石渡先生(今年度より核医学診療科部長)よりECR2025の学会参加報告をいただきましたので、掲載します。
2025/2/26〜3/2 にオーストリア・ウィーンで開催された ECR(European Congress of Radiology)に参加しました。今回は「頭部 CT 読影の際の視線の動きについて、初学者と熟練者の動きの違いをeye tracking system(視線計測装置)を用いて定量化する」という研究発表を行いました。今後研究を進め、最適な若手読影教育と専門医のブラッシュアップにつなげていければ良いかと考えております。
縄田先生(現横浜労災病院)は海外での使用例は日本ほど多くないということで「Triple coaxial system の Tips」の教育展示をされていました。この他にも、神奈川県立がんセンターの山本先生や日野先生(現センター病院)も発表をされておりました。
ECR はヨーロッパ最大の放射線関連の年次総会で、毎年 120 カ国以上、20000人前後の参加者がおります(開催場所は毎年ウィーン)。日本からのアクセスは若干悪いですが(特に現在はロシア上空を通過できないため)、日本人を含めたアジア人の参加はそれほど多くなく異国感を感じられます。今年は AI の発表やパネルディスカッションが非常に多かった印象です。
最も印象に残ったこととしては、teleradiology の section において放射線技師の遠隔撮影業務が紹介されていたことです。欧州では放射線技師の人員も限られており、効率的な配置が模索されているようです。MRI 装置の前のコンソールに張り付いて患者の移乗も行いつつ MRI を1人1台で操作する「historical」、院内の中央司令室から 1人で複数台(3 台など)の MRI を操作する「present」(患者さんの入れ替え・セットアップは他のメディカルスタッフ)、自宅や湖畔などのそのほかの場所から遠隔操作をする「future」と紹介がありました。欧州全ての国というわけではないかもしれませんが、少なくともドイツと英国は「present」の状態の様です。制度の違いも大きいとは思いますが、日本は 「historical 」な状態で、今後検査室の体制も変わっていくかも知れません。
3 月初旬のウィーンは寒い印象でしたが、今回は思っていたほど寒くはなく、温暖化の進行により降雪は非常に減っているということでした。若手の先生方におかれましては、ウィーンは非常に治安の良い都市ですので、最初に発表する国際学会に適しているかも知れません。演題採択率も 50%程度とされておりますので、北米放射線学会(RSNA)の 25%以下より現実的です。また、街の中にも歴史的建造物も多く、目の保養にもなります。国際学会で発表してみたいという若手の先生は是非ご相談ください。専攻医でももちろん大丈夫です(当方も専攻医 2年目に⽶国核医学会@ボルチモアで初めて国際学会発表を行い、現ゆうあいクリニック院長の吉田先生にご指導いただきました)。
2025.05.19