横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床検査部

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コラム「臨床検査の精度管理」

そもそも臨床検査とは、検査項目の基準値に対して、患者さんの現状がどのような状況であるか、傷病の状態を評価するものです。特定検診では、これによって自分の今の健康状態を正しく知ることができるわけですが、そのためにも検査結果が正しいこと、検査結果の評価が正しいことが大前提となります。つまり信頼性のある結果を得るためには、臨床検査の精度管理というものが重要となってくるのです。

臨床検査における精度管理とは、「より正確に検査が行われるようにする」「より正確に検査結果が評価されるようにする」の2つの側面があります。

まず、正確に検査が行われるようにするためには、何に気を付けることが重要でしょうか?
今回の健診プログラムでも指摘されているポイントを簡単にまとめると、
・健診者は、健診前の注意事項を必ず守って健診を受けること。
(検査前の食事については、健診前10時間以上は、水以外のすべての飲食物を摂取しないこと!)
・健診実施機関は、ガイドラインに従って採血を適切に行うと共に、採取した検体の取り扱い、保存管理方法、搬送方法などについて最善の注意を払うこと。
・測定の方法は、決められた試薬や装置を使うこと。
などがあげられます。

また、より正確に検査結果が評価されるようにするために、どのようなことが検討されているのでしょうか。

まず、評価基準の見直しがあります。現在、健診を受けた機関ごとに検査法、検査機器や試薬等の違いにより基準値(正常値)、検査の測定値や健診判定値が異なることもあり、異なる健診機関の間では一律に比較することは困難でした。
今後の新たな特定健診では、複数の健診機関での検査結果のデータを一元的に管理し、リスクの高いものから優先的に保健指導をしていくことになるため、共通の健診判定値の設定や健診項目毎の検査測定値の標準化が検討されています。
また、健診項目の判定基準値については、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧症,高脂血症等の関係する学会のガイドラインとの整合性を確保することも必要となります。
以上の様な点において臨床検査の精度管理を十分に実施することにより、特定健診がより一層皆さまの健康管理に役立つものになるといえるでしょう。

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