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横浜市立大学大学院医学研究科・医学部医学科 医学教育学教室

TEL. 045-787-2626

〒236-0004 横浜市金沢区福浦3−9

横浜市立大学大学院医学研究科・医学部医学科 医学教育学教室

医学教育学

現在の主な研究テーマ

  • 科研費(基盤C) 平成23〜25年度 研究代表者 後藤英司
    「医学部におけるコミュニケーション教育の有効性と実施上の問題点に関する研究」
                    
    【目的】
    医師は、患者と信頼関係を構築し、他職種スタッフと円滑に連携する必要があるため、優れたコミュニケーション能力が求められている。このため、医学教育においてもコミュニケーション教育が重視されている。しかし、コミュニケーション教育にも多様な類型があり、どのような方法や評価(効果測定)が、本来の目的や目標に適するかどうかは必ずしも明らかではない。本研究では、文部科学省からコミュニケーション教育のモデルプログラムとして採択された取組を対象に、聞き取り調査と質問紙調査を行い、対象、目標、方略から取組の類型化を行い、類型ごとの有効性、効果の促進・阻害因子を明らかにする。

平成23年度以前の研究テーマ

  
  • 「臨床研修1年目終了時の研修医の安全意識」
    【目的】
    研修医による医療事故の報道が相次ぎ,安全教育の強化が求められている。安全教育の効果を評価し、今後の教育のあり方を検討するため、臨床研修を1年終了した時点で研修医の安全意識を調査した。

    【対象】
    A群:横浜市立大学附属病院(附属病院)で1年目の研修を終了した30名。
    B群:1年目を他院で研修し,2年目を附属病院で研修する32名。

    【方法】
    1年次研修終了後に研修医に医療事故や病院内安全管理制度に関する知識および1年間で経験したインシデントについて質問紙法で調査した。

    【結果】
    2群とも全員が附属病院でH11年に発生した「患者取り違え事故」を知っていると回答したが,裁判の判決についてはA群の40%,B群の53%が知らないと答えた。また,両群とも8割以上が最近の研修医が関係した医療事故を「1つ以上知っている」おり,9割が研修医が責任を問われることについて「仕方ない」または「場合によるが仕方ない」と回答した。院内インシデント報告制度は両群とも7割が「知っている」と回答したが,「インシデント報告を書いた経験がある」と答えたのは約2割であった。インシデント例を5種類提示してインシデントに該当すると考える項目を選択させたところ,9割が1,2項目 しか選択しなかった。自分が経験または目撃したインシデントは内服薬の種類や日数の間違い,点滴指示の出し忘れなど処 方・与薬関係が多く,病院全体の調査結果と同様の傾向を認めた。

    【結論】
    1年間の研修終了後,研修医は医療安全の重要性を認識しているが,インシデント等に関する知識は不十分と考えられた。オリエンテーションや指導医の教育体制を見直し、安全教育をさらに強化する必要があると考えた。
          
  • 「横浜市立大学における医療安全重視教育の効果1」
    【目的】
    横浜市立大学医学部では、平成11年に生じた患者取り違え事故の反省に基づき、医療安全を重視したカリキュラムを実施している。今回、事故当時1年次生であった学生を対象にカリキュラム改善の効果について意識調査を行い、有効性が示唆される結果を得たので報告する。

    【方法】
    平成11年の事故発生直後から全学年で医療安全を重視した授業を導入した。平成16年度に6年一貫のカリキュラムとなるように設計し、医療におけるコミュニケーション、倫理、安全をテーマとした授業を6年間あたり15時間から165時間(一般教育と病棟実習での学習を除いた時間数)に増やした。また、医療を受ける立場に立った考え方や感じ方を知るために60ー100時間は医学以外の分野の講師が医学部教員と協同して授業を行い、6ー8人の小人数グループによる共同 作業や討論を重視することとした。事故発生当時の1年次生が6年次に至り大部分の授業を受けた時点(臨床実習は5年次1学期から開始)でカリキュラム改善の有効性に関する意識調査を行った。

    【結果】
    カリキュラム改善は、病棟実習での患者との円滑なコミュニケーションに役に立ったとの回答が多く(87%)、特に患者との面接、カルテ記載、倫理的な考え方、患者の意思の尊重、守秘義務の遂行、患者との信頼関係の構築に有効であったと考えるものが多かった。また研修医になった時に安全な医療の実践に役立つと考えるものも多かった(76%)。一方、安全教育の問題点として、教員が忙しすぎる、意識が低い、病院内情報伝達が円滑でない、看護職との連携の不良を挙げるものが多かった。

    【結論】
    学生は、カリキュラムの改善が病棟実習や卒後のコミュニケーション促進や安全な医療の実践に役立つと考えており、教育改善が有効である可能性が示唆された。


                       
                    

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