【論文】CTによる肺線維化評価とMRIによる右心機能解析を組み合わせた、間質性肺疾患における肺高血圧症の非侵襲的診断

著者
Kenichi Ito¹, Shingo Kato¹, Naofumi Yasuda¹, Shungo Sawamura¹, Kazuki Fukui², Tae Iwasawa³, Takashi Ogura⁴, Daisuke Utsunomiya¹

¹横浜市立大学 医学部 放射線診断学
²神奈川県立循環器呼吸器病センター 循環器内科
³神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科

掲載誌: Journal of Clinical Medicine (2025)
PMID: 40806951
DOI: 10.3390/jcm14155329

背景

間質性肺疾患(Interstitial Lung Disease, ILD)はしばしば肺高血圧症(Pulmonary Hypertension, PH)を合併し、運動耐容能の低下や予後不良と関連します。PHの早期発見は重要ですが、確定診断には右心カテーテル検査(RHC)が必要であり、非侵襲的かつ高精度な診断法の確立が求められています。

研究目的

本研究では、胸部CTによる肺線維化の定量解析と心臓MRIによる右心室機能評価を組み合わせることで、ILD患者におけるPH診断精度が向上するかを検証しました。

方法

  • 対象:CT、心臓MRI、RHCを施行したILD患者72例
  • 肺線維化評価:Gaussian Histogram Normalized Correlation(GHNC)法を用い、疾患肺割合、すりガラス陰影(GGO)、蜂巣肺、網状影、コンソリデーション、肺気腫を定量化
  • 心機能評価:MRIにより右心室収縮末期容積(RVESV)、駆出率、縦方向ストレインを測定
  • PH定義:mPAP ≥ 20 mmHg かつ PVR ≥ 3 Wood units(RHC基準)

主な結果

  • PH群(n=21)では、非PH群に比べてRVストレインの低下(-13.4% vs. -16.4%, p=0.026)、RVESVの増大(74.2 mL vs. 59.5 mL, p=0.003)が顕著
  • CT定量では疾患肺割合(56.4% vs. 38.4%, p<0.001)、GGO(11.8% vs. 8.65%, p=0.005)、蜂巣肺(17.7% vs. 12.8%, p=0.0027)が有意に高値
  • ROC解析におけるPH診断精度(AUC)は、疾患肺割合単独で0.778 → RVESVを加えると0.847 → さらにRVストレインを加えると0.854に上昇
  • リスク再分類指標(NRI, IDI)も有意に改善

結論と臨床的意義

胸部CTによる肺線維化の定量解析と心臓MRIによる右心室機能評価を組み合わせることで、ILD患者における肺高血圧症の非侵襲的診断精度が向上しました。
この統合型画像診断アプローチは、PHの早期発見と適切な治療介入につながる可能性があり、今後のILD診療における重要なツールとなり得ます。

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