他診療科から感染症を学びたい方へ

今の専門性から選ぶ、6つの感染症専門医ルート

感染症は、あらゆる診療科と接点を持つ領域です。呼吸器感染症、周術期感染、免疫不全患者の感染、救急・集中治療における感染対応、母子感染症、HIV/STI、輸入感染症、院内感染対策。どの診療科で培った経験も、感染症診療の中で強みになります。

横浜市立大学感染症内科学では、5つの連携拠点を組み合わせながら、今の専門性を生かして感染症専門医取得を目指せるよう、代表的な6つのキャリアプランを考えています。ここでご紹介するのは、単一の一本道ではなく、現在の専門性から感染症専門医へつながることを目指し、すべての方が同じ施設を同じ順番で回るわけではありません。ご自身の背景や制度区分に応じて、最適な組み立てをご相談いただけます。

まずお読みください

本ページは、感染症専門医取得までの代表的なキャリアモデルを示したものです。実際の制度区分は、医師免許取得年、基本領域、学会入会時期、これまでの研修歴によって異なります。現在、本ページで紹介する5施設はいずれも日本感染症学会の認定研修施設です。共通して重要になるのは、基本領域の専門性を土台にしながら、認定研修施設で感染症診療を学び、必要な症例経験、学会発表・論文、病歴要約などを計画的に整えることです。制度の最終確認や、どの施設をどの割合で組み合わせるかは、個別相談で丁寧に調整します。

5つの拠点の役割

横浜市立大学附属病院は、感染症コンサルテーション、HIV診療、免疫不全感染症、感染制御、教育・研究を強みとする拠点です。横浜市立大学附属市民総合医療センターは、高度救命救急、周産期、精神科救急・身体合併症、地域連携、感染制御を学ぶ拠点です。横浜市立市民病院は、市中感染症、輸入感染症、HIV、一類感染症対応を含む臨床現場の拠点です。横浜市立みなと赤十字病院は、感染症コンサルト、抗菌薬適正使用、HIV/梅毒、トラベル・ワクチン外来を通じて臨床推論と感染症を学ぶ拠点です。藤沢市民病院は、成人感染症、小児感染症、臨床検査医学、周産期感染症コンサルテーションをつなぐ診断と検査の拠点です。

感染症専門医取得に向けた共通の進み方

  • 最初に、ご自身の制度区分を確認します。医師免許取得年、基本領域、学会入会時期、これまでの勤務歴によって、進み方が異なるためです。
  • 次に、主軸となる施設を決めて、感染症診療の幹を作ります。ここでは、日々のコンサルテーション、入院診療、外来診療、ICT/AST活動を通じて、感染症医としての基礎体力をつけます。
  • そのうえで、補完施設を組み合わせて、不足しやすい領域を埋めます。たとえば、輸入感染症、HIV、トラベル・ワクチン、周産期、小児感染症、臨床検査・微生物、感染制御などは、施設ごとの強みがはっきりしています。
  • 並行して、学会発表、論文、病歴要約の準備を早めに始めます。症例は集めてから整理するのではなく、研修の初期から記録・振り返り・指導を受けながら蓄積することが重要です。
  • 最後に、申請前の段階で、研修歴と書類を指導医と一緒に最終確認します。横浜の5拠点を生かす強みは、症例の幅だけでなく、相談先の多さにもあります。

6つのキャリアプラン

  1. 内科系ジェネラリスト拡張プラン
  2. 救急・集中治療現場プラン
  3. 外科系・周術期感染マネジメントプラン
  4. 小児・産婦人科/周産期接続プラン
  5. 臨床検査・診断起点プラン
  6. HIV/STI・外来予防・渡航医学プラン

プラン1 内科系ジェネラリスト拡張プラン

【こんな方におすすめ】
総合内科、呼吸器内科、腎臓内科、膠原病内科、血液内科、消化器内科、腫瘍内科など、すでに複雑な内科患者さんを診ている先生に向くプランです。今の専門性に感染症の視点を加えることで、より広く深い内科医を目指します。

【主に活かす拠点】
主軸は横浜市立大学附属病院です。感染症コンサルテーション、HIV診療、免疫不全感染症、感染制御、教育・研究がそろっており、内科のバックグラウンドを感染症専門医に活かしやすい環境があります。横浜市立市民病院を組み合わせることで、市中感染症、輸入感染症、HIVの前線を経験し、横浜市立みなと赤十字病院を組み合わせることで、外来予防、ワクチン、臨床推論の技術を伸ばします。

【3年間の研修イメージ】

感染症研修1年目

横浜市立大学附属病院を主軸に、コンサルテーション、免疫不全患者の感染症、HIV診療、ICT/AST活動に継続して関わり、感染症診療の基礎を固めます。

感染症研修2年目

横浜市立市民病院で、市中感染症、輸入感染症、HIV、発熱患者の鑑別、入院診療のスピード感を学び、症例の幅を広げます。

感染症研修3年目

横浜市立大学附属病院で申請準備と学術面を仕上げつつ、横浜市立みなと赤十字病院の外来・ワクチン・コンサルトを組み合わせて、予防と臨床推論の力を補強します。

【このプランで目指す姿】
このプランの強みは、内科の深さをそのまま感染症の強さに変えられることです。免疫不全、HIV、コンサルト、感染制御、輸入感染症まで視野が広がることで、専門医取得後も各内科分野と感染症をつなぐ役割を担いやすくなります。

プラン2 救急・集中治療現場プラン

【こんな方におすすめ】
救急、集中治療、総合診療的な現場経験を持ち、重症患者さんの感染症対応をさらに深めたい先生に向くプランです。敗血症、デバイス関連感染、病院全体の感染対策、地域連携まで一気通貫で学びたい方に適しています。

【主に活かす拠点】
主軸は横浜市立大学附属市民総合医療センターです。高度救命救急センター、総合周産期母子医療センター、精神科救急・合併症病棟、感染制御部が同じ病院の中にあり、救急医療の感染症を学びやすいのが大きな特徴です。横浜市立市民病院を組み合わせると、輸入感染症やHIVを含む感染症診療が加わり、横浜市立大学附属病院を組み合わせると、感染制御と研究・教育も学ぶことができます。

【3年間の研修イメージ】

感染症研修1年目

横浜市立大学附属市民総合医療センターで、重症感染症、救急・集中治療における感染管理、ICT/AST活動、地域連携型の感染対策を学びます。

感染症研修2年目

横浜市立市民病院で、輸入感染症、HIV、発熱・感染症患者の入院対応を経験し、幅広い感染症診療を経験します。

感染症研修3年目

横浜市立大学附属病院で、感染制御、免疫不全患者の感染症、学会発表・論文化を進め、専門医申請に向けた仕上げを行います。

【このプランで目指す姿】
このプランの強みは、救急現場での判断力に加えて、院内全体の感染症を管理する感染症医の視点が身につくことです。重症感染症の臨床と感染制御を両輪で学びたい方に向いています。

プラン3 外科系・周術期感染マネジメントプラン

【こんな方におすすめ】
外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、麻酔科など、手技や周術期管理の経験を持つ先生に向くプランです。自分の臓器・手術領域の感染症に強くなるだけでなく、診療科横断的に感染症診療を担う医師を目指します。

【主に活かす拠点】
主軸は横浜市立大学附属病院または横浜市立大学附属市民総合医療センターです。ICT/AST、医療関連感染対策、抗菌薬適正使用、他科との協働を通じて、周術期感染を個別の術後合併症ではなく、病院全体の課題として学べます。藤沢市民病院を組み合わせると、臨床検査・微生物・小児感染症の視点から診断力が深まり、横浜市立みなと赤十字病院を組み合わせると、各科コンサルトや抗菌薬提案の力が伸びます。さらに横浜市立市民病院で幅広い入院感染症を経験することで、幅広い視野を持つ感染症医へと成長できます。

【3年間の研修イメージ】

感染症研修1年目

附属病院または附属市民総合医療センターで、医療関連感染、術後感染、カテーテル関連感染、人工呼吸器関連肺炎、敗血症などの診療とICT/AST活動を学びます。

感染症研修2年目

藤沢市民病院で、検体の出し方、培養結果や感受性結果の読み方、微生物検査と診療のつなぎ方を学び、診断の解像度を上げます。

感染症研修3年目

横浜市立市民病院または横浜市立みなと赤十字病院を組み合わせ、周術期感染以外の感染症コンサルト、入院管理、外来フォローまで経験し、専門医申請に必要な症例の幅を整えます。

【このプランで目指す姿】
このプランの強みは、外科系のバックグラウンドを持つからこそ、感染源の評価、手術適応、デバイス管理、抗菌薬選択を立体的に考えられることです。手術を知る感染症医として、他科から信頼される役割を目指せます。

プラン4 小児・産婦人科/周産期接続プラン

【こんな方におすすめ】
小児科、新生児医療、産婦人科などで感染症診療の経験を積み、その専門性を生かしながら感染症専門医取得をめざしたい先生に向くプランです。小児感染症、母子感染、周産期感染症を土台としつつ、成人感染症、免疫不全感染症、HIV、感染制御まで視野を広げたい方に適しています。あわせて、日々の診療で得た疑問を感染症研究につなげ、大学院での学位取得も視野に入れたい方にも適したプランです。

【主に活かす拠点】
主軸となるのは横浜市立大学附属病院です。成人感染症、免疫不全感染症、HIV、感染制御に加え、研究指導や大学院への接続を通して、感染症専門医取得と学位取得の両方を見据えた支援を受けることができます。横浜市立市民病院では、幅広い入院感染症や輸入感染症を経験し、出身領域にとどまらない感染症診療の幅を広げます。藤沢市民病院では、小児感染症や臨床検査の強みを生かし、診断力をさらに深めることができます。必要に応じて横浜市立大学附属市民総合医療センターを組み合わせることで、周産期や母子感染の視点もさらに充実させることができます。

【3年間の研修イメージ】

感染症研修1年目

横浜市立大学附属病院を主軸として、成人感染症、免疫不全感染症、HIV、感染制御を学びます。小児科や産婦人科で培った経験を、感染症専門医としての幅広い診療につなげる土台を作る時期です。あわせて、研究テーマの相談や大学院進学を見据えた準備も始めます。

感染症研修2年目

藤沢市民病院または横浜市立市民病院を組み合わせ、小児感染症コンサルト、臨床検査、幅広い入院感染症、輸入感染症などを経験します。ご自身の出身領域の強みを保ちながら、感染症診療の守備範囲を着実に広げていきます。

感染症研修3年目

横浜市立大学附属病院を中心に、学会発表、論文化、大学院進学準備を進めます。必要に応じて他施設での経験も補完しながら、感染症専門医申請に必要な症例と業績を整え、専門医取得と学位取得への道筋を明確にしていきます。

【このプランで目指す姿】
このプランの強みは、小児科や産婦人科で培った感染症診療の経験を生かしながら、成人感染症、感染制御、研究へと専門性を広げられることです。小児や周産期の視点を持つ感染症専門医が育つことで、一般成人診療だけでは見落とされやすい課題にも目を向けられるようになります。さらに、臨床で得た課題を研究につなげることで、感染症専門医取得に加えて、感染症研究による学位取得も目指しやすいプランです。

プラン5 臨床検査・診断起点プラン

【こんな方におすすめ】
臨床検査医学を主に想定したプランですが、病理、画像診断など、診断の精度で感染症診療に深く関わりたい先生にも相性のよいモデルです。感染症を治療の学問としてだけでなく、診断を起点に診療全体を考える学問として学びたい方に向いています。

【主に活かす拠点】
主軸は藤沢市民病院です。感染症内科、小児感染症、感染制御、臨床検査医学を横断する強みがあり、検査の適応、検体の質、培養結果や感受性結果の解釈、臨床への返し方を深く学べます。横浜市立大学附属病院を組み合わせると、感染制御、AST、臨床検査部門との協働、教育・研究への接続が加わります。さらに横浜市立市民病院や横浜市立みなと赤十字病院を組み合わせることで、検査結果を実際のベッドサイド診療や外来診療にどう生かすかを学ぶことができます。

【3年間の研修イメージ】

感染症研修1年目

藤沢市民病院で、微生物検査、感染症診断、検査相談、感染対策、小児感染症の基礎を集中的に学びます。

感染症研修2年目

横浜市立大学附属病院で、感染制御部の活動、AST、免疫不全患者の感染症、検査部門との連携を経験し、診断情報を病院全体の判断に結びつける力を養います。

感染症研修3年目

横浜市立市民病院または横浜市立みなと赤十字病院を組み合わせ、入院患者・外来患者の診療に直接関わりながら、専門医申請に必要な症例の幅を整えます。

【このプランで目指す姿】
このプランの強みは、培養が出た後に読む力ではなく、培養が出る前から何を考え、どの検体を取り、結果をどう臨床に返すかまで一貫して学べることです。診断を武器にした感染症専門医を目指す方に最適です。

プラン6 HIV/STI・外来予防・渡航医学プラン

【こんな方におすすめ】
皮膚科、泌尿器科、産婦人科、一般内科、外来中心の診療経験がある先生や、予防・継続支援・外来感染症に関心の強い先生に向くプランです。入院診療だけでなく、外来で感染症を防ぎ、長く支える力を身につけたい方に適しています。

【主に活かす拠点】
主軸は横浜市立みなと赤十字病院です。各科からの感染症コンサルト、培養結果の解釈、抗菌薬提案、ASTフィードバックに加え、外来ではHIV、梅毒、トラベル・ワクチン外来を行っており、予防と助言の技術を学ぶには非常に相性のよい環境です。横浜市立市民病院を組み合わせると、HIVや輸入感染症の入院・外来診療が加わり、横浜市立大学附属病院を組み合わせると、神奈川県エイズ中核拠点病院としての多職種HIV支援が学べます。必要に応じて藤沢市民病院を組み合わせれば、小児や家族単位の渡航ワクチンの視点も加えられます。

【3年間の研修イメージ】

感染症研修1年目

横浜市立みなと赤十字病院で、感染症コンサルト、抗菌薬適正使用、HIV/梅毒診療、トラベル・ワクチン外来を学びます。

感染症研修2年目

横浜市立市民病院で、輸入感染症、HIV、発熱患者の入院診療、必要に応じてSTI関連診療の視点を広げ、外来だけに偏らない土台を作ります。

感染症研修3年目

横浜市立大学附属病院で、HIVチーム、多職種連携、免疫不全感染症、感染制御、学会発表・論文化を進め、専門医申請に向けた仕上げを行います。

【このプランで目指す姿】
このプランの強みは、感染症を発症後に治療するだけでなく、発症予防と継続的な支援の視点から学べることです。HIV/STI、トラベル・ワクチン、外来コンサルトに強い感染症専門医を目指せます。

見学・個別相談について

ご自身のバックグラウンドに最も合うプランは、現在の専門領域、これまでの勤務歴、今後深めたいテーマによって異なります。どの施設を主軸にすべきか、どの領域を補完したいか、どの制度区分で進むか、個別相談や病院見学の中で具体的にご提案します。今までの経験を生かしながら、感染症の視点を深めて、専門性を広げる。その一歩を、横浜で一緒に形にしていきましょう。