神経細胞にあるガングリオシド糖鎖と結合し、種々の培養細胞へセヴィルを投与すると、細胞死だけでなく増殖にもはたらくことがわかってきました。海の軟体動物のもつ多様なレクチンに着目することは、免疫や神経の細胞を調節する方法の新発見につながります。
東京大 三崎臨海実験所でつくられた実験モデル動物のニッポンウミシダから、レクチン「オキシル」をみつけました。しかしその一次構造は、意外にもヒトの免疫分子「補体C1q」やコラーゲンと似ていたのです。このことから、祖先タンパクの鋳型のひとつに突然変異が起き、補体やホルモン、コラーゲンとともにオキシルがつくられ、ウミシダを微生物から防御する「レクチン進化のブリコラージュ」仮説を考えることができました。
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大関泰裕
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